2/28ローマ旅行記9 夢の跡と青い空

(この日のここまでのあらすじ:ボルゲーゼ美術館を堪能したよ!)

ボルゲーゼ美術館を出た後、中心街の方へ帰るのだが、少しお金をおろしたかったので、また116番のミニバスに乗って、中央郵便局の近くで降りることにした。郵便局は私の味方っ!イエイっ!(「郵便局は私の味方」について、説明する程の事は何もないのだが、要するに郵便局だったらこの小心者の私が、安心してお金をおろせる、それだけのこと。)

この116番のミニバス、たいへんに愉快で便利なルートを走るのだが、イマイチよくわからなかったのが路線図。来るときに降りた、ボルゲーゼ美術館目の前のバス停から、中心街行きのバスに乗れるのかどうかが、よくわからなかった。だって、なぜだか中心街行きのバスは、ボルゲーゼ公園の外(つまりボルゲーゼ美術館よりも中心街寄り)のピンチアーナ門が始発なのだ。

ま、ボルゲーゼ美術館からピスチーナ門までは、歩いてそれほどかからないので、始発なんだからピスチーナ門からバスに乗れるのは間違いなかろう、ってことでピンチアーナ門まで歩いた。ボルゲーゼ公園をてくてく歩いた。天気もよいしローマは平和。

ボルゲーゼ公園

ピンチアーナ門に着くと、無事に116番のバス停発見ー!。

ボルゲーゼ公園

ここが始発なので116番バスも待機していた。この116番のミニバスは、一つだけ問題がある。運転手席と乗客席の間に透明の仕切りがあるため、運転手さんに降りる場所を教えてもらうのが難しいのだ。そこで、バスが出発する前に、バスの外から運転手席の窓を叩いて、「郵便局の近くで降りたいのですが、着いたら教えてもらうことはできますか?」と聞いてみると、「じゃあ、着いたら、後ろの仕切りをトントンと叩いて知らせるよ」と言ってくれた。ぐらつぃえー!

116番バス出発ー!本当に小さな路地の中を器用に走って行く。あんまりぐるぐる回るので、タダでさえ方向音痴の私は、どこを走っているのか途中から見当もつかなくなった。だが、姉はしっかり道がわかっていたようで、「もうすぐ降りると思うよ」と姉が言うと、本当に運転手さんがトントン、と知らせてくれた。姉。アンタ隠してるけどローマ人でしょ?(日本人の妹を持つローマ人の姉ってワケワカラナイが)

郵便局のATMは、建物内部と外にひとつずつあるが、内部のATMが故障中で、外に行列ができていた。外のATMは、日差しの強い時間は、光で画面が反射して見えづらいことがあり、私は姉に影を作ってもらって画面操作した。ふー。とりあえず、現金もゲットしたことだし、メシにしようぜ!…おっと、もう少し女子っぽさが欲しいですね。ランチにしましょ、ランチに☆

姉が、バルベリーニ広場からちょっと小道に入った場所に、「Colline Emiliane」という評判のお店を調べてくれていたので、行ってみた。

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こちらのお店。

お昼の開店まであと20分ほどあったので、バルベリーニ広場に戻って、広場中心にあるトリトーネの噴水を見てくることにした。3年前にも見たはずの噴水なんだけど、その時私はTOILET-CRISISに陥っていたので(TOILET-CRISISが何のことがすぐにピンとこない方は、深く追求しないでください)、何にも覚えていないのだ。

で、行ってみると、なかった。ぽかーん。つまり、変なビニールで覆い隠されていた。修復中ってことね!私とは縁のないトリトーネ。

そこで、すごすごとレストラン前に戻って、おとなしく開店を待つことにした。途中で、何人も観光客や地元の人が、扉に貼ってあるメニューなどを確認して行った。一組、韓国人カップルが、我々と一緒に開店を待ち始めた。やっぱり人気店なんだなー。

開店して中に入ると、「Ristorante(リストランテ)」とは書いてはあるが、ドレスコードは不要なカジュアルな店内だった。このお店は、Emiliane(エミリアーネ)というくらいだから、エミリア・ロマーニャ料理のお店。で、お味の方は、素朴な感じだが、かなり美味しかった!

