イタリア旅行記2013

2/28ローマ旅行記10 はじめから無いものは見つからない

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コロッセオを出た後、地下鉄→テルミニ駅→バス→ホテルという手順で、ホテルまで帰ることにした。本当は、コロッセオから歩いた方が最短距離を帰れるのだが、朝からボルゲーゼ美術館、コロッセオとかなり濃い観光をしてきたので、病弱な母を休ませたいという気もあり、テルミニ駅経由で帰ることにした。

コロッセオ駅からテルミニ駅までは、地下鉄でわずか2駅である。ホームに既に地下鉄が停まっていたので、駆け込み乗車って程ではないが、ちょっと急いで電車に乗り込んだ。空いている席があったので、母を座らせた。

すると、後ろから女性が乗ってきて、立っている私と姉を押し退けるようにして、車内を進んでいった。そして、なぜか母の目の前で立ち止まり、自分が妊婦であるという仕草をして、母に席を譲ってくれ、と言った。母は即座に席を譲った。

姉は「自分も病弱なのに言われるがまま席を譲っちゃダメ!」と母を叱ったが、私は、何かオカシイと思った。今の女性は、わざわざ他の若い人の前を通過して、明らかに観光客の母に、席を譲ってくれと言ったのだ。ちょっと車内を見回すと、その女性の後ろから乗ってきた女性が、ドアの前に立っているのだが、どうもこちらの様子を伺っている。

姉と母に、「わざわざ観光客を選んで、席を譲ってくれなんて変だよ。ちょっと離れよう」といい、反対側のドアの方へ3人で移動し、荷物をしっかり手で守って、その女性2人の方をあからさまに見るようにして、警戒していることがわかるようにした。

テルミニ駅に着き、ドアの前の女性が降車し、妊婦だと言った女性も席から立ち上がりドアの方へ行った。この2人の様子がちゃんと見えるように、この妊婦さんが降りてから降りようとしたのだが、この妊婦さん、我々の様子を伺うようにして、なかなか降りない。それだけでなく、我々が少しずつドアの方へ近づくと、通せんぼするような妙な動きをした。はあ?何なの?

振り払うように降車した後、「みんな大丈夫?」と確認しあったが、警戒していたこともあり、何の被害もなかった。ふう…これがスリが多いと悪名高い、ローマの地下鉄っ!その中でもさらに悪名高い、B線のコロッセオ―テルミニ駅間っ!

ちなみに、この不審な女性2人組が、ワルモノだった可能性は………私の独断で90%っ!!!イヤ、極めて高い数値ですね、コレは。観光で犯罪に遭うと、旅行そのものがシラケてしまう可能性があるので、マジで注意が必要だ。

話は脱線するが、観光地で犯罪に遭うと、何だかその町に歓迎されていないみたいで、つまらない気持ちになってしまう。イタリア人は自分の町を愛している人が多い。それなのに、なぜわざわざその町に惹かれてやってきた来訪者に対し、自分の町に泥を塗るような真似をするんだろう、と昔は思っていたが、イタリアでは、観光客を狙う犯罪者は、イタリア人ではなく移民が多いということを知り、納得した。

だが、観光客が明らかに狙われている時も、地元民が助けの手をさしのべてくれないというのも、よく聞く話である。この辺はどう考えればよいのかわからない。なぜなら、イタリア人は、普段の観光においては、道を教えてくれたり、バスを降りる場所を教えてくれたり、驚くほど親切なのだ。なのに、どうしてこのような場面では見て見ぬふりなのか。

ここらへんは日本人と真逆な気がする。日本人は、ちょっとしたことでは進んで手助けしてくれる他人はいないが、私の今までの人生経験では、本当に困っている時は、通りがかりの人が助けてくれる。このへんの感覚の違いはいったい何なのだろうなー。

「狙われたかもよ」と私が言ったことで、母はちょっと落ち込んでしまった。まあ、そうだよね。狙われたら気分は沈みますよ。でもね、ここで発想の転換ですよ。コペルニクス的転回ですよ。「狙われたけど被害がなかったということは、私の勝ーーー利ッ!イエイッ!」。もうね、こういう時はカラ元気で気を取り直すことですよ。私は母に「勝ーーー利ッ!」「イエイッ!」としつこく呼びかけると、やっと母も、小さな声で「イエイッ」と言って元気を取り戻した。

で、テルミニ駅だが、母は「ここの地下のお店で、買いたいおみやげを調べてあるので、買って帰りたい」と言う。テルミニ駅は、宿泊先からはちょっと遠いので、確かに買えるときに買っておいたほうがよいかも。母いわく、「テルミニ駅の地下にあるコナードというスーパーで、乾燥カラスミを買いたいのよ。それが載ってる雑誌の切り抜きは今日は忘れちゃったんだけど、行って見ればすぐわかると思う」。

