イタリア旅行記ブログ イタリア旅行は楽し

イタリア旅行大好きの管理人が、実際にイタリアに足を運んだ経験・情報に基づいて、イタリア旅行情報を発信してます。
旅行記や個人でのイタリア旅行のコツ、サッカー観戦情報もございます。

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3/17フィレンツェ10 街角のロッビア

<今回のイタリア旅行記メニュー>
●S.アントニーノ通り
●中央市場
●お土産購入(チョコレート)

 今年はまだ、中央市場の「ばくだんパニーノ」を食べていないので、これからお昼ごはんに食べることにして、中央市場を目指して歩いた。

 カルミネ教会から中央市場に行くのに、母と姉に頼んで、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会と中央市場を結ぶ、S.アントニーノ通りを通ってもらった。ここで、見ておきたいものが二つあるのだ。

フィレンツェ
 一つはコチラ!S.アントニーノ通りが始まる場所にある、アンドレア・デッラ・ロッビア作の聖母子像である。イタリアの古い町の、街角や、通りの突き当りには、よく聖母子像が飾ってある。ガチガチのカトリック信仰というよりは、日本のお地蔵さんみたいな、ちょっとした民俗信仰に近い、お守りのようなものだとも言われている。

 で、その聖母子像だが、誰が描いたかわからないような下手な絵だったり、以外と上手だったり、完全に新しい人形だったりとさまざまなのだが、こんな街角に、アンドレア・デッラ・ロッビアクラスの芸術家の聖母子像が祀られているのは、なかなか珍しい。

フィレンツェ
 しかも、アンドレアの特徴である、ちょっと憂いを秘めたような聖母の表情が、なかなか素晴らしい。街角に無造作にある作品なので、さすがに透明のケースで保護されている。美術館ではなく、こういう街角で鑑賞すると、また違った趣がある。


 そして、この通りを進んでいくと、貼り紙のような彫刻で飾られている家があると、図説 フィレンツェ―「花の都」二〇〇〇年の物語 (ふくろうの本)で読んだのだが…

フィレンツェ
 あった!通称「貼り紙広告の家」である。

 この貼り紙には、実は消えかかっているが、文字が書かれている。何が書かれているかというと、実は、この家の持ち主は、ガリレオ・ガリレイのお弟子さんなのだそうだ。

フィレンツェ
 よく見ると「GALILEO」と、ガリレオ・ガリレイのことを指すっぽいアルファベットが書かれているのがわかる。弟子さんが、師であるガリレオを称賛している文章が書いてあるらしいのだが、残念ながら読めない。「それでも地球は回っていますとも!」と書かれているのかな?それとも、「師は無罪だ!」とかな?さすがに、そんなことはローマ教皇庁がコワいから書けないか…。

 どーでもいいことなのだが、ガリレオ・ガリレイって、日本でいえば、たとえば、「山田山男」みたいな、くどいフルネームに聞こえるのだが、イタリア人が聞けば、逆に韻を踏んでるみたいで綺麗なのかなー。どうでもいい話終わり。

 さてっ! この通りを抜けると、中央市場に着いたよ!ばくだんパニーノを食べるよ!

 ばくだんパニーノとは。中央市場の有名トラットリア「ネルボーネ」の名物モツパニーノのことで、ヤヴァイくらい美味しい。そして、ヤヴァイくらい大きい。そして3ユーロと安い。地元の人にも観光客にも大人気で、いつも行列ができている。

フィレンツェ
 こちらがネルボーネ。11:50くらいに到着したが、これはかなり空いている方である。

 そこで、さっさとパニーノを買って、食べてしまうことにした。セルフサービスのイートインコーナーも、まだ空席がある。さくさくと左側のレジで会計して、右側のパニーノを作ってくれる所へ並んだ。ここのパニーノ職人のおじさんは、たぶん有名人だ。初めてココに来た時から、パニーノを作ってくれるのはずーっとこのおじさんで、いつも黙々テキパキとパニーノを作っている。フィレンツェ中で、最も手を動かしている人の一人だと思う。

 「ばくだんパニーノ」という名称は、その大きさと、ピリ辛さに由来すると思われる…ていうか、「ばくだんパニーノ」って、我々が勝手に呼んでるだけだから(正式名称はたぶん「Panino di Lampredotto」)!どう考えても、爆弾を見たこともないヤツのネーミングセンスで、本来なら「爆発パニーノ」と呼ぶべきではあるまいか。しかし、名称とは、一度定着してしまうと、変えづらいものなのである。

 で、このパニーノ、大きすぎるのと辛すぎるので、美味しいのに完食できないことがあったのだが、コイツを完食する技を身に着けましたぞ!たぶん、以前も書いたと思うが、職人さんがパニーノに入れてくれる二種類のソースのうち、赤い方を入れないでもらうか(指さしてNOと言えばOK)、少なくしてもらえばよいのだ(指さしてウンポと言えばOK)。個人的には、緑のソースを通常量(ノルマーレ)にして、赤いソースをウンポにするのが美味しいと思う。

 イートインコーナーで、熱々のばくだんパニーノを頬張っていると(ちなみに、ここでお上品に食べようなどと思ってはいけませんぜ、ばくだんパニーノとは、大口開けてかぶりつくものなのである)、目の前に、アメリカ人と思われる団体客がずらっと座った。ガイドさんとおぼしきイタリア人女性が、全員を座らせた後、さささっとレジに行き、トスカーナ名物の豆スープ「Ribollita」を人数分運んで来た。

 ガイドさんはイタリア語訛りの英語で、「これが、トスカーナ名物Ribollitaです」と紹介し、作り方などを解説していた。ちなみに、「Ribollita」は私は結構おいしいと思うのだが、あまり見た目はよくないごった煮スープである。そのためか、アメリカ人たちは、あまり気乗りしない感じで、お皿の中の「Ribollita」を見ている。

 ガイドさんは説明し終わると、「さあ、味見して下さい」と言ったが、あまりアメリカ人たちは食べていない。スプーンでほんの一口食べてやめてしまう人や、そもそも口もつけない人もいた。ガイドさんが「味はどうですか?」と聞くと、建前かもしれないが、「グッドだけど、お腹すいてないわ…」などと、答えていた。若い女の子は、むしろ我々が食べているパニーノを、欲しそうに見てるし!大口開けて食べてるんだから見ないでー!