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エミリア・ロマーニャと言えば、ボローニャ。ボローニャと言えばボローニャ風スパゲッテイ、てなわけでオーダーした「Tagliatelle alla bolognese」。パスタの硬さもちょうどよく、美味しかった!

colline Emiliane

こちらは中にカボチャが入っている詰め物パスタTortelli di zucca。かわらしい味わい。何かアンバランスな盛り付けだな、とお思いになるでしょうけどね、コレ、写真を撮る前に、勇み足で私がひとつ食べてしまったんですね。すみませんねえ!(キレるな)

後は、写真を撮り忘れたが、煮込み牛肉のマッシュポテト添え「Giambonetto di Vitello con purea」、これも美味しかった。お肉も美味しいのだが、マッシュポテトが、口どけなめらかで見逃せない美味しさだった!数年前ドイツに行った時に、どこのレストランでも、延々と続く荒れ狂った鳥取砂丘みたいなマッシュポテトを大量に出されて、マッシュポテトはあと10年はカンベン、と思っていたのだが、ここのマッシュポテトを食べて、私の中でマッシュポテトが一気に解禁されたよ!おめでとう、マッシュポテト!

やさしい味わいで、ペロッと食べてしまったので、もう一品、「魚を食べたいね」と言って、カルパッチョを頼んだ。すると、生ハムが出てきたので、もう少しで、「すみません、コレ頼んでません」と言う所だったが、すんでのところで思い出した。「そういえば、イタリアではカルパッチョは生魚とは限らないんだった!生ハムで作ることもあるんだった!」。というわけで、間違えて頼んだカルパッチョですが、これがねえ、美味しかったのですよ!

我々が食べている間に、あっという間に席は埋まってしまった。美味しいもんなー。人気も出ますよ、コレ。大観光都市ローマは、観光客向けの高いお店もあるが、少し、大通りを外れると、このように美味しいお店が見つかるのだな。
さて。胃袋が休んだところで、次は、コロッセオだっ!

今日はね、コロッセオに行きますよ。と言うのもね、ローマパスは、最初の2つの訪問地が無料なので、先に2つ、高い入場料の場所に入った方がよいのですよ。この2回無料分を、ボルゲーゼ美術館(13ユーロ)と、コロッセオ(12ユーロ)に使った、我々は勝利っ!(別に勝負してねえよByローマパス)

コロッセオまではバルベリーニ駅から地下鉄に乗った。本当は、ローマの地下鉄は、いろいろ治安面で悪名高いので使いたくないのだが、やっぱりバスより早いし、わかりやすい。

地下鉄のコロッセオ駅を出ると、私と姉は4年ぶり2度目のコロッセオ出場!母は7年ぶり2度目のコロッセオ出場!(高校野球的ノリ)

ただ、母は、コロッセオは7年前は外部見学しただけなので、内部は初出場なのだ。コロッセオよ、初出場の母を温かく迎えてやってください!母は、このコロッセオ内部侵入…いや、侵入という日本語は適切ではないな…内部入場が、今回のローマにおける最大のイベントなのだ。

コロッセオ

どどどどーん。ワガハイがコロッセオである。

このように、コロッセオは、何ということもない現代的道路の先に、突然に現れる。まるで、現代でもフツーに使われているスタジアムのようだ。まっ、実際にイタリアには、これは遺跡ですかと言いたくなるようなサッカースタジアムがありますからね、ええ。
個人的に不思議なのは、コロッセオって、ナゼ、今に至るまで残ってるんだろう…ということである。使ってないものが、なぜいつまでも残っているのか。一部は破壊され、石材が、教会などを作るために運び出されたりしたらしいのだが。

ちょっと簡単にウィキペディアで調べてみると、コロッセオで殉教したキリスト教徒がいたという言い伝えがあるため、キリスト教徒の間でもちょっとした聖地として扱われていて、17世紀には教皇ベネディクトゥス14世が保護の対象としたらしい。まあ、それでなくても、こんな巨大な建造物は、むしろ破壊する方が難しいかもしれない。作るのは大変、壊すのは簡単と、よくいろんなことに関して言われるが、コロッセオくらいの大きくてしっかり作られたものは、壊すことも難しいのだろう。

コロッセオはオフシーズンでも行列ができているが、我々はローマパスで入場するので、ローマパス専用の入り口からスイスイっと入れた。フフフ。コロッセオのVIP気分!(気分だけ)

中に入ると、いきなり「ネコーーー!」

コロッセオ

この黒くて丸い物体は猫である。我々母娘は、3人とも猫派100%!