今日はもうずいぶん歩いたので、できれば母に早く帰って休んでほしかったのだが、まあ、どうしても買いたいおみやげだと言うので、キョカッ!地下に行き、コナードは見つかった。で、お母さん、カラスミって何よ?「タラコみたいなものよ。それが、乾燥したものが真空パックみたいになって売ってるはずなの。日本だと高いんだよ」。

母は、もう買いたいものそのものが決まっていて、お値段は22ユーロ。黄色いパッケージだと言う。だが、肉売り場、魚売り場、乾燥ものの売り場、海産の缶詰などのコーナー、観光客向けの棚、どこを見ても、タラコみたいなものなどない。姉「お店の人に聞いてみるよ。メーカーの名前は?」母「…知らない」私「カラスミってイタリア語で何ていうのさ?」母「…知らない。とにかく見ればわかる」。……………見つからないものを、見ればわかると言われても。

よく考えればさ、22ユーロの乾燥タラコって(タラコじゃないわよ!Byカラスミ)めちゃめちゃ高級品じゃないか?それがこんなごくフツーのスーパーマーケットに売ってるものなのか?売り場的に一番近いように思える、乾燥した海産物が置いてあるコーナーでも、一番高いものは6ユーロだった。6ユーロの次が22ユーロ、なんてことがあるかいね?普通、そういうものって、地元の名産とか売ってる食材専門店とかで売ってるんじゃないのかなあ。

私は母に言った。「…ねえ。その雑誌の取材をした人がさ、たまたまここコナードに来た時に置いてあっただけなんじゃないの?スーパーの売り物って結構入れ替わるじゃん?もう諦めようよ。おみやげはね、最後の町で買うのが一番なんだよ(←私の信念)。ボローニャで買えばいいよ。ボローニャはおいしいよ~(←本当のことではあるが意味不明)」と100回くらい言って、ようやく母を諦めさせた。

明らかに気落ちしている母。ホテル近くまで行く40番バスは超満員だったが、姉が椅子取りゲームの達人なので、母の席だけゲットして座らせた。ちなみに、イタリアのバスにおいて、乗客が並ぶなんてことはまずない。万人の万人に対する戦いが繰り広げられるのみである。

ホテルに戻り、いったい我々が探したカラスミとは何なのだろう、と、母が持っていくのを忘れた雑誌の切り抜きを見てみた。雑誌の概要はこうだった。「おみやげにカラスミ買うのもよいわねー!このちょっと高級なカラスミは『B』のお店で買えるわよ☆」。そのページには、何軒かローマのお土産を買うおすすめのお店が掲載されていて、それぞれのお店にアルファベットの記号が振ってあった。私は何気なく「B」のお店を見てみた。それは、「Salmeria」という名の有名食材店であった。…こっ……これは!?

…母は、そのカラスミが「B」のお店で買えるという情報の上に、もっとわかりやすく書いておこうと思ったのであろう、自分の字でわざわざでっかく記号を書いていた。それが悲劇の始まりだった。なぜならそこにはでっかく「C」と書かれていたのだ。もちろん、「C」はテルミニ駅地下のスーパー・コナードっ!

母が「B」と書くのを間違えて「C」と書いたのか、それとも初めから「C」と書くつもりで書いたのか、それは誰にもわからない。母にだってわからない。それはむしろ宇宙の神秘に似ている。

姉は、その雑誌の切り抜きを、床に叩きつけた。「……見つかるわけねェよ…!!!」

さて。気を取り直して。本日の旅程はなかなかハードだったので、母はもう部屋で休ませることにした。時計を見ると夕方6時過ぎだったので、私と姉は、夜8時まで開いているという、パンテオン近くのローマストアへ出向くことにした。ローマストアとは、サッカークラブ・ASローマの公式ストア。日曜に行われる、ASローマのセリエAの前売り券を購入しに行くのである。

ローマストアに行く途中で、姉とウンカフェすることにした(ウンカフェとは、私と姉の造語で、バールでささっとコーヒーを立ち飲みすること)。姉いわく、有名なコーヒー店「サンテウスタキオ(一度で覚えられない名前)」がちょうど道の途中にあるとのことなので、立ち寄った。

サンテウスタキオ

ナヴォーナ広場とパンテオンの中間にあるお店。人がいっぱい入ってるよ。

右側のレジで先に支払いをして、左側のカウンターでレシートを出してオーダーする形式だったので、まずはレジに並んだ。すると、近くに並んでいたおじさんが、「トーキョー、オーサカ」と話しかけてきた。首から何か係員みたいなカードを下げている。

「ココ、ローマデ、イチバンオイシイ」とか「ワタシのオクサン、ニホンジーン」とか話しかけてくるおじさんに相槌をうっていると、姉が横から「一応気をつけて」と耳打ちする。観光地で、カタコトの日本語でいきなり話しかけてくる人の中には、何か狙っているのか、うさんくさい人もいる。私がイタリア語で、「日本語お上手ですね」と言うと、彼は一瞬黙って「イタリアに住んでるの?」と聞いてきた。「んー、まあ。」と適当に返事をすると、そそくさと去って行った。

いったい何が目的なのかはわからないが、カタコトの日本語でまとわりついてくる人に、イタリアの観光地では遭遇することがある。こういう人には、カタコトでいいからイタリア語で返すと、だいたいは去っていく。

もしかしたら、本当に日本語で話す練習をしたいだけなのかもしれないが、日本人観光客を狙った何かである可能性はあるので、用心に越したことはない。私の今までの経験だと、「トーキョー、オーサカ!」と言って寄ってくる人にロクな人はいない。それから、係員みたいな名札を下げている人にも要注意である。観光客を安心させる手口かもしれないぞ!