 そして、皆がスプーンを置いたのを見て、ほとんど手が付けられていない「Ribollita」の皿を、ガイドさんが素早く片付け、「さあ!次に行きましょう!」と、風のようにずらかってしまった。

 …以上のアメリカ人団体の「Ribollita」体験は、我々が、ばくだんパニーノを食べ始めた後に始まり、食べ終わる前に終わってしまったから!この急ぎ足すぎる団体に、しばしボー然としてしまった我々。誰も手をつけなかった「Ribollita」の皿は、むしろ、そこに置いて行って欲しかったよ。(置いて行ってもらったら、どうするつもりだったのかは想像にお任せする。ヒント:mottainai精神)

 さて。お腹いっぱいになったので、母をレジデンスに置いて、母が休んでいる間に、姉と私は、お土産購入に走り回ることにした。もー、文字通り走り回ったから!

 まずは、チョコレート屋さんのヴェストリへGO!日本でも、バレンタインの時期などに、百貨店で販売しているのを見かけることもある、有名なお店である。
 

 有名店だが、フィレンツェでは、やや観光ルートから離れたところにお店がある。中心から東の方に伸びるコルソ通りという通りが、道の途中でアルビーツィ通りという名前に変わり、San Pier Maggiore広場という小さな広場に出たところにヴェストリはある。ちなみに有名店なので、インフォメーションで聞けばすぐわかるかと思ったのだが、インフォメーションスタッフは、インターネットで場所を調べていた。地元民にはそれほど知られてないのかなあ。

 観光のオフシーズンということもあってか、お店は空いていた。ジーパン姿の、何だか不安そうな男性が店番をしていた。不安そうなのもむべなるかな、彼は、あまりお店のことをよくわかっていなかった。

 いくつか、贈答用の箱に入ったものがあり、値段も書いてあるのだが、中身がよくわからない。彼に、何が詰め合わせてあるのか聞いてみたが、彼の答は「ミックス」。…えーと…、何がミックスされているのかな?と、再度聞いてみると、「ミックス、ミックス!ぜーんぶミックスなんだ!」とのお答え。それ以上の情報は、彼の中にインプットされていないのだ。

 試食はたくさんさせてくれて、美味しいんだけど…さすがに、開けてみてのお楽しみ、みたいなミックス箱を、お土産には買えないよなあ…。職場用だしなあ…。ちょっと選びにくいので、いったん中央の方へ戻って、新市場のロッジャ近くにあるVenchiというチョコレート屋さんに行くことにした。

 Venchiは北イタリアでよく見かけるチェーン店のチョコレート屋さんである。チョコレートの本場であるトリノが本店らしいのだが、大きな都市では大抵見かけるし、空港などで売っていることも多い。ちょっと苦みのある大人の味なので、個人的には(私は味覚がコドモ)、ミルクっぽさが強いヴェストリの味の方が好きなのだが、Venchiは日本みたいにしっかりしたお店なので、いろいろ選びやすいのである。

 特に、職場用などには、個包装したチョコレートを箱詰めにしたものが持っていきやすい。選択肢も多いので、その中から、一番適切なものを選んだ。

 Venchiの欠点は、チェーン店ということもあって、チョコレートの試食が少ない。味見するためには、一粒、自分で購入して、食べてみないといけないのだ。私はココVenchiで手を打ったのだが(個包装が便利だったから)、姉は、自腹で何粒も購入して味見したあげく、その答えはこうだった。「ごめん…やっぱり、ヴェストリの方が好きだ。ヴェストリに戻ってもいい?」

 うん。お上品で清潔に、整然と並べられたVenchiの方が見た目はいいけど、確かに味は、見た目はもさっとしているヴェストリの方がおいしいよねえ。姉は、食べるものに関しては、妥協しない人間なのである。まあ、私も職場用のお土産はゲットしたけど、自分用にヴェストリも買って帰りたい。というわけで、ヴェストリに急ぎ足で戻った。

 ヴェストリまで戻ると、さっきの頼りない男性とは別に、女性スタッフが増えていた。イタリア人女性は、イタリア人男性よりしっかりしている、というのが、我々の経験では多い。そこで、この女性スタッフにいろいろ聞いてみたのだが、女性スタッフの方も頼りない…およー。

 ま、でも、美味しいことは美味しいのだ。もうよくわからなかったけど、お土産用やら、自分たち用やら、いろいろ購入したよ!ダガ、お土産用のもののラッピングを頼むと、男性スタッフが違う組み合わせで包むし、購入したチョコレートを入れる紙袋は、チョコレートの大きさに比べてバカでかいものしかないし、あとで清算するためにレシートが欲しいと言うと、レシートが無くてスタッフさんたちはあたあたしているし。

 日本では考えられないことだけど、ここはイタリア。こういうのが異文化交流さ!基本的に、私は、自分がいーかげんな性格なのもあって、こういうことはそれほど気にしないタチなので、「もうレシートはいいです。いろいろ(慣れないこと?をしてくれて)ありがとう」と言って、一度店を出た。

