3/11ラグーザ旅行記3 まるごと!ミシュラン店「Duomo」グルメレポート!

つーいーにーーー!高級&ミシュラン登録レストラン、ラグーザの「Duomo」についての、グルメリポーターを、万年貧乏旅行者の私が務める日がやってまいりましたーーー!

…しかしですね、高級レストランに、清水の舞台から飛び降りる覚悟で入ったからってね、自らのお財布事情は何一つ好転していないわけですからね、とは言ってもですよ、まずは目の前にある幸福(高級料理)への喜びをかみしめることが人生には大事なんだと思うわけですよ(…まあ、とりあえず落ち着け自分)。

というわけで、「予約していました2名です」と颯爽と(これは我々の勝手なセルフイメージ)我々が登場すると、にこやかな、ひげのウェイターさんに、準備されていた席に案内された。店内はセンス良く飾られているが、特別高級レストランという感じもないし、ドレスコードもない。私なんざトレッキングシューズで入店したし、ジーパンのお客さんもいた。まあね、このくらいの方が緊張しなくて済むから良いよ!

オーダーしたのは、一人45ユーロの、ランチコースである。最初に、メインをお肉にするか、お魚にするか尋ねられた。それぞれ一つずつオーダーしようと思ったのだが、お上品なウェイターさんに、「普通は肉か魚は、テーブル単位で選んでいただいています。ですが、ご希望であれば、それぞれご用意致しますよ」とにこやかに言われた。いえっ、テーブル単位でいいですよ!さっ、魚でお願いしますっ!…うーむ、慣れない高級店では、本当に小心者になってしまうぜ。借りてきた猫って、まさしく今の私のことだよ…。

ラグーザ 

メニューを選ぶと、ポンッと出てきたのが、こちら。ウェイターさんは「これはミュージックペーパーですよ」と言ったのだが、ミュージックペーパー?楽譜っ?何?ジョーク?それともそういう食べ物?…と、慣れない高級店でいっぱいいっぱいの私だったが、このミュージックペーパーなるもの、ゴマがついていて、美味しかったのだ!あー幸せっ!ミュージックペーパーでも何でも来い!だよ!(←美味しいものを食べて急にテンションが上がってきた私)

では、食事を出てきた順に紹介していくよっ!

ラグーザ

ちょっとした前菜の盛り合わせ。左端は、オリーブが何かソースに乗っかっているもの。…んまいっ!スプーンに載っているものは、生ハムと何かなんだけど、このままスプーンを持ち上げて食べるんだが…これもんまいっ!美味しい。ヤバイ。マジで美味しい。(こんな酷い「何か」ばっかり連発するグルメリポートもないもんだ…。でもね、本当に美味しいんだよ!)

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これはパンです(見ればわかる)。まあ、このパンも、いちいちひとつずつ美味しいのだが、左端に写っている緑色の液体にちゅうもーく!これはオリーブオイルです。イタリアでは、こうやって、よくオリーブオイルにパンをつけて食べるのだが、このオリーブオイルが、私の人生史上、最も美味しかったのである!これは、ラグーザ近郊の農家が作っているという、「PIANOGRILLO」というオリーブオイルであった。もー、あまりに美味しくて、パレルモで探しまくって、日本に買って帰ったよ!

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プリモ・ピアットのパスタはキャロットソース!キャロットソースですよ!にんじんですよ!にんじんソースのパスタが、こんなに美味しいなんて、想像もできないわけですよ!彩りも綺麗だし!パスタもなんかプリプリしてるし!ヤバイ。アルコールも入っていないのに、かなり興奮してきた…。

アルコールが入っていない?…そう。残念ながら、姉も私も、あまりお酒に強くないので、イタリア旅行でワインを味わえないのである。ワイン嫌いじゃないんだけどなー。今までの旅行中に、アルコールで体調崩したことがあるので、よっぽど余裕がある時じゃないと(たとえばホテルがすぐ近くだとか)、レストランでも水で済ませてしまうのである。

で、ここでもミネラルウォーターだったのだが、出てきたのは、イタリアの水の王様「アクアパンナ」。ほとんどが地元の食材が出てくるこのレストランで、トスカーナの水が出てきたので、あまりシチリアではミネラルウォーターを生産していないのかもしれない。

しかし、このミネラルウォーターがスゴカッタ…。アクアパンナ自体がレストランで出てくるのは、そう珍しいことではないのだけど、水の入った瓶は、うやうやしく氷入りのバケツで冷やされ、我々のテーブル上のコップには、なぜかほんのちょこっと…コップの4分の1くらいの高さになるかならないかくらい…の水が注がれる。