このコの顔が見たくて、必死に呼びかけてみたが(猫好きなら猫の昼寝の邪魔するんじゃないよ!)、この猫くん、自分の寝ている場所が、観光客立ち入り禁止の場所と知っているようで、観光客など完全スルーして悠々と寝ていた。古代ローマの夢でも見ているのだろうか、と、ロマンに浸るのは浮かれ観光客で、おそらく猫ちゃんは夢も見ずに熟睡している。

我々以外の猫好き観光客も、必ずここで立ち止まり、猫を起こしたくて呼びかけていた。猫ちゃんは格好の被写体にもなっている。このゾーンはさながら踏み絵のごとく、ここで立ち止まる人は猫好き、そうじゃない人はスルーであった。猫ちゃんに必死に「マリオ、マリオー!」と呼びかけている男性観光客がいた。彼は、「ダメだ、マリオはシエスタ(昼寝)中だよ」と言っていた。

さて。コロッセオにマリオを見に来たわけじゃなくて!

コロッセオ

コロッセオー!

コロッセオ

コロッセオー!

…すみません、私、遺跡よくわからないので、「コロッセオー!」以外、言うことが見つからない…。あっ、一つあった!天気がスバラシク良くてですね、コロッセオのアーチの向こう側に見えている青空に、何だか感動したですよ!よくわからないのだが、遺跡には青空が本当によく似合う。ツワモノどもが、夢の跡って感じがするのである(感じですよ、感じ)。

それにしても、以前来た時より、コロッセオは広く感じた。こんなに広かったかなー。こんなに広ければ、あんまり剣闘士の試合が見えなそうだ。剣闘士の試合ねえ。あんまり格闘技の面白さがわからない私には、そんなものにローマ市民が熱狂した理由がわからない。しかし、現代でもあらゆる格闘技が、一種のショーとして成り立っているので、人々を熱狂させる何かがあるのだろう。
さて、次は2階に上ろう。

2階へ上がる階段は、異常に歩幅が広く、急な階段だった。コレ、おそらく、古代ローマ時代から使ってる階段だよなあ…。手作り感あふれてるし。観光用に作ったんだったら、もう少し近代的な階段を作るだろう(イヤ、イタリアのことだから、油断はできないが…)。古代の階段だと思うと、タダの階段上りも、ちょっとしたロマンだった。ちなみに、ちょっと足が悪い人などは、スタッフさんに頼んで、エレベーターを使った方がよいかも、と思うような階段である。もちろんヒールの高い靴などで上るのは、難しそうだ。

2階から見下ろすコロッセオ内部は、1階からの眺めより広がりがあって壮大だ。

コロッセオ

…思わず古代ローマ気分。

コロッセオ

…思わず古代ローマ気分。

コロッセオ

…思わず古代ローマ気分…って、他に言うことないのかーーー!いっ、イヤ、ありますよ。この写真の右下に移っている部分にちゅうもーーーく!

コロッセオ

おそらくココ、VIP席だと思うんですねー。他の所と作りが違うみたいだし。それとも、単にこのエリアだけ保存がいいだけなのだろうか。結論から言うと、わ・か・ら・ん(じゃ、いちいち言及するな)!

イヤ、誤解のないように付け足しておくと、コロッセオで私幸せでしたよ!遺跡はわけわからないけど、真ん中にいるだけで、ほわーーーと、何だかロマン感じちゃうんですよ。理屈ぢゃないの!姉は遺跡詳しいんですけどねー。遺跡のところだけ姉に旅行記書いてもらおうかなあ(お断りだBy姉)。

コロッセオ

こちらコロッセオの2階から見える、「コンスタンティヌスの凱旋門」。どうして、こんなに道もない所に凱旋門あるの?おしーーえてー、おねえーーさん!(昔はココに道があったからに決まってるでしょ!By姉)

ゆっくりじっくりコロッセオ内部を堪能し、母も満足したところで、コロッセオを出た。出てから、母と私は、姉に「コロッセオのベストショットが取れる場所を探してー!」と注文し、姉を困らせた。カメラ片手に歩き回った姉は、心の中で「自分で探せよコイツラ!」とぼやきつつ(私には姉の心の声が聞こえた)、探してくれた。

コロッセオ

コロッセオは半分崩れかかっていることがよくわかる、この角度がおそらくベストショットのひとつ。フォーリ・インペリアーリをコロッセオの反対側に渡り、ヴェネツィア広場方向へ少し歩いた場所である。

ちなみにこの写真の左下の方、タクシーが大量に溜まっていた。そのタクシーの左側に集まってダベっている集団は、ヒマなタクシー運転手たちである。今回のローマでは、このヒマタクシーと、ヒマでダベっているタクシーの運ちゃん集団を、至る所で見かけた。おそらく、タクシーを運転している時間より、仲間とくっちゃべっている時間の方が遥かに長いであろう。

この後の旅程で、タクシーを捕まえるのが大変に困難なオルチャ渓谷に行く予定なのだが、この人等を、そのままオルチャ渓谷に連行したくて仕方がなかった。