3/14ミラノ旅行記7 楽隊は見た!昼下がりの落椅子

昨夜、チャンピオンズリーグの観戦から帰ってきたのが、深夜0時頃だったため、この日の朝はゆっくりと寝て、9時過ぎころに起きた。今日は、21泊の旅行の20泊目。明日は、帰国の日なので、実質、観光できる日としては、今日が最後なのである。

この、最後の観光日を迎えると、毎年私は、旅行が終わるという悲しみと、悔いのない最終日を送ろうという気合が相まって、いつも軽くハインテンションで、浮ついた一日を過ごしてしまう。

「今日で旅行が終わってしまう、悲しいよ」→「また来年来ればいいさ」→「でも来年って遠いよ…」→「考えても仕方がないので、とりあえず今を楽しめ!」→「…でも今日で旅行は終わりだよ」→以下繰り返し…という思考サイクルが、ほぼ一日中私の脳内を永劫回帰するのが、旅行最終日という日である。

この日の観光は午後からスタートすることにして、午前中は、宿泊しているレジデンスから歩いてすぐのミラノ中央駅に行って、おみやげを買ったり、明日の飛行機に持ち込むおやつなどを買ったりした。

ミラノ中央駅には、有名な「Venchi(ベンキ。いたずらに漢字を当てたりしてはいけないよ)」というチョコレート屋さんが入っている。板チョコから箱詰めまで売っているので、日本へのおみやげを購入するにはおすすめのお店である。ここのチョコレートはあんまり甘くなくて、大人向けの上品な味である。味覚がコドモの私には少し物足りないが、母と姉は絶賛していた。

その後、お昼のパニーノを買おうと、バールやカフェをのぞいていると、1階に超有名なパニーノ屋さんの「Panino Giusto(パニーノ・ジュスト)」を発見した。日本にも支店がある店である。ドゥオーモの近くに本店があると聞いていたが、中央駅にも店舗があったのね。もちろん、このパニーノ・ジュストでパニーノを購入することにした。

メニューから作ってほしいパニーノを選び、オーダーを受けてからパニーノを作ってくれるという、何とも本格的なパニーノ屋さん。メニューは、生ハム、調理ハム、ローストビーフ、鶏肉、野菜のみなどと、大まかに分けてあって選びやすかった。

「Montagu」というローストビーフにレモンなどが入ったもの、「Summer Turkey」という名の通りターキーが入ったもの、「Kumi」という何故か日本人女性の名前の付いたベジタリアン用、の3種類を注文した。

値段は5~7ユーロで、普通のバールなどのパニーノは、だいたい3~4ユーロであることに比べると高い。ただ、日本の物価で考えると、普通の値段だと感じる。また、持ち帰り用に入れてくれた紙袋も、ついぞイタリアでは見たことが無いような、しっかりした立派な紙袋であった。つまり、高級パニーノなのである。

味は、お上品で美味しくて、まさに高級パニーノって感じだった。特に、「Summer Turkey」は美味しかったので、おすすめである。日本の支店も、同じような味が再現できているのかなあ。ちょっと行ってみたいよ。

さて、今日はまず、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵があることで有名な、アンブロジアーナ絵画館に行くことにした。レオナルド・ダ・ヴィンチは寡作で、何せ完成した作品が少ないので、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵を所蔵しているということは、それだけでその美術館の大きな大きなアピール材料となる。

だが、このアンブロジアーナ絵画館は、レオナルド作品だけでなく、カラヴァッジョの静物画や、ボッティチェリ、ティエポロの作品なども所蔵し、有名なラファエロの、バチカン美術館にある「アテネの学堂」のデッサンも展示している。

これだけ姉と私の好きな芸術家の作品を所蔵していて、しかも建物そのものの内装の美しさも有名、と、実に実に魅力的な絵画館なのだが、なぜ3年前にミラノに行ったときは、この絵画館に行こうと思わなかったんだろう?

…と、「地球の歩き方」を見ながら、3年前の旅行計画を立てた時のことを思い出してみると、アンブロジアーナ絵画館に行かなかった理由を容易に思い出した。それはね、アンブロジアーナ絵画館の入場料が、イタリアの美術館の相場と比べて高いんですよ!15ユーロっ!