そして、ほんの少しでも水を飲んで、この「コップの4分の1くらいの高さになるかならないかくらい」という、このレストランの黄金ラインを下回ると、その瞬間、どこからともなくウェイターさんが現れ(どこから見てるんだ!)、素早く水を注ぎ足すのである(もちろん黄金ラインまで)。これ、絶対に、自分で水を注ぐことは許されないな…と、姉も私も思ったのである。

こんなに監視されてるんじゃ、せっかくの美味しい食事も味わえないのでは?と思う方もいるだろう。しかし、この「Duomo」のスゴイところは、おそらくお客さんのそういう気持ちも考えていて、「まるで見ていないようにして見ている」のである。つまり、全然、監視されている感じがしないのである。うーむ。こりゃスゴイ。味もサービスも、人類が本気出したらこういうサービスになるんだねえ。人類スゴイ。

ラグーザ

プリモ・ピアットのパスタを食べ終わったところで、一休みとばかりに、「お口直しにどうぞ。トリュフのジェラートです」と出てきた。トリュフ?イタリアに行くまで、私はトリュフとはチョコレートのまるいやつという概念しか持ち合わせていなかったが、イタリアでトリュフと言えば、キノコのことである。キノコのアイスクリーム?微妙じゃね?

…と思って食べたら、コレがトレビアンなのだよ、トレビアン!もう、どうしよう!何で「お口直し」がこんなに美味しいのっ?ちょっと塩気の効いたジェラートが異様に美味しいし、それを挟んでいるラスクにつけて食べてみると、もう…。ダメだ。どうしよう(もう、何がダメで、何をどうしたいのか、わけもわからず混乱している私)。

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お口直しの後、満を持して登場したセコンド・ピアットが、こちら。魚(英語がわからなくて、何の魚かわからなかったよ!白身魚っぽい魚だよ!)の、ナッツと紅茶のソースがけ!紅茶ソースだよ、紅茶!しかも絹さやが、美しく飾られてるよ!絹さや!イタリアでも絹さやってあるんだね!

紅茶とナッツと絹さやと魚。この組み合わせが、どうしてこんなに美味しくなるのかわからないんだけど、これもまた異様に美味しかったんだよ!うーむ、このあたりで、私の脳内で、「今までイタリアで入ったレストラン番付け」がガチャガチャと動き出し、今まではアマルフィの「da gemma」が東の横綱に君臨していたのだが、この「Duomo」が、新しい東の横綱の地位をゲットしそうだよ…!(ちなみに、こんなに何回もイタリアに行っている割には、我々は貧乏自炊旅行がメインなので、入ったレストランの数自体は大したことないよ)

この「Duomo」のシェフさんは、印象的で一度見たら忘れがたい顔をしているシェフさんである。CREA Traveller (クレア・トラベラー) 2013年 10月号 [雑誌]にも、この「Duomo」は掲載されていて、シェフさんの顔も載っていたのだが、姉は一度写真で見ただけで、その顔を記憶していた。

彼は、時々、ゆったりと店内を巡回して、お客さんの様子を見にくる。しかし、この人がシェフだと言われないと、ちょっと今食べている料理とは結びつかない風貌なのだ。もし「Duomo」に入ることがあったら、この時々巡回しているシェフさんの姿も見物である。妙に存在感があって、印象に残る名物シェフである。

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こちらは、「プレデザート」とか言われて、出てきた、ちまっとしたカボチャのプリン。「プレデザート」って何っ?デザートの中のさらに前菜ってこと?よくわからないんだけど、美味しいってことだけはわかった!これだけのプリンなのに、美味しかったんだよっ!

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そして、メインデザートがやってきたよ!ピスタチオジェラートに、オレンジババロアのチョコレートソース掛け。姉も私も、チョコレートソースが、それほど好きではないためだと思うが、唯一、美味しかったけど感動までしなかったのだが、このデザートであった。いや、もちろん美味しいんだけどね!プレデザートのプリンとか、お口直しで出てきたトリュフジェラートの方が衝撃的であった。まあ、もしかしたら、このあたりで、お腹がいっぱいになってきたのかもしれない。

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最後の最後に、エスプレッソと一緒に出てきたのが、シチリアのプチお菓子。右端がモディカチョコレートで、右から2番目が、シチリアでよく見るアーモンドのお菓子である。

お腹がいっぱいいっぱいだったのだが、左側の2つは、おそらく口が甘くなりすぎないように、お口直しとして用意されている、オレンジとレモンのゼリーで、このゼリーで口直ししながら食べて、私は完食に成功したのだ!姉は、残念ながら完食できなかった。私より、パンをたくさん食べたもんね。しっかし、この口直しのゼリーも異様に美味しかった。

いやー、よく食べた。考えてみれば、今朝は、朝ごはんも、「貴族の友人ホテル(=我々がモディカで宿泊しているホテルこのブログ限定の通称だよ)」のビュッフェで、かなり食べたんだった…。このレストランで、こんなに食べるんだったら、朝ごはんを控えてくるべきなのだが、貴族の友人ホテルの朝ごはんもめっちゃ美味しかったので、そういうわけにはいかないのである。朝も昼もたらふく食べて、私に後悔は無い。その分今日歩けば(カロリー消費できるから)いいんだよ!

