イタリア旅行記2017 フェラーラ滞在編

3/17パドヴァ旅行記2 市立美術館の絵画館はヴェネツィア派満載!

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さてさて。パドヴァの市立博物館の絵画館の続き!

この絵画館の、最も重要な作品として、地球の歩き方に写真が載っているのは、最初に観賞した、ジョルジョーネ作かもしれないと言われている『白鳥とレダ』であった。その作品を見終わってしまったので、この絵画館には、もうそれほど見どころはないのかなーと思っていたが、この後もなかなか素敵な作品と出会えた。

パドヴァ 絵画館

Ginrvra Cantofoliという17世紀のボローニャの画家さんが描いた『オリエント風衣装を着た女性』。はかなげな視線が印象に残る。髪の毛に巻いた青い布は、だいたい同時代の、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」を連想してしまう色だ。

パドヴァ 絵画館

こちらはルッカ生まれの17世紀の画家Pietro Ricchi作の『ウラニア』。後ろと前に地球儀が描かれているが、ウラニアは天文を司る女神である(集団で文芸を司っているムーサたちの一人)。やけに幼い顔で描かれてるなあ。色使いが綺麗な作品だ。

パドヴァ 絵画館

こちらもPietro Ricchiの『アテナ』。ギリシャ神話の知恵と戦いの女神である。こちらも『ウラニア』同様童顔ですな。しかし、こんなに楽しそうに戦っているアテナは初めて見たな。現代の、戦う少女モチーフのアニメのポスターのようだ。

パドヴァ 絵画館

こちらはジョット作の『十字架刑』」。

パドヴァ 絵画館

ジョット作『玉座の父なる神』。ジョット特有の目力がある作品。この後、スクロヴェーニ礼拝堂では「ジョットの最高傑作」と言われる作品を見る。その予習として、「ジョットの通常運転の作品」を観賞したという感じであった。

ちょっと壁で区切られて照明を落としている、面白い部屋があった。

パドヴァ 絵画館

ちょ…戦う天使多すぎ!めっちゃ戦う集団だよ!

パドヴァ 絵画館

ですが、集団戦法ではなく、タイマン戦法なわけですな。画像ではわかりづらいが、足元の小さな悪魔君と槍で戦っている。

パドヴァ 絵画館

この天使さんは足で中くらいの悪魔を踏みつけて涼しい顔をしてますな。ちょっと演歌歌手の大月みやこさんに似ていると思うのは私だけだろうか。

これらの戦う天使集団の絵は、 レッジャ・カッラーゼ礼拝堂(Cappella della Reggia Carrarese)にもともとあったものらしい。この壁で区切られた空間は、もしかしたらその礼拝堂を再現しているのかもしれない。

パドヴァ 絵画館

それから現れた絵は…私「あ!こ、これは………!!!」。ヤコボ・ベッリーニ(ベッリーニ兄弟の父)の『キリストの辺獄降下』!この絵画館にあるなんて知らなかったぞ…!!!

何を私が興奮しているかというと、この絵の題材は『キリストの辺獄降』。そうっ!ワタクシのハンドルネームは「辺獄」ですっ!

ここから、「辺獄」というものについて熱く語るので、興味ない方は次の絵まで進んでくださいませっ!

「辺獄」とは、地獄の入り口にある薄暗い場所で、キリスト誕生以前の賢人たちが死後に赴く場所である。キリスト教では、洗礼を受けて神を信仰することで死後に天国に行けるわけだが、キリストが世界に登場する前の、たとえば古代ギリシャの哲学者などは、生きている間にキリスト教そのものがなかったので、信仰を持つこと自体が不可能である。

そうなると、ソクラテスやプラトンなど、古代の哲人は、皆、地獄に落とされてしまう。「いかに善く生きるか」を考え抜いた人々が、キリスト以前に生まれたために、地獄行き、というのは、なかなかキリスト教の人々にも受け入れにくいだろう。

そこで、キリスト以前に生まれたため信仰は持っていないが、善い人生を生きた人々は、地獄ではなく、辺獄という場所に行く。辺獄は、天国のようなきらびやかさはない薄暗い場所だが、地獄の責め苦はない。辺獄に行った人々の魂は、最後の審判の日まで、そこで心静かに過ごすのである。

ちなみに、洗礼を受ける前に幼くして死んでしまった子供たちも、同じような理由で辺獄へと行く。フィレンツェには、「辺獄広場(Piazza di Limbo)」と呼ばれる場所があるが、そこはかつて子供たちのお墓があったと言われている。

一神教に限らず、私たち人間は、異質な他者に対して不寛容になりやすいものだが、この辺獄のような思想は、不寛容の時代に、一筋の光をもたらしてくれるのではないかと思う。

以上!熱い辺獄語りでした!

