3/17パドヴァ旅行記3 食後のコーヒーブレークが美味すぎる

パドヴァの市立博物館の絵画館を鑑賞した後は、市立美術館のすぐ隣にあるエレミターニ教会に入った。エレミターニ教会はすぐそこ。この後、スクロヴェーニ礼拝堂に戻るので、大きな荷物は市立博物館のクロークに預けたままにした。

パドヴァ エレミターニ教会

こちらが、マンテーニャのフレスコ画が残ることで知られるエレミターニ教会。第二次世界大戦で爆撃を受け、大きな被害を受けたことでもよく知られている。内部入場は無料。

パドヴァのエレミターニ教会

内部は思った以上にかわいらしくてビックリ!

パドヴァ エレミターニ教会

木製の天井がステキ!奥の波打っている模様もカワイイ!

パドヴァ エレミターニ教会

壁の赤と黄色で彩られた模様もチャーミングである。ラズベリージャムと生クリームとケーキスポンジが層になっているお菓子みたい!(例えが具体的すぎるだろ!)

パドヴァのエレミターニ教会

こちらは出入り口の方向を見た図。やっぱりかわいいなあ。そして、美味しそうだなあ…やっぱりケーキに見えるよ!

パドヴァ エレミターニ教会

こちらは、第二次世界大戦の爆撃によって崩れた教会の写真である。よくこんな写真が残ってたなあ。おわかりだろうか、屋根がほぼぶっ飛んでしまっていて、空が見えている。こんなに壁までコナゴナな状態から、よくここまで修復したものだ。不屈の精神が必要だっただろうなあ。

パドヴァ エレミターニ教会

こちらが、このエレミターニ教会の必見作品、マンテーニャの『聖クリストフォロの殉教』だ。痛みがかなり激しいが、上の、教会の天井が飛んでしまっている写真を見ると、よくぞここまで修復したなあと感動する。作品は、状態良く残っていれば、かなりの傑作だっただろう。

右下には、かなりの巨体が横たわっているが、実はこの人こそが聖クリストフォロらしい。クリストフォロはもともとレプロブスという名前で、その巨体を生かして、川を渡りたい人を乗せることをライフワークにしていた。ある日、乗せた子どもがイエス・キリストであり、その後、「キリストを背負ったもの」という意味の「クリストフォロ」と名乗るようになったらしい。

クリストフォロ…どこかで聞いた名前だと思ったら、クリストファー・コロンブス…コロンブスのファーストネームのイタリア語読みだ。ちなみにコロンブスはジェノヴァ生まれのイタリア人である。これだけのことを覚えるのに、高校時代は苦労したなあ…。今ならすぐ頭に入ってくるのに。人生とはそんなものよ。

パドヴァ エレミターニ教会

ここらへんの状態は、非常に痛々しい。白黒の部分は、爆撃前に撮影した写真を元にした部分らしい。色がついている部分は、破片を拾い集めて必死につないだもの。ここまで来ると作品自体の鑑賞はほとんど不可能だが、戦争というものがもたらす破壊について考えさせられる。

パドヴァ エレミターニ教会

こちらは比較的保存状態のよい、マンテーニャ作の『聖母被昇天』。個人的にマンテーニャはあまり女性を描くのはうまくないと思うが(というか私の好みでない)、周囲のちび天使たちがかわいらしい作品である。

パドヴァ エレミターニ教会

中央内陣はグアリエント(Guariento)という、14世紀の画家さんによるフレスコ画で、こちらは保存状態がよい。何かに似てる…そう、ジョットの絵に似てますな。実際にすぐ近くにある、ジョットによるスクロヴェーニ礼拝堂完成後に描かれた作品で、影響を受けていると言われているらしい。いわゆるジョッテスキ(ジョットの真似っこ)というものだろう。

ちなみに、このグアリエントは、先ほど見たばかりの、市立美術館のピナコテカの、悪魔とタイマンで戦う天使さんたちを描いた人でもあるらしい。ジョッテスキかもしれないけど、グアリエントさんもなかなか素敵な絵を描くのだ。「芸術は自然を模倣する」と言ったのはアリストテレスだっけ?模倣は芸術の原点に近いものなのかもしれない。悪意のあるパクリはダメだけどね!