 すると、すぐに、店から男性スタッフが追いかけてきた。何事かと思うと、彼は我々に、小さな卵型のチョコレートを持って手渡して、「いろいろわからなくて、ごめんなさい」と言った。我々が笑顔で「おー!グラツィエー!」とチョコレートを受け取ると、始終あたあたして困り顔だった彼は、ようやくニコッと笑った。

 おそらく彼は、まだ外国人の対応に慣れていなくて、緊張もしていたのだろう。イタリア人が皆、テキトーで大ざっぱだと思ったら大間違いで、日本人にもいろいろなタイプがいるのと同じで、時たま、生真面目で緊張性のイタリア人に出会うこともあるのだ。
 
フィレンツェ
 こちらが、ヴェストリでもらった、卵型チョコレート。次の日、飛行機の中で食べたのだが、食べる前に写真撮らなきゃ!と思って、撮影した写真である。

 この後は、ドゥオーモのクーポラに上るのだが、ページを改めます!ちなみに、これだけのお買い物に、なんと2時間も費やしたよ!これが、俗に言うイタリア時間というヤツなのである…。

3/17フィレンツェ11 夜のヴェッキオ橋でバカ笑いへ続く

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3/17フィレンツェ9 楽園を出てルネサンスへ行こう!

<今回のイタリア旅行記メニュー>
●スカルツォの回廊
●サンタ・トリニタ橋
●サンタ・マリア・デル・カルミネ教会(ブランカッチ礼拝堂)

 さあ!イタリア旅行2014の最終日!毎年のことだが、最終日は忙しいよ!しかも、今年は、あんまりお土産ゲットが進んでないから、買い物もあって忙しいよッ!

 もー、何でこんなに忙しいんだろう…。私は、今回、フィレンツェでホーン美術館に行きたかったのだが、平日の午前中しか開いていないという開館時間に、うまく予定を合わせることができず行けなかった。フィレンツェに5泊して、しかも5度目のフィレンツェでこれですよ。ある程度、イタリア中を周り終わったら、今度は、一つの町に本当にゆっくり滞在する旅をしてみたい。

 で、ホーン美術館は、本日行くという手もあったのだが、その後の予定もあり、ゆっくりは見れないだろうし、もー諦めた。でも、その代り、早起きして、アンドレア・デル・サルトの白黒壁画が残っているという、スカルツォの回廊に朝一番で走って行ってくることにした。

 何せこの回廊、月曜は、8時15分から開いているのだ(2014年の段階で、平日は月・木以外はクローズ)。一人で行こうかと思っていたのだが、姉も一緒に行くと言うので、姉と一緒に朝っぱらから走った!ていうか、いつかイタリアでランニングしてみたいよ。

 こう書くと、まるで私は、日々颯爽と走っているランナーのようだが、実態は、週末に、自分のペース(=非常にのろい)でチンタラ走っているだけの女である。目の前のランナーを抜き去ったことなど、まだ無い。ちなみにかなりの速さでウォーキングしている人に抜かれたことはある。ランニングの話(自分の恥を晒してるだけだから)終わり。

フィレンツェ
 スカルツォの回廊(Chiostro dello scarzo)の入り口は、びっくりするくらいサン・マルコ修道院の近くにあった。何にびっくりしているかというと、何度もこの辺りには来ているのに、全然気づいていなかったからである。アーンド、こんなに近いんだったら、サン・マルコ近くに宿泊してた時に、行けば良かったと思ったからである。

 おそらくロッビア一族の作だと思われる、テラコッタ作品がドアの上部を飾っているが、いつものように十字の杖をもったひげむじゃらの洗礼者ヨハネがここにいるのは当然である。なぜなら、アンドレア・デル・サルトの壁画も、この洗礼者ヨハネの生涯を描いたもので、この修道院は、洗礼者ヨハネが主役なのだ。

 それはわかるのだが、洗礼者ヨハネの左右にいる、黒子みたいな人たちは一体…?この修道院は、地球の歩き方によると「洗礼者ヨハネ信心会」という、裸足で十字架行進を行った、修行者っぽいグループが建てたものらしいので、その会員たちだろうか。以前、ベルガモ近くのクルゾーネという町で見た「死の勝利」という壁画の中に描かれている、中世の鞭打ち苦行者たちの格好と、ちょっと似ている。

 で、後期ルネサンスくらいの時代の画家さんであるアンドレア・デル・サルトだが、彼も、その「洗礼者ヨハネ信心会(通称スカルツォ)」のメンバーだったらしい。それで、白羽の矢が立って、この回廊を装飾したそうな。

 装飾と言っても…モノクローム(単色使い)の絵である。私は最初、そんな絵が残っていると聞いた時、未完成の絵なのかなと思っていたのだが、受付でもらった説明書によると、どうも最初から、「灰色の単色使いで、洗礼者ヨハネの生涯を描いてほしい」とオファーされたらしく、このモノトーンで完成している状態なのだそうだ。「洗礼者ヨハネ信心会」の、何かポリシーみたいなものが現れているのだろうか。

 中に入ると、客は我々だけかと思いきや、もう一組いた。受付の女性に、説明書を渡され、名簿に記名するように言われた。ちなみに、見学は無料である。フィレンツェの無料見学できる場所は、なぜか記名をお願いされることが多い。写真撮影は不可だった。