フィレンツェのウッフィツィ美術館が6.5ユーロ、アカデミア美術館が6ユーロ。同じミラノのブレラ美術館が6ユーロ。

建物そのものに価値がある、と言うのが大きいのだろうけれど、同じように邸宅美術館であるフィレンツェのパラティーナ美術館は8.5ユーロ。ローマのバチカン美術館は15ユーロだが、バチカン美術館は、ものすごく大きくて、所蔵品の多さも半端ないので、15ユーロでも安いくらいである。

…よく考えれば、イタリアの美術館の入館料は非常に安い。このアンブロジアーナ絵画館の15ユーロというのも、日本円で考えれば1500円強なので、日本の美術館の入館料などを考えれば、それほど高くない。

だが、3年前の私は、「レオナルド作品持ってるだけで、ウッフィツィ美術館の2倍以上の値段とか、ぼったくってるよ、この美術館っ!」と、訪問しなかったのである。貧乏人のカガミといえばカガミだが、レオナルド、カラヴァッジョ、ボッティチェリだけで十分に15ユーロの価値はあると思われる。

アンブロジアーナ絵画館が高いのではなく、他のイタリアの美術館が安すぎるのだね。3年前の私はオロカであった。オロカからの脱出は、オノレのオロカさを自覚することから始まると、ソクラテスが似たようなことを言ってたね!

アンブロジアーナ絵画館は、ドゥオーモから歩いて行ける距離なので、地下鉄でドゥオーモまで行き、ドゥオーモに一目会って挨拶してから、絵画館に向かうことにした。

天気がよくて、ドゥオーモさんは、青空に光り輝いていた。今年の旅行は、本当に天候に恵まれている。母は自分が晴れ女であるおかげだと胸を張っていたが、本当にそのおかげかもしれない。

ドゥオーモの前で、まだ3人で写真撮影をしていなかったので、通りかかったイタリア人に撮ってもらった。長身でイケメンなイタリア人だったが、撮れた画像を見た瞬間、姉は彼に撮り直しを命じた。

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これが、姉に即不合格と言われた写真。姉は、このイタリア人に、「ドゥオーモが途中で切れているので、全部入れてほしいんですよね」と注文していた。イケメンにもキビシイ姉。

…というか、写真が下手なことで有名な私でも、この写真はマズイと思う。本当にイタリア人は、写真が下手な人が多い。何でだろう。ルネサンス画家たちの末裔のはずなのに。絵描きさんとカメラマンさんの芸術の才能は違うのかもしれない。

では、いざアンブロジアーナ絵画館へ参ろう。ドゥオーモ広場からは、歩いて5分くらいであった。

アンブロジアーナ絵画館

こちらがアンブロジアーナ絵画館の外観。

中に入ると、たくさんのパンフレットをもらった。絵画館のパンフレット、レオナルド・ダ・ヴィンチのパンフレット、館内の地図。おー、さすが15ユーロの美術館。受付の係員さんは、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵は、順路の最期になります、と口頭で説明してくれた。やはり、レオナルド作品は、この絵画館の大目玉も大目玉なのだな。

ちなみに、トイレは、この1階の受付のすぐ近くにあるエレベーターで地下に降り、降りた所にすぐある。館内に他にトイレは見当たらなかったので、入館する前に済ませておこうっ!

最初は2階へと上り、絵画が展示しているスペースの鑑賞である。遠目ですぐボッティチェリの絵が発見できたが、このボッティチェリの作品の前に座って、模写している人がいたため(美術系の学生さん?)、ボッティチェリは後回しにして、ティツィアーノの絵や、ティエポロの絵などを鑑賞した。それほど入場客は多くなくて、ゆっくり鑑賞できたのだ

が、ハイヒールを履いた女性客が、時間がないのか、かなり早歩きで歩き回っていて、ハイヒールの音が響き渡って騒々しかった。静かな美術館では、足音にも気を付けなきゃな、と感じた。

このアンブロジアーナ絵画館は、係員さんたちもヒマそうではあるが、他のイタリアの美術館のように大声で私語してないので、静かでいい雰囲気だった。

イタリアでは、係員の私語がうるさすぎて、鑑賞に集中できないなんてトンデモナイコトがよくあるのである(ヒドイ時には、係員さんがひまつぶしにやっている、PCゲームの音が響いていることもある)。やっぱり15ユーロもする絵画館だから、係員教育もしっかりしているのだろうか。

ボッティチェリ模写の人が移動したので、ボッティチェリを見に行くと、………変な絵!!!

