2/25アルベロベッロ旅行記1 とんがり屋根は猫天国

朝6時ころ、目が覚めると、姉が顔も洗わずに着替え出し、「ちょっくら散歩に行ってくる」と言い出した。「アルベロベッロは早朝がいいらしいから」。ちょっとマッター!旅行において、ぬけがけは厳しく禁止っ!私もお母さんも行くっ!…てなわけで母娘3人で、朝6時台の、アルベロベッロに繰り出した。ちなみに、イタリア旅行で「ぬけがけ」と呼ばれる行為は、実は他にあるのだが、その「ぬけがけ」は母娘3人のカタイカタイ秘密である。ナンピトにも教えるわけにはいかぬ。

トゥルッリが密集する、モンティ地区の、ほぼ真ん中に宿を取った姉のファインプレーで(しかもトゥルッリホテルっ!)、一歩外に出ると、もうとんがり屋根の街並みである。ただでさえオフシーズンで、ほとんど観光客のいないアルベロベッロだが、この時間は、本当に誰も歩いていない。我々だけのアルベロベッロ!

…と思っていたら、ごみ収集のおっちゃんが働いていた。朝早くからご苦労さまです。我々がアルベロベッロに1泊1ユーロ払っている宿泊税は、彼のフトコロへと入っていくのであろうか。

ホテルを出て、少し歩くと、キター!猫っ!

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我々母娘は、3人とも猫が大好きである。というか、母の一族は猫好き一族である。猫にあえると、それだけで幸せな気分になれるんだよ!何もイタリアで猫を追っかけまわさなくても、日本でもあえるのにねえ。

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しばらく歩くと、また猫の鳴き声が!猫くんの声をたどると、屋根の上から黒猫くんが現れた。トゥルッリの白さに黒猫が映えるぜ!左の方で幸せそうに猫ウォッチングしている背中は、母である。

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人懐こい黒猫くんで、一通り我々と遊んでくれたあと、トゥルッリに挟まれた、人のいない道をゆうゆうと歩いて行った。まだ日が十分にのぼっていない中の、「おはよう」って言っているみたいなトゥルッリたち。確かに、早朝のアルベロベッロは、静かで気持ちがよくて、何だかトゥルッリたちも初々しく見える。

あまり車の通らないアルベロベッロであるし、何よりとんがり屋根が、猫くん達にちょうどよい高さなので、実に猫の多い町であった。そして、このころから、我々母娘は、「とんがり屋根に乗っている猫」の撮影に、やっきになっていくのである。

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やっと屋根に乗った猫を見つけたのだが、何せ遠すぎた!近くで撮影しようと近寄ると、猫は逃げて行ってしまった。そう、猫とは、追えば追うほど遠ざかる、はかない夢のような存在なのさ。

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だいぶ日が昇ってきた様子。この、屋根に矢が刺さったハートが描いてあるトゥルッリは、よく写真に撮られていろんな本に載っていて、日本でも有名である。

ちなみに、この先の、トゥルッリの街並みを損なわないように作られたという、サンタントニオ教会まで行ってみたが、何か「作られた」感が強くて、フツーだった。

フツーとか言われた、かわいそうなサンタントニオ教会。写真で見るとかわいいですけどね!このサンタントニオ教会あたりで、トゥルッリの密集地区は終わる。

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さすがに日が高くなってきて、顔も洗わずに飛び出したので、すっぴん母娘3人は、ホテルに帰ることにした。朝ご飯を食べて、ゆっくり体操をして、出直しっ!アルベロベッロは小さい町なので、トゥルッリ地区の真ん中に宿泊すれば、観光も自由自在っ!

さて、次は、宿泊しているモンティ地区を脱出して、もう一つのトゥルッリ密集地区である、「アイア・ピッコラ地区」に行ってみることにした。アイア・ピッコラ地区は、おみやげ屋さんの多いモンティ地区に比べて、いまだ人が住んで、日常生活で使っているトゥルッリが多く残ると言われている地区である。

Largo Martellottaという、アルベロベッロ唯一の大通りを挟んだ、反対側にあるアイア・ピッコラ地区に足を踏み入れてみた。確かに、観光地としての華やかさのあるモンティ地区と比べて、閑静な住宅街という雰囲気だ。その分、「おとぎの国」的な要素はモンティ地区の方が強いが、自然体のトゥルッリ集落を拝むことができるのはアイア・ピッコラ地区である。

そんなアイア・ピッコラ地区でも、すぐに三毛猫ちゃんと遭遇~!この三毛猫ちゃん、「バラバラに歩いて、遭遇できるかゲーム」という、実にくだらないゲームを母娘三人でしていた時に、一人で歩いていた姉にくっついてきた三毛猫ちゃんである。人の気配のないアイア・ピッコラ地区でさびしかったのか、ずいぶん長く我々の後をついてきた。