 回廊は、ぐるっと正方形になっていて、ずっとアンドレア・デル・サルトの壁画で埋め尽くされていた。この時代の作者の、単色の絵というのは、だいたいレオナルド・ダ・ヴィンチとか、レオナルド・ダ・ヴィンチとか、レオナルド・ダ・ヴィンチの、未完成のデッサンなので、こういう完成系として見るのは、実に新鮮である。その新鮮さのためなのかもしれないが、何だか心静かな神聖な空間に見える。

 作品の出来そのものも、非常に素晴らしい。アンドレア・デル・サルトさんは、私の中では、ルネサンスからマニエリスム期への過渡期って感じの画風で、素敵な作品と、どうにも心に響かない作品に分かれる画家さんなのだが、この洗礼者ヨハネ伝は彼の傑作のひとつなのではないかと感じた。色がないのが、洗礼者ヨハネの激動の人生を、かえって際立たせている。ちなみに、洗礼者ヨハネの髪型がめっちゃオシャレだった。こんなオシャレな洗礼者ヨハネ初めてだ。

 砂漠での修行、イエスへの洗礼、そして、斬首で最期を迎える洗礼者ヨハネの、劇的な一生。それを、モノトーンの絵で、時系列を追って見ることで、まるで自分の頭の中で物語を回想しているみたいな、そんな効果がある。私怨から洗練者ヨハネの斬首をそそのかすヘロディア(サロメのお母さん)の、心に悪を宿している感じの表情と、本意でないながらもしぶしぶ斬首を命じる、その夫のヘロデ王の戸惑いの表情などが、心に残る。

 色は、グレイのモノトーンということだが、セピアのモノトーンに見える箇所もあった。色落ちしているのか、もともとこの色なのかはわからないが、白黒写真と、セピア色の写真が並んでいるようで、雰囲気たっぷりだった。思った以上に静かで素敵な空間なので、サン・マルコ修道院に行く方には、鑑賞にもそれほど時間はかからないので(無料だし!)、ちょっと立ち寄ってみることをおすすめする。

 さて。今日のメインは、ドゥオーモのクーポラに上ることである。今回はヴェッキオ宮の塔に上ったし、もう高いところはいいかなとも思ったのだが、母が「ドゥオーモに上って〆にしたい」と言ったのである。まあ、〆が重要という気持ちはわかるので、ドゥオーモにも上ることにした。

 
 が、どうも雲が多い。高い所には、天気が良い時に上ってなんぼなのだ。天気予報によると、午後から晴れてくるらしい。我々がアンドレア・デル・サルトを見ている間に、ゆっくりレジデンスを出てきた母とは、ドゥオーモ前で待ち合わせたのだが、母と天気のことを話して、クーポラには午後上ることにした。そして、今から、アルノ川を渡って、カルミネ教会に行くことにした。

 アルノ川を渡るということは、当然のことながら、橋を渡らなければならない。カルミネ教会に行くのに渡ったのは、サンタ・トリニタ橋

フィレンツェ
 こちらが、サンタ・トリニタ橋。

 サンタ・トリニタ橋は、「アルノ川に掛かる橋の中で最も美しい」と、(誰にかはわからないが)言われているらしい。へー。ヴェッキオ橋があるのにねーと、観光客は思ってしまうのだが、ヴェッキオ橋は、お店が立ちならんだり、上にヴァザーリの回廊が通ってたりで、美しいというよりは「華やか」なのかもしれない。

フィレンツェ
 これは別の日に撮影した写真だが、サンタ・トリニタ橋を横から見た図。派手さはないが、エレガンスと言えばエレガンス。だが、私のような観光客にはどうしても、ヴェッキオ橋とか、ローマのサンタンジェロ橋とか、ヴェローナのスカリジェロ橋みたいな、派手な橋が印象に残ってしまうのだ。

 このサンタ・トリニタ橋は、第二次世界大戦に、ドイツ軍に爆破され、フィレンツェ市民からの要望で、それ以前の形に苦心して再建されたことで有名である。爆破された瓦礫の中から、なるべく破片を拾い集め、元通りの形にしたそうなのだが、どうしても一つの銅像の頭部が見つからなかったらしい。それが、橋を再建した数年後に、アルノ川の清掃中に偶然見つかり、フィレンツェが歓喜に包まれたのそうだ。

 どれが、その銅像なのかなーと見て回ってみると(こんなことしているから、スグ時間がなくなるんだよ!)、姉の意見ではコレではないかと言う。

フィレンツェ
 ちょっとこの写真ではわかりづらいが(自他ともに認める写真オンチの私による撮影だからね!)、首の所に、確かにくっつけたような跡がある。姉のこういう眼力ってするどいのよね。姉のこういう能力って、現代よりも、人間がもっと野生だった時代に役に立つんじゃないかと思う(さりげなく実の姉をディスらないで下さい。ていうか、ディスるという流行語を使いたかっただけです)。

 で、うだうだしてないで、カルミネに行くよ!今日はまだ買い物もしなきゃいけないし、ドゥオーモの屋根にも上るんだからね!あー忙しッ!(自分で好きで旅行してるくせに!)

フィレンツェ
 で、これがサンタ・マリア・デル・カルミネ教会でござる。結構デカイのだ。教会自体は無料なのだが、あのマザッチョの絵で有名なブランカッチ礼拝堂は、教会の右手の、ちんまりしたドアから入り、入場券を購入する。

 ここまで来るとさ、3年前に宿泊した、カルミネ教会のすぐ横のレジデンスのオーナーの、上品なおじいちゃんに会いに行きたくなるよ(元気かなあ)。でもね、さっきも言ってたけど、今日は忙しッなんだよ。本当は、忙しいからって、人への挨拶を端折っちゃいけないのだけどさ、ごめんよ、おじいちゃん。いつか、また、宿泊したいなあ。アルノ川の向こう側に宿泊するのって、中心街に宿泊する時とが、ガラッとフィレンツェ旅行そのものが変わる感じがするのだ。

 ブランカッチ礼拝堂は、本当は要予約のはずなのだが、以前と同様、3月は、予約の必要はなく、すぐに中に入ることができた。以前と何か雰囲気が違うと思ったら、前入った時は、礼拝堂にだけ明かりが点いていて、教会の方は暗かったのだが、今回は教会の方も電気が点いていて明るいよ!