アンブロジアーナ絵画館 ボッティチェリ
(館内撮影禁止だったので、こちらは購入した冊子を撮影した写真。)

「天蓋の聖母子」というタイトルの絵なのだが、遠近法はオカシイし、聖母マリアは頭でっかちでバランスがオカシイ。それ以上に、聖母子を取り巻いている天使との、人物の大きさのバランスもオカシイ。一番変なのは、この写真ではわかりづらいが、聖母マリアの乳房から、ミルクが飛び出していて、幼子イエスに到達しようとしている、その図がオカシイ。

ボッティチェリは、一時期フィレンツェで人気を博した、風紀委員のような僧・サヴォナローラに心酔してから、画風が変わっていく。おそらく、これは、ボッティチェリの絵が、変化してからの作品なんだろうな、と思って成立年代を見ると、1493年であった。サヴォナローラがフィレンツェで人気が高まりはじめるのが、だいたい1490年頃からで、ボッティチェリの作品も、1490年頃を境に変わっていく。

この変化をものすごく簡単に言っちゃうと、「春」や「ヴィーナスの誕生」を描いていたころのボッティチェリ作品は、キリスト教的な道徳観に比較的縛られず、自由に人間像を描く、ルネサンス美術の魅力を存分に発揮している。

「春」や「ヴィーナス」はそもそもキリスト教モチーフの作品ではないし、キリスト教モチーフの作品でも、絵の中に登場する聖母マリアや天使たちは、まるで触れると体温があってやわらかい、人間であるかのように描かれるのである。

だが、キリスト教道徳を厳しく説くサヴォナローラに心酔してからは、画風が、中世画に逆戻りしたかのようになる。キリスト教道徳が芸術をも厳しく縛っていた中世は、聖母や幼子イエスが、普通の人間ではないことを示すため、わざと平面的で、現実感のない描かれ方をされるのだ(中世画がヘタクソに見えるのはそのため)。

サヴォナローラ以後のボッティチェリ作品も、遠近感が崩れ、人物のデッサンがおかしくなり、これは絵であり現実ではない、という雰囲気になる。何も知らずに見ると、「ボッティチェリ、絵が下手になったなー」と思うが、おそらく下手になったんじゃなくて、わざとそういう風に描くようになったのだろう。

しかし、オカシクなってからのボッティチェリの絵は、最盛期の絵とはまた違う形で、私の胸を締め付けるよ。他人の思想に心酔して画風を変える、なんて、言ってしまえば、主体性のない楽な作業に思えるけど、滑稽なほどにバランスを崩した後期作からは、何だかボッティチェリの苦悩が伝わってくる気がするのだ。

自由に美しい絵を描きたい芸術家としての自分と、サヴォナローラが正しいと思うキリスト教徒としての自分。その2つの相反する自分が、せめぎ合う苦しみが、この滑稽で重苦しい画面に滲み出ているような。もちろん、私の妄想にすぎませんけどね!

で、私がボッティチェリを語り出したらキリがないので、ラファエロに行きましょー!ラファエロの、あの名高いバチカン美術館の「アテネの学堂」のデッサンっ!デッサン段階の下絵から、完成作品を描くときに、変更した部分などを見るのがなかなか興味深い。このデッサン絵の前には、タッチパネルがあって、完成作品と見比べられるようになっている。

デッサンなので、着色していなくて白黒なのだが、白黒のデッサン絵を見ていると、ラファエロが、現代に生まれて、マンガを描いても相当上手だっただろうな、というのがわかる。井上雄彦(スラムダンクの作者)の絵みたいだったよ!(逆にラファエロのデッサンに似た絵を描く井上雄彦ってスゴイ)。