で、絵に戻ります~!『キリストの辺獄降下』というのは、そんな辺獄にいる人々を、キリストが救いに来たことがあるという逸話をテーマにして描いたものである。

こちらは左側の部分。辺獄は地獄の入り口にあるため、地獄の悪魔くんたちがうようよしている。だが、いきなりキリストが来たので、「急に神の子が来たので!」「えっ!聞いてないよ~!」と、おろおろしている様子。十字架を持っている男性は、洗礼者ヨハネかなあ?洗礼を受けていない人々がいるので、キリストに従って来たのだろうか?

パドヴァ 絵画館

こちらは作者を失念してしまったのだが、全体としてかわいらしい聖母子像…しかし、幼子イエスが、聖母マリアの膝の上でくつろぎすぎている件。

ヴェロネーゼ

ヴェロネーゼ作『聖ジュスティーナの殉教』。ヴェロネーゼらしい色使いだが、場面が痛々しい。空の青さが、かえって痛切さを際立たせている気がする。聖ジュスティーナは、パドヴァ内に、彼女を祀った教会があるので、パドヴァにゆかりのある聖女ではないかと思われる。

ヴェロネーゼ

こちらのヴェロネーゼの、殉教を描いた作品。『聖プリモと聖フェリチャーノの殉教』。こちらも明るい題材ではないが、美しい空の色が、場面の残酷さを際立たせているように思う。

ティントレット

ティントレット作『シモン家の晩餐』。有名な、マグダラのマリアと同一視されることの多い女性が、イエスの足に香油を塗り、自らの髪で拭う場面。この絵が面白いのは、まずイエスが驚いているように見えて、人情味があること。それから、主役の二人だけが色濃く塗られ、後ろの背景は何となくぼやけているのも面白い。

後ろの人々は驚くほど、香油を髪で拭っているシーンに無関心だが、一人だけ興味を持って見ている男性がいる。この場面では、女性の行為をユダが批判するという流れが続くが、見た感じだと、この男性はユダではなく、年少の弟子ヨハネっぽいなあ。

ヴェロネーゼ

こちらはヴェロネーゼの『十字架上のイエス』。

パドヴァ 絵画館

十字架の下では、聖母マリアが、我が子の無残な姿を見て倒れている。暗くて画像ではよくわかりづらいと思うが、現地で見ると、なかなか印象的な作品であった。

パドヴァ 絵画館

ロココ期の画家ジャンバッティスタ・ティエポロの、『アイルランド司教サン・パトリツィオ』。ティエポロの絵が見れるとは思っていなかったよ!ティエポロらしく、全体的にほわっとした感じの絵。

ティエポロ

ティエポロの絵はもう一枚、『聖母マリア像』。聖母というより、身近な優しそうな女性という感じだが、色使いが素敵だ。こんな色の組み合わせの服もありだなあと、現在女性でもふむふむと見入ってしまう色彩感覚。

パドヴァ 絵画館

そして、絵画館なのに、絵画の真ん中に彫刻が!カノーヴァ作『悔悛のマグダラのマリア』

パドヴァ 絵画館

よく見ると、涙を一筋流しているようにも見える。

パドヴァ 絵画館

いろんな角度から見ても、マグダラのマリアの心から悔やむ気持ちが伝わってくる。

パドヴァ 絵画館

後ろ姿からも、彼女の後悔が伝わってくる。美しい絵の中に座り込んでいて、思わず見入ってしまう作品であった。

パドヴァ 絵画館

カノーヴァ作品はもう一つ『ユスティニアヌス帝の石碑』?モチーフはよくわからなかったが、かくれんぼしている天使がかわいらしい。カノーヴァはバロック後期から新古典主義にかけての彫刻家だが、今回鑑賞したことで、がぜん興味が出てきた。イタリアに来るたびに好きな芸術家さんが増えてしまうなあ。

そんなわけで、我々観光客には「スクロヴェーニ礼拝堂のおまけ」くらいに思われている市立博物館の絵画館だが、思った以上にいろいろの作品と出会えて楽しめた。特にヴェネツィア派の画家さんの画風が好きだという方には、おすすめしたい絵画館である。

3/17パドヴァ旅行記3 食後のコーヒーブレークが美味すぎるへ続く

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