フィレンツェ
 こちらがブランカッチ礼拝堂から撮った教会の方.…って、有料の礼拝堂に入って、無料エリアの方にカメラ向けてんのは、観光客の中でアンタだけだよ!だって、以前は暗かったからさー。今日は明るくて感動したんだよー。

 さて!メインの、マザッチョのフレスコ画に目を向けるよ!お題は、「聖ペテロの生涯」。聖ペテロと言えば、イエスの一番弟子みたいな存在の、カギ(イエスから受け取った天国への扉の鍵)を持った、漁師出身の、いかにも漁師っぽい頑固そうなおじいさんである。初代教皇とも言われている。そのため、バチカンの大聖堂は「サン・ピエトロ(=ペテロのイタリア語読み)大聖堂」という名前なのだ。

 マザッチョさんは、「初期ルネサンス期」にあたる時代の画家さんで、だいたいフラ・アンジェリコやフィリッポ・リッピと同年代らしい。だが、マザッチョさんは、27歳という若さで生涯を閉じていて、つまり、代表作は若い時代の作品となるので、イメージとしては、アンジェリコやリッピより前に活躍してるという感じがする。

 そのマザッチョの代表作と言われるのが、このブランカッチ礼拝堂の壁画である。ルネサンスの巨匠たちが、若いころに、こぞってお手本にするために通い詰めて模写した、と言い伝えられているが、なるほど、と思えるほど、存在感のある作品である。

 こちらが、非常に有名な「貢の銭」という作品の部分。描かれている場面は「イエス一行が税を請求される→イエスがペテロに魚を取ってくるように言う→魚の口から金貨が出てきて、そのお金で税を払う」という場面である。

フィレンツェ ブランカッチ礼拝堂
 イエスがペテロに「魚を取ってきなさい」と言っている場面。もちろん、この二人が主役なのだが、ペテロよりもイエスの近くにいる金髪のイケメンが、私が西洋絵画の中で大好きなヨハネである(イケメンだからというしょうもない理由で)。マザッチョの描くヨハネは、そんなに甘い雰囲気がなくて、キリッとしたギリシャ彫刻系イケメンだね。(主役はヨハネじゃなくてペテロですよ!)

フィレンツェ ブランカッチ礼拝堂
 もと漁師だから、ペテロは魚を取ることなどお茶の子さいさいである。だって素手で捕まえてるよ、素手で!で、この作業中のペテロさんが、何だかもっと後の時代に庶民の生活を描いたブリューゲルみたいな、聖人というよりは、ひたむきに作業に没頭するような、素朴な印象だ。黄色いローブを脱いで魚を取っている姿も、実にリアルである。

フィレンツェ ブランカッチ礼拝堂
 こちらは全然別の場面で、裸の男性に、ペテロが洗礼を施している場面。注目は、何と言っても、筋肉美の、この洗礼を受けている男性であろう。まさか、この日に脱ぐことを想定して、鍛えたんじゃあるまいな…というアホな憶測は置いといて、この筋肉男性が、ミケランジェロなどに影響を与えたのではないか、ということは、想像に難くない。

フィレンツェ ブランカッチ礼拝堂
 こちらは、全く別の場面だが、これもまた非常に有名な、マザッチョの「楽園追放」。この激しいアダムとイヴの後悔の表情、男性と女性の違いがはっきりわかる筋肉表現…後世の今という時代からこの作品を見ると、神の国(中世)を人間は出ていくけれど、その先には、人間らしいルネサンスの世界が待っていることを暗示しているような、まさしく、ルネサンスの扉を大きく開く作品となっているのがおもしろい。

 ちなみに、この楽園追放のお向かいには、マゾリーノ作の「原罪」という作品があり、よくマザッチョと比較されている。

フィレンツェ ブランカッチ礼拝堂
 ろくろ首みたいなヘビが印象的だが、この作品と比べて、マザッチョがいかに絵画に革新をもたらしたか、などと言うように、どちらかというとディスられる傾向にある作品だが、個人的には嫌いな絵ではない。

 この礼拝堂は、マザッチョひとりで仕上げたのではなく、今挙げたマゾリーノや、もっと後の時代に、フィリッポ・リッピの息子のフィリッピーノが未完成部分を仕上げている。

フィレンツェ ブランカッチ礼拝堂
 収監されていたペテロが、天使の導きによって、看守が眠っているすきに脱獄するエピソード。天使や眠っている看守の顔立ちが、フィリッピーノ・リッピの絵に特徴的な顔である。この作品もなかなか味がある。

 …というように、ブランカッチ礼拝堂は、マザッチョ以外の絵もあるので、どれがマザッチョの絵なのか、最初は推測しながら鑑賞してみるのもおもしろいかもしれない。キーワードはとにかく筋肉である。リアリティあふれる筋肉が、この作品に文字通り肉感を与え、迫力のある作品に仕上がっているのだろう。

 あー、やっぱり壁画に囲まれた礼拝堂っていいね!プラートのドゥオーモとか、アレッツォのサン・フランチェスコ教会とか、オルヴィエートのドゥオーモとか!宗教画ってのは、美術館で見るよりも、教会で見た方が、なぜだか心にグッとくるのだ。私は信者でも何でもないくせに。

 さて、ブランカッチ礼拝堂で、おなかいっぱいになった所で、一息入れようっ!