さて。私がトイレに立っている間に、姉は会計をお願いしていて、私がテーブルに戻ると、渡された伝票を見ながら、姉が首をひねっている。「会計108ユーロって書いてあるんだけど…一人何ユーロのコースだったっけ?100ユーロ超えるっけ?あんたに確認してもらおうと思って、待ってたんだよ」。

私はちらっと伝票を見て、「えー。確か一人49ユーロじゃなかったー?日本でも高級料理は税金が高いって言うしさー。食事代で二人で98ユーロ、コペルタ(サービス料)で一人5ユーロで、二人で10ユーロ、合計108ユーロってとこじゃないの。まー、こんな有名店が、ぼったくりはしないと思うから大丈夫だよ!」と、テキトーに答えた。姉も「だよねー」と言い、110ユーロを用意して、伝票ボードに挟んだ。

で、ウェイターさんがテーブルに来て、伝票ボードを持って行った。レジは私の背後にあるので、姉からは正面に見えているのだが、姉が「え…。何かすっごく困ってる感じなんだけど…」と言う。姉いわく、伝票ボードを持って行ったメガネのウェイターさんが、ボードの中のお金を見て、「えっ?」と言う感じで固まっていたらしい。それで、困って、ナンバーワンっぽいウェイターさんを呼んできて、何か指示を仰いだらしいのだ。

さて。メガネのウェイターさんは、ナンバーワンの指示を仰いだ事実など、何もなかったかのように、プロフェッショナルな笑顔でお釣りをボードに挟んで持ってきた。そのボードを開くと、今度は姉が「えっ?」と言って固まった。20ユーロのお釣りが返ってきているのである。えっ?108ユーロの食事に110ユーロ出したんだから、お釣りは2ユーロじゃないの………!?

…「もう一回伝票見せてもらえる?」と、私は姉から伝票を受け取って、まじまじと見てみた。

ラグーザ

…こっ…これは………!

「…あのさ、お姉ちゃん、ごめん、108ってのはテーブル番号だよ。その上の90ってのが食事代だよ…。確か45ユーロのコースだったかも。そしたら二人で90ユーロだから…110ユーロ出して20ユーロ返ってきたってのは、間違いないと思う。49ユーロのコースだったとか嘘だったね。テキトウな思い込みだったよ…」

だから、会計を担当したウェイターさんは戸惑ったんだね!90ユーロの会計に対して、50ユーロ札2枚と、10ユーロ札1枚を我々は出したのだが、こりゃ意味不明だよね!9000円の買い物に、1万1000円をレジで出しているようなものだよ!メガネのウェイターさんは、「日本人の行為の意味がワカラン…」と思っただろうが、あのナンバーワンウェイターさんは、「異邦人の奇行にうろたえるな!正しいお釣りを毅然と返せばよいのだよ!」と、スマートな指示を出したのだろう。

お店を出るときに、姉が、ナンバーワンウェイターさんに、「すみません…会計とテーブル番号間違えました!」と、声をかけると、ナンバーワンは、プロフェッショナルな笑みを浮かべて、「いいんです、いいんです。ありがとうございました」と、実に実にプロフェッショナルであった。

いやー、それにしても、美味しかったなあ。しかし、高級レストランで、料理のお値段とテーブルナンバーを間違える失態をやらかした我々。テーブルナンバーの108ってのも、煩悩の数と一緒だしさ!いや、それ関係ないしさ!

というわけで、今回は、まるごと、高級レストラン「Duomo」のグルメレポートと相成りました!ホラ、私が、普段、こういう高級なもの食べてないせいでさ、ただただ「美味しー!」を連発するだけの、中身スッカスカのレポートになっちゃったけどさ!大事なのは異様に美味しかったということに尽きるわけだからさ!

ラグーザに行かれる方、ここ「Duomo」は、美食の島シチリアを体感するためにも、入って後悔はしないレストランだと思いますぜ。ランチコースは45ユーロと、ディナーよりもお手頃価格となっていますので、狙い目ですぜ!我々はオフシーズンだったので、予約なしでも大丈夫そうだったが、夏場は予約しておくことをオススメするし、確実にここで食事を取りたい方は、冬場でも予約しておいた方がよろしいですぜ!

ラグーザ歩きは、あと少しだけ続きますっ!