それから、この美術館の目玉作品の一つ、カラヴァッジョの「果物籠」。これは、予想通りに魅力的な作品だった。最初見た時は、やっぱりカラヴァッジョは人物の絵の方が迫力あるかなーと思ったが、この静物画は、見れば見るほど目が離せなくなっていく。

籠の中の果物や植物は、よくよく見ると、傷んでいたり、しおれていたり、枯れていたりする。いわゆる、「あらゆるものは変化して行き、やがて死を迎えるんだぜ」という、平家物語でいうところの「諸行無常の響きあり」を表現する「ヴァニタス画」の一種である。

そのままずーっと眺めていると、このまま果物や葉っぱのしおれが、どんどん進行していきそうな、妙な怖さがある。カラヴァッジョに、こういう一癖ある絵を描かせると、やっぱり天下一品である。さすが問題児画家。

絵画の展示部門を鑑賞し終わり、次の部屋からが「キレイなお屋敷ゾーン」に入るようだ。そうそう、このアンブロジアーナ絵画館は、展示している絵だけでなく、建物そのものも美しいんだった。

この「キレイなお屋敷ゾーン」に足を踏み入れると、どこからともなく女性の係員さんがサササッと登場し、いったん中庭っぽいところの外廊下に出て、そこの階段から3階に上って鑑賞してくるように、と説明した。

ここのキレイなお屋敷ゾーンはほとんど人がいなかったので、入り口付近にある休憩用の椅子にコートを置いて鑑賞したので、3階に行くためにそのコートを取りに、入口方向にいったん戻ろうとすると、この女性係員が立ちふさがった。「ダメよ、ダメよ!3階もぜひぜひ見なきゃ!!!」。何て仕事熱心なんだ!やはりさすが15ユーロの絵画館だよ。

この女性に、「椅子のところにコートを置いてきちゃったので、取りに戻るんです。3階も必ず見ますから!」と説明すると、通してくれた。

コートを無事に回収してから、女性係員に言われた通り3階へ行くと、何と美しい部屋!彫刻が並び、らせん状に曲がった階段のラインが、何とも美しい!あの女性係員が、絶対に見せたい、と思うのもよく分かる。もしかしたら、レオナルド作品を見るために、このゾーンをすっ飛ばしてしまう観光客がいるのかもしれないなあ。

それにしても、美しい階段だ。モザイク装飾が施されていて、そこに描かれたイエス・キリストが、今まで見たイエスの中で、最もオシャレな髪型をしていた。髪の毛の一部を編み込んでいるのである。オシャレすぎるイエス。

この先の部屋も、非常に美しかった。学問のアレゴリーの彫像が並べられていて、音楽とか、地理学とか、歴史学などを擬人化した像でかわいらしかった。日本のコミックでは、ヘタリアが擬人化ブームを巻き起こしたけど、イタリアでは、もっと前から擬人化が行われていたわけだね。

それにしても、学問の擬人化っていいねえ。私も、中高時代に、数学の擬人化、とかでイケメンキャラが描かれていたら、もっとまじめに数学の勉強してたかもしれない。人間って、そういうものよ!

ちなみに、学問のアレゴリーの反対側には、徳のアレゴリーで、正直とか慈愛とかを擬人化した像が並べられていたのだが、その像の前に眠りこけているオヤジの像がずらっと並んでいた。何のこっちゃ?オヤジたちは悪徳の擬人化で、それが眠っている、と言いたいのかな?よくわからんよ。

この部屋もほとんど貸し切り状態だったのだが、やはりどこからともなく係員がチャッと現れ、入館客を正しい順路へと導こうとする。やはり15ユーロ絵画館。今まで入ったイタリアの美術館で、こんなに係員が仕事熱心な美術館はなかったよ。この係員はおじいさんで、「次の部屋ではぜひロンギの作品を見てください」と言われた。ロンギ見たよ。普通だった。

さて、この後は階段を下って、いよいよレオナルド・ダ・ヴィンチの作品とご対面である。この絵画館、レオナルド特別扱いしすぎである。もったいぶりすぎ。

しかも、「レオナルドの間(キラーン)」という部屋まで作って、展示しているのだが、この「レオナルドの間」に、レオナルド作品はひとつしかない。あとは、レオナルド作品の真似っこ作品を並べているだけ。こんなんで「レオナルドの間」とは笑止だよ(笑止ってのは一輝用語)。