3/17フィレンツェ10 街角のロッビアへ続く

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3/16フィレンツェ8 バッカスルール始めました

<今回のイタリア旅行記メニュー>
●ウッフィツィ美術館

 フィエーゾレから帰ってくると、時間は17時前くらいであった。

 今日はフィエーゾレ遠足にも行ったので、母はレジデンスに戻って休憩。

 姉と私は、この時間から、フィレンツェで遊べる場所はどこかな?と、地球の歩き方をめくったが、結局ウッフィツィ美術館に入ることにした。

 …って、おととい入ったばっかりじゃんよ!というツッコミが聞こえてきそうだが、フィリッポ・リッピ大好きの姉と、ボッティチェリ作品をはじめルネサンス作品大好きの私にとって、ウッフィツィ美術館は、いついかなる時でも入りたい美術館なのである。ていうか、いつか、丸一日ウッフィツィ美術館に籠りたいよ。

 ウッフィツィ美術館と言えば、行列ができる美術館で有名である。ある程度、人数制限をしなければ、中の混雑が大変なことになってしまうのだろう。この行列をすっ飛ばして中に入るには、4ユーロ払って、予約をすることである。

 ちなみに、この予約は、行列に並んでから、「あー、やっぱこの行列に並ぶのやだわー」と思ったら、その場で予約することもできるらしく、行列から見えている電光掲示板でその旨を案内している。

フィレンツェ ウッフィツィ美術館
 この掲示板。「この行列をスキップしたくない~?」と、誘惑してくる。

 この誘惑に負けた場合は、一度この行列から離れて、ロープで仕切られている、もう一方の(おそらく)空いている入口から中に入り、当日の予約できる時間帯があれば、4ユーロ支払って予約すればいいようだ。場合によっては、すぐ入場できることもあるだろうし、後ろの時間帯しか開いていない場合は、予約だけしておいて、予約の時間まで、フィレンツェの他の場所で遊んでおけばよい。
 
 このシステムだと、4ユーロは予約代というよりは、「行列をすっ飛ばすための価格」って感じである。まあ、私はシーズンオフの冬季にしかフィレンツェに来ることがないから、予約しなくても、行列に並びながらガイド本でも読んで、ウッフィツィ美術館の予習をするのがちょうどいいのだが、観光シーズンの夏季には、ディズニーランドの人気アトラクション並みの待ち時間になるのかもしれない。

 ちなみにこの日は日曜日なので、おとといよりは行列が長くて、待ち時間は20分と案内されていたが(さっきの電光掲示板)、実際は10分くらいで中に入ることができた。相変わらず荷物検査では、ポーンと音が鳴ったのだが、いつものように係員さんは「気にするな、気にするな」と中に入れてくれた。日本人観光客女性ってのは、信用されすぎである。我々がキャッツ・アイ姉妹だったらどうするのよ~?(ありえません。キャッツ・アイはナイスバディです。知らない方のために、キャッツ・アイは美術品ドロボウです)

フィレンツェ ウッフィツィ美術館
 こちらは、おそらく、夕方から入場する客へ向けた貼り紙。要するに「ウッフィツィ美術館は18時50分に閉まるから、35分くらいからは退館する準備をしやがれ☆」と書いてある。

 多くのイタリア人が、もっともテキパキと働くのは、美術館などを閉める準備をする時だと思う。あんなに時間にルーズな人たちが、こういう閉館時間だけは時間ピッタリに、時には時間より早く閉めてしまうのだ。定時に帰りたいんだね。私はどちらかというと…このイタリア人たちの気持ちがわかる方の人間である(怠け者ではなく、プライベートな時間を大事にする人間だということにしておいて下さいっ!)。

 入場したのは17時半前だったので、実質、一時間くらいしか鑑賞できない。そこで、姉と分かれて、18時半にカラヴァッジョの部屋で待ち合わせることにした。

 とりあえず一時間しかないので、今回は、ジョット達など、ルネサンス以前の作者さんたちの部屋はすっ飛ばして、フィリッポ・リッピ作品の絵がある部屋から入った。ウッフィツィ美術館は、長ーいコの字型の廊下から、ギャラリーに出たり入ったりできるので、場所を覚えると、途中を省略したり、元の場所に戻ったりが簡単にできる。

 私は、一つの絵を長ーく見続けるのが好きなので、ウッフィツィ美術館では、大好きなボッティチェリの部屋にはかなり居座ってしまうことが多い。今回は、一時間しかないので、断腸の思いでボッティチェリの部屋は短めの滞在で引きあげた(とは言っても15分はいましたけどね!)。

 今回、私の心に新しく響いたのは、ペルジーノ!日本では、ラファエロの先生として知られる画家さんで、本人の作品は、それほど有名ではない。「ラファエロの初期作品は師・ペルジーノからの影響が強いが、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロの影響を受けてからの中期以降の作品が素晴らしい」というように、弟子のラファエロに超えられてしまった画家として語られることも多い。

 ペルジーノの作品が、ルネサンスの三巨匠と呼ばれるミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロなどに比べて評価されないのは、それほど独創性がないこと、聖人たちがただ並んでいるだけの平凡な宗教画が多いこと、そのためか似たような構図が多いこと、弟子の手が入っているせいか作品の出来不出来の波が激しいこと…などが上げられるだろう。つまり、ルネサンス期の大きなキーワードである、「人間理性の目覚め」を感じさせるような作風ではないのである。