で、おじさんを撃退した後、「グラン・カフェ」を頼んだ。このお店の看板コーヒーである。

サンテウスタキオ

こちらがグラン・カフェ。写真ではわかりづらいかもしれないが、泡立ててあるコーヒーなのである。
これは、美味しかった。泡がシュワーと口の中で溶けていく中、広がるコーヒーのエレガンスな味!こーれは、並んででも飲む価値がありますな。ここでしか飲めない味!

ウンカフェも済んだので、ローマストアにレッツゴーである。ローマストアに入ろうとすると、ちょうど日本人旅行者が中から出てきた。「今日はチケットが買えなかったからー…」などと話しているのが聞こえた。なっ、なにぃー!?

ストア内に入ったら、案の定、2階にあるチケット売り場は閉まっている。レジの人に聞いてみると、お店は夜8時まで開いているけど、チケット売り場は6時で閉まるらしい。時計は6時半くらいであった。イエイっ!また明日、出直しっ!

せっかくローマストアに来たのだからと、ちょっとお店の中をいろいろ見てみた。私も姉もASローマのファン。…だが、ローマのチームエンブレムは、ド派手な黄色と赤、暖色系の組み合わせっ!そのドギツイ色をバックに、リアルな牝オオカミの乳を、リアルな双子が飲んでるぜ!

デザインに定評のある国・イタリアだが、このエンブレムをベースに、クール、あるいはエレガンスなグッズを作ることはなかなか難しいらしい。ローマファンの姉と私は、ローマに行くたびにローマストアに入るのだが、無表情に店内を物色し、何も買わずに無表情に店を出ていくのが、もはや我々の旅行の風物詩になっている。今年も、お・な・じ☆でした!

ローマストアから、母の待っているホテルに早足で帰る途中、通りがかりの教会にサササっと立ち寄った。

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サンティニャツィオ教会。教会前の小さな広場が印象的な教会だ。

この教会の天井画は、アンドレア・ポッツォ作で、なかなか有名なもの。

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バロック期らしく、遠近法とだまし絵を駆使して、立体的に見せている、幻想的な作品。バロック期は、宗教改革の流れに対抗する、カトリック側の芸術を駆使したカトリック再建を意図した作品が多いと言われ、特に天井画は、「どうだ!カトリックってスゴイだろう!」と、庶民を驚かせるような作品が多い。要するに、インパクト勝負で、テーマパークっぽい様相を呈している。俗っぽいとも言われることもあるが、私はわりと素直に感動してしまう。

この天井画より、奥の方にあるクーポラもだまし絵仕様になっていて有名なのだが、何せ夜7時前で暗くて、何も見えない。50セントで点灯できたので、教会内にいた観光客に両替してもらって、点灯した。ちなみになぜか、欧米人観光客は、小銭をいーーーーーっぱい持っていることが多い。日本人のように、お釣りを少なくもらう支払い方をする習慣がないのかなあ。

で、点灯してみたけど、あんまり明るくならなくて、よくわからなかった。教会を閉めるために、スタッフによる追い出しが始まったので、教会を出ることにした。

そのまままっすぐホテルに帰るつもりだったのだが、何と夜7時半という遅い時間に、まだパンテオンが開いていた。「ちょっとだけ、ちょっとだけよ!」と、お互いに言いながら、パンテオンにちらっと入った。パンテオンの内部は無料入場なんですよお。そりゃ、入りますよお。

パンテオン

相変わらず、天井の丸窓がカッコイイぜ。昼間はココから光が差し込み、さらに素敵だ。だが、夜の、ライトに照らされたパンテオンは、自然光の中で見るパンテオンと雰囲気が違い、コレはコレでおもしろかった。

パンテオン

夜のパンテオン。人工の光のせいか、妙につるつると見えて、古代遺跡と言うより、コンサートホールの待合室みたい。

ここパンテオンにはラファエロのお墓がある。姉と一緒に見ていると、隣りにいたイタリア人のおばあさん観光客が、「ここはラファエロのお墓なのよ~。ラファエロは偉大な画家なのよ。知ってる?」などと解説された。知ってますともよ。ていうか、知らない日本人は少ないですよ。「ラファエロ大好きですー」と返すと、まーエライわねーという風に、ニコニコ笑っていた。

パンテオン

というわけで、おやすみ、パンテオン。いやー、ボルゲーゼ美術館で濃い鑑賞をしたり、コロッセオでうだうだしたり、カラスミ探したり、長い一日であった。

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