で、満を持して登場したレオナルド・ダ・ヴィンチ作「楽隊の肖像」。

アンブロジアーナ絵画館

こちらは、購入したポストカードを撮影したもの。館内は撮影禁止です。

何と言うか、やっぱりいいね、レオナルド!レオナルド作品は独特で神秘的と言われるけど、この絵も、この楽隊さんが見つめる先に、一体何があるのか、妙に気になってしまう。それだけ、人物の表情が絶妙なのだ。人間って、ふとした時に、こういう表情するよね!みたいな感じ。楽隊さんだから、手に持っている紙は、楽譜かなあ。そういうことが、いちいち気になってしまうのだ。ずーっと見ていて飽きない作品。

レオナルド・ダ・ヴィンチの完成した作品ってのは本当に少ないけど、その中でもこの絵は、絵画館そのものがそんなに混雑していないので、好きなだけゆっくり静かに向き合える、数少ないレオナルド作品かもしれない。ウッフィツィのレオナルド作品前はいつも混雑しているし、「最後の晩餐」も鑑賞はわずか15分だけしかできないしね。

このレオナルドの間の隣りは図書館になっていて、ここに、レオナルドが遺した手記の原本が展示されている。図書館そのものも美しくて、レオナルド手稿も非常に興味深かった。空を飛ぶための道具を考案するメモが多数展示されていて、おそらく空を飛ぶ研究のために、鳥の飛び方や翼の仕組みを図解したメモもあった。月の満ち欠けのメモ書きもあった。

コレ、書いてある文字が読めたら、もっと面白いんだけろうけど!ちょうど、この旅行には、レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 を持ってきていたのだが、おそらく、ここに展示されている手稿の内容は、下巻に収録されている「鳥の飛翔について」などの箇所だと思われる。ちなみに、上巻は文系娘の私でも楽しく読めたが、下巻は理系話が満載で、難しすぎてわからなかった。

この手稿をじっくり見た後、最後に楽隊の絵を見て帰ろうと、まだ手稿を見ている姉を残して、母と二人でレオナルドの間に戻った。二人で楽隊と向き合っていると、

ガタッ!!!

…び、びっくりしたあ!こんな貴重な美術品が飾ってある所で、大きな音がしたらビクっとするよ!何事かと思ったら、椅子に座っていた係員のおじさんが椅子から転げ落ちたのである。おじさんは、「スクージ…」と、我々に謝った。

母は言った。「おじさんはね、居眠りしてたんだよ。この部屋に入ったときに、お母さんはすぐ眠そうだな、と気付いたよ。頭を垂れて、もう完全にコクリ、コクリとしてたね」。

…寝ぼけてて椅子から転げ落ちたのかー!この絵画館のスタッフは、ゲームをしたり本を読んだりおしゃべりをしたりすることなく、実にマジメにやってるなあと思っていたが、イタリア人をヒマにしてしまうと、眠りの世界へといざなわれてしまうのか…。だから、他の美術館では、係員は、眠くならないように暇つぶしをしているのかなあ。

というわけで、最後におじさんが一発芸をかましてくれたアンブロジアーナ絵画館であった。母はレオナルド作品を気に入って、ポストカードを買おうとしたが、出口のところにはおみやげ屋はなくて、いったん外に出てから入口まで戻らなければならなかった。普通は、おみやげ屋は出口のところに待ち構えているのにね。入場料が高いから、おみやげ売らなくても余裕なんだね!

とにもかくにも、展示されている絵だけでなく、内装も本当に素敵であった。また、レオナルド・ダ・ヴィンチはミラノとゆかりの深い芸術家なので、ミラノではやっぱりレオナルド・ダ・ヴィンチ作品は見るべきかも!ドゥオーモからもすぐ近いし、ミラノに行く方には、ぜひおすすめしたい絵画館である。

この続きのミラノ散歩は、また次回。

3/14ミラノ旅行記8 ディナーは視線を釘づけにしてへ続く