 しかし、こういった「評価」と、作品が「好き」かどうかは、また別問題である。作品の出来に波があるため、ペルジーノ作品を見ても「こんなもんかー」と思うことが多かったのだが、数年前、フィレンツェのサンタ・マリア・マッダレーナ・デ・パッツィ修道院にあるペルジーノ作の壁画を見て以来(この絵はペルジーノの傑作のひとつと言われる)、ペルジーノさん結構好きかも…と感じるようになったのだ。

 ウッフィツィ美術館のペルジーノ作品は、レオナルド・ダ・ヴィンチの受胎告知の近くにある。気に入った作品が2つほどあった。

フィレンツェ ウッフィツィ美術館
 まずこちらは…聖母子と洗礼者ヨハネと聖セバスティアヌス(館内は写真撮影禁止なのでこちらはポストカード)。構図そのものは、人物が、単調に並んでいるだけで、あまり目を惹かない作品かもしれない。

 しかし、左側の洗礼者ヨハネの表情が、深みがあり、聖人らしい慈愛というか、包容力というか、ペルジーノらしい、俗っぽく言えば「やさしさ」を感じる。

 そして、もっと俗っぽいことを言うと、聖母マリアがすっごく美人なのである!ペルジーノに影響を受けているというラファエロの初期作品にも見て取れるように、ペルジーノの描く女性や中世的な男性は、伏し目がちで、口が小さい…ややおちょぼ口という特徴がある。この顔つき、私は結構好きなのだ。

 そして、あのレオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」の左側にあり、あまり観光客が目を向けていないところにも、気に入ったペルジーノ作品があった。主題は「ピエタ」で、息を引き取ったイエス・キリストの身体を、聖母マリア、マグダラのマリア、使徒ヨハネなどが支えながら悲しんでいる。(ポストカードは残念ながら販売していなかった。画像を見たい方は、イタリア語版Wikipediaで見れます)

 こちらも、構図的には、それほど目を引くものではない。中心でイエス・キリストの身体を支える聖母マリアが虚ろな表情をしていて、あまり、子供の死に面した母親の感情が表現できていないようにも思える。

 しかし、左右でイエス・キリストの死を悲しんでいる使徒ヨハネとマグダラのマリアの、美少年・美少女が、これまた俗っぽい言い方だが、あまりにもかわいらしいのである。「ピエタ」の場面には、よく描かれる両者だが、このペルジーノ作品では、他の同主題の作品に比べて、非常に二人が年若く見える。

 その分、聖人が神の子の死を悼む、というより、あまりまだ死の意味を深くはわかっていない普通の少年・少女が、慕っている人の死を、ただただ純粋に悲しんでいるような、ピュアさが全面に出ているように感じた。よくよく見てみると、二人の目の下には、涙も描かれているのだ。

 しかし、泣いているのに、表情は崩れていない。その分、泣こうとして泣いていないというか、涙はただただ流れているというか…。人が感情を表に出す時は、程度の差はあるが、おそらく他者の目を意識している。自分の感情を、誰かにわかってもらおうという気持ちが、どこかにある。そういう他者の目をほとんど意識しない、純粋な感情…若さゆえのイノセンスのようなものを、この絵に描かれた二人から感じた。「ピエタ」という主題とは全然関係ないことかもしれないが。

 ちなみに、この作品、レオナルドの「受胎告知」の左隣にあるため、「受胎告知」に人が集まってしまっている時は、非常に見づらいが、「私だけのペルジーノ!」とか思いながら独占することはできる(それがどうした)。

フィレンツェ ウッフィツィ美術館
 廊下から、ヴェッキオ橋と夕焼けが見えたのでパチリ。この廊下部分から、外の風景を撮影するのはOKである。ウッフィツィ美術館は、アルノ川近くに位置するので、ヴェッキオ橋の眺めが素晴らしい。

 2日前には母がカフェに入りたいと言った。このカフェからは、ヴェッキオ宮がしっかり見えるし、ドゥオーモのクーポラも見える。ただ、あまり高さがないので、フィレンツェ全体のパノラマとまではいかない。このカフェは、コーヒーなどもまずまず飲める味であった。バチカン美術館のカフェは、それはそれはヒドイ紅茶が出てきたからね!

 さて。2年ぶりに来たウッフィツィ美術館は、いろいろと展示場所が変わっていた。一番大きいのは、上の階(最初に鑑賞する階。3階にあたる)の、ミケランジェロ作品の近くに置かれていたラファエロ作品が、下の階に移動したことだ。

 2014年秋に上野の東京都美術館で催行された、「ウフィツィ美術館展」に合わせて特集が組まれた芸術新潮 2014年 10月号によると、下の階での展示が始まったのが2004年で、それからずーっと拡張工事が続けられているため、展示の場所がいろいろ変更になるのだそうだ。なので、ここで紹介している場所も、また変更があるかもしれないので、ご注意を。

 下の階に降りて、左手側には、イタリア以外の芸術家の作品が主に集められていた。そのエリアで、今回じっくり見たのは、エル・グレコ!