アイア・ピッコラ地区の三毛猫

左端に、ちんまり映っているのがその三毛猫ちゃん。それにしても、この写真は私が撮影したのだが、自分だからこそ言うが、私は本当に写真がヘタクソだ。これじゃ、指摘されない限り、猫が映っていることに気付くまい。ちなみに、このブログに掲載されている写真のほとんどは、姉が撮影したもの。私が写真撮影すると、姉はたいていその作品を罵倒する。タッタフタリノシマイなのにさ~。

それでは、姉撮影の、「生活のためのトゥルッリ」を、3連続でお送りしますぜ。

アイア・ピッコラ地区1

その1!道から家の中が見えないように、スダレを扉につけているお家。宿泊してわかったのだが、トゥルッリは窓が少ない。そのため、なかなか外の光が入らず、中が暗くなってしまう。そのため、ドアをガラス戸にして、外から丸見えにならないようにスダレを垂らして、採光している家が多いのだ。

アイア・ピッコラ地区2

その2!生活に使っているトゥルッリだから、エントツから煙が出てるぜ!の図!真ん中のエントツに注目。使用しているため、黒くススけてもいる。隣に停まっているトラックも、生活感あふれてるぜ!

アイア・ピッコラ地区3

その3!生活感といえば洗濯物。それにしても、この日は天気がよく、空色に白いトゥルッリ、白いトゥルッリに空色の洗濯物、と、まるで色使いを考えたかのような、芸術的な洗濯物。観光地に住むイタリア人は、ナポリをはじめとして、観光客に見られることを意識してか、洗濯物を妙に芸術的に干していることがよくある。ルネサンス美術家たちの末裔としての血を、こういう所で発揮しているのであろうか。

モンティ地区を散歩していると、姉と母が「猫が少ないよね~」などと、不満を漏らしはじめた。…朝から、いっぱい見たじゃないのよ、アナタタチは…。この二人は、アルベロベッロは、三歩歩けば猫にあえるくらいの期待でいたらしい。

猫の代わりに、かわいらしいお兄ちゃんと妹の、小さな兄妹に道端で出会った。自転車で出かけるお兄ちゃんに、後ろに乗せてくれ、と妹ちゃんがせがんでいるらしい。我々3人を見て、妹ちゃんが小さな声で「ちゃお」と言った。ちゃおー!すると、トゥルッリから、もう少し大きいお兄ちゃんが出てきて、我々に向かって、日本語で、「コンニチワー!」と言った。ちょっとビックリ!こんにちは!

このお兄ちゃん、大きくなったら、アルベロベッロの観光業に就くんじゃないかなー。こんな子供のころから日本語を覚えるとはっ!ちなみに、妹ちゃんは、無事に大きなお兄ちゃんの後ろに乗せてもらって、3人仲良く遊びに出かけていった。

アイア・ピッコラ地区が終わりに近づいたのだが、「トゥルッリ密集地区を抜けると、オリーブ畑+ぽつねんトゥルッリの、イトリアの谷っぽい風景が見られるのかな?」という疑問があったので、ちょっとアイア・ピッコラ地区を抜けてみた。道が下りになり、サボテンとかがたくさんあった。プーリアは、実にサボテンも多かった。南国なんだなあ。

道を下っていくと、ビンゴォ!広いオリーブ畑ではないが、小さな畑の真ん中に、ぽつんとあるトゥルッリを発見した!

オリーブ畑とトゥルッリミニバージョン

農業小屋として使われているようだ。そもそも、トゥルッリは、もともと農業小屋として作られたものだという説を読んだことがある。ぽつねんとしたトゥルッリは、田舎くさくて、何だか親近感が持ててかわいらしい。トゥルッリは、アルベロベッロに密集しているものだけが日本では有名だが、こういう素朴で孤独なトゥルッリの方が、むしろイトリアの谷全体では多いのである。

さて、このトゥルッリが見えた通りを歩くと、そのままLargo Martellottaにつながり、モンティ地区の入口までたどりついた。いやー、アルベロベッロはちっぽいね!ちっぽい町は歩いて制覇できるから、ちょうどよいよ!てなわけで、Arte Freddaのジェラートを食べて、ホテルに帰った。姉は母に、「フィレンツェのジェラートはこんなものじゃないぜ!」と鼻息荒く語っていた。…あんた、フィレンツェのジェラートの何なのさ。

この日の午後は、まだアルベロベッロ散歩が続くのだが、長くなってきたので、ページを改めまーす。