さてはて。エレミターニ教会を出た所で、お昼を食べておくことにした。ゆっくりレストランに入っても良いのだけど、大学の町パドヴァは、人気のあるB級グルメも多い。いろいろ調べてあったのだが、お目当てのお店は見つからなかったり、夜だけ営業だったりという結果だったため、異様に混雑しているお店をたまたま見つけて、そこに並んだ。

パドヴァ

有名なカフェ・ペドロッキ近く、グリェルモ・オペルダン通りにある、包みピザのようなものがずらーっと並んでいる「daPrette | Passione Panzerotti」というお店!かなりの行列ができていたが、回転は速かった、また、中に何が入っているかが書かれているので、選びやすかった。

姉とひとつずつ購入して、ちょっと広場っぽくなっているところの椅子に座って、簡単なランチ。皮がパリッとしていて美味しい!包みピザなので、屋外でも食べやすい!よく見てみると、この辺に座っている人たちは、ほとんどここのピザを頬張っていた。パドヴァ人に人気のお店なのね!

野菜食いの私たちには、もう少し野菜が欲しいところではあるが、簡単なランチならこれで十分である。

パドヴァ

我々が座って包みピザを食べたのは、こんなホコ天の通り。右側の建物に座れる場所があったのだが、あとで調べてみると、パドヴァの市役所だったらしい。パドヴァのランチはパドヴァの市役所に座って食べるべし。

それにしても、この人の多さ。団体ツアーっぽいグループもいくつも見かけたし、パドヴァ市民も颯爽と歩いている。ヒマオヤジなし。

包みピザを食べている目の前を、るろうに剣心のコスプレをした、3人ほどの若いイタリア人が歩いて行った。おお~!さすが学生の町!撮影させてもらおうかなと、ちらとでも思ったのだが、両手にピザを持って食べていたせいで躊躇した。食い意地が張っている私は、ピザを手放すという判断ができなかったらしい。

パドヴァ

目の前の建物には、ヴェネツィアのシンボルである、ヴェネツィアの守護聖人聖マルコの象徴である有翼の獅子。レッチェで有翼の獅子を見た時は驚いたけど、パドヴァはヴェネツィアの隣町なのでごく普通のことに思える。パドヴァがヴェネツィアの支配下に置かれたのは15世紀以降で、パドヴァ大学はヴェネツィアの庇護のもと発達したのだそうだ。

さて、軽いランチを済ませて、スクロヴェーニ礼拝堂方面に戻ろうという時、姉から提案があった。「目の前にカフェ・ペドロッキがあるから、一杯カフェ・ペドロッキを飲んでいかない?」。

パドヴァ

こちらがカフェ・ペドロッキ。創業1831年の由緒正しきカフェである。創業が古い時代というだけはなく、近代のカフェは、政治や思想を語るインテリな場所としても機能していたらしいが、その意味でもカフェ・ペドロッキは、19世紀の対オーストリアへの反乱の拠点になるなど、実にカフェらしいカフェなのだ。

このカフェ・ペドロッキは、現在でもカフェとして非常に人気が高く、地元の人も観光客も入っていく。見たままの高級カフェなのだが、実はバールも併設していて、バールで立ち飲み・立ち食いすると、リーズナブルなお値段で利用できる。

本当はカフェ・ペドロッキは、後で2階(博物館)の鑑賞も兼ねて、後で立ち寄るつもりだったのだが、とりあえず近くに来たから食後のカフェに入っておくか!後でもう一度入ってもバチはあたらないしね!だが、実は後からは全然時間がなくなったので、この時入って大正解だったのだ。姉のファインプレー。

パドヴァ カフェ・ペドロッキ

じゃーん!こちらが、カフェ・ペドロッキの看板コーヒー、その名も「カフェ・ペドロッキ」。色に驚かれると思うが、これはミントクリーム入りコーヒーなのである。カウンターで立ち飲みすれば€3。

これが、ちょっと美味しくて…!ほんのり甘いのだが甘すぎず、とにかく上品な味!さっき食べた包みピザより、食後のコーヒーの方が高いのはちょっと笑うけど、それにしても、€3が全然高いと思わない。これこそここでしか飲めない味!これこそ旅グルメだね!

カフェだけじゃカフェがさびしかろうと(いいわけ)、小さなミニョン(ミニケーキ€1)も、一つずつ添えたのだが、こちらも品がよく、甘すぎず、最高の食後のお茶とデザートであった。いやー、素晴らしいね、カフェ・ペドロッキ!いつでもこのお店に入れるパドヴァ人は幸せだなあ…。

何かもうスクロヴェーニ礼拝堂に入る前から、「パドヴァには100点あげるよ!」という幸せ気分になった我々なのだが、今から真打ち、スクロヴェーニ礼拝堂である!

3/17パドヴァ旅行記4 人の創りし青き天国へ続く