フィレンツェ ウッフィツィ美術館
 「福音書記者聖ヨハネと聖フランチェスコ」(ポストカード撮影)
 
 エル・グレコは、マニエリスム期の画家さんに分類されるが(ルネサンスの後の時代)、同時代の画家さんたちに比べ、かなり斬新な画風である。マニエリスム期は、自然的・理性的な芸風が好まれ、よく絵画の黄金時代とも言われるルネサス期の後の時代なので、前の時代の芸風から脱却するためか、やや大げさで奇をてらったような絵も多く描かれる。

 しかし、だからと言って、ルネサンス期の作品と比べて、素人が見て大きく違うような…実際の世界を模写するより自分の世界観を自由に描いているような、人物表現が現実の人間からかけ離れている作品は、それほど多くない(と私は思う)。

 そんな同時代の作品と比べて、エル・グレコの絵柄は、あまりにも自由である。現実の人間とは思えないくらい色白のヨハネに、そのままアニメーションとして動き出しそうなくらい、リアリティのない(つまり現実の人間には見えない)フランチェスコ。そして、何か、大きな出来事がこれから起こりそうな、ちょっと落ち着きのない背景の空。空の色も、まるでアニメーションのように変わって行きそうな雰囲気である。一言でいえば、劇的である。

 エル・グレコの作品は、私みたいな素人でも、一目で「あ。エル・グレコだ」とわかってしまう。エル・グレコが生きた時代は、まだそういう時代ではないはずなのだけど、まるで、パトロンに頼まれて描いているのではなく、自分の芸術表現のために描く、現代の芸術家さんみたいだ。

 ちょいと前に、日本でエル・グレコ展があり、代表作のひとつ「無原罪のお宿り」も来日し、結構エル・グレコ好きだな、と思った。そういうテーマではないはずの宗教的場面を描いているのに、何か、人を不安にさせるような、不穏な雰囲気が漂っているのが良い(こういうのが好きな、中二病から卒業できないワタクシ)。いつか本場のスペインに行ってみたい。スペイン行ったらムリーリョも見たい。スペインの話終わり。

 さて、最後に姉と、カラヴァッジョのバッカスの前で待ち合わせ。

ウッフィツィ美術館
 「まあ、飲めよ」と言わんばかりの、ほろ酔いのバッカス。衣服がはだけているのが、酔っぱらいの露出狂オヤジのようだ。(もちろんこの画像もポストカード)

 バッカスはギリシャ神話のディオニュソスと同一視される神で、本来はイケメンと言われているらしい。バルジェッロ国立博物館にあるミケランジェロのバッカスは、結構なイケメンである。

 しかし、このカラヴァッジョ作のバッカスが強烈すぎて、私にとって、バッカスは酔っぱらいオヤジみたいなイメージになってしまった。このバッカス、よくよく見ると、爪が紫色で、お酒を飲むだけじゃなくて作ってるんだよ、働いてるんだよ、という地味なアピールがあるのだが。爪が葡萄の色に染まるといえば、林真理子の葡萄が目にしみる (角川文庫)を思い出すなあ。

 そんなバッカスなのだが、ヤツの前に立つと、何だか脱力してしまう。まあ、私は普段から脱力気味の人間なので、これ以上脱力する必要はあまりないのだが、肩の力を抜く必要があることも時にはある。それは、ケンカしている時である。

 姉と私は、どちらも我が強いので、必ず旅行中にケンカをする。そんな時に、このバッカスを見て、力を抜いて、ケンカをやめたらどうか。そんな「バッカスルール」を始動するため、このバッカスのポストカードを購入して帰った。来年以降、旅行には携帯せねばなるまい。

 さて。ウッフィツィ美術館近くのバールで、こんなものを見つけた。

フィレンツェ おむすび
 …私は、よく旅行記の中で、「イタリア旅行終盤におにぎりが無性に食べたくなる!」と書いてますけどね、本当にイタリアでおにぎりに出会うことになろうとは…。「おにぎり始めました」という微妙に笑えるニュアンスの日本語といい、コレ、確実に日本人が販売に絡んでるだろ…!

フィレンツェ おむすび
 お店の人に許可を頂いて、撮影したおにぎり。一種類しかなかったが、「とりめし」である。実は、このバールに行ったのは、2日前のウッフィツィ美術館訪問時だったので、傍らにいた母が、「買って帰ろうよ!」と言い出した。姉と私は、懐疑的ではあったが、食べて後悔せよ!の精神で(食べ物に関することにこの精神を適用したら、痛い目に遭う可能性があるのでやめた方がいいよ!)、購入した。

 お味は、きちんとだしが効いていて、絶対コレ、日本人が絡んでるな!という味であった。残念なのは、どうしても、米が日本米ではなく、硬かったことかな。だから、とりめしとかにしないと、白米でのおにぎりは作れないのかもしれない。だが、おにぎりの精神(何それ)から大きく外れたものではないので、フィレンツェでおにぎりへのノスタルジアに駆られた場合は、おすすめしたい。ウッフィツィ美術館とヴェッキオ宮に挟まれた通りにあるバールである。

 家への帰り道、レプッブリカ広場の老舗カフェ・ジッリで「ウンカフェ(=立ち飲みエスプレッソ)」した。

フィレンツェ
 バリスタさんはコーヒーアートを作ってくれて、左のカップを指さし「チイサイノ」、右のカップを指さし「オオキイノ」と言ってウィンクした。…日本人観光客向けの持ちネタだな。まあ、楽しそうだからヨイのだ。

 明日はいよいよ、観光最終日である。いやー、今年の旅行記は、書くのに長い時間を費やしたなあ…(まだ終わってませんよ!)

3/17フィレンツェ9 楽園を出てルネサンスへ行こう!へ続く

イタリア旅行記2014もくじ

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貧乏なくせに、イタリア旅行というお金のかかる趣味を持ってしまった、「イタリア旅行貧乏」です。旅行は楽し♪びんぼーも楽し♪がモットーです!
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好きなイタリアの画家はボッティチェリ!

(limba→辺獄へ和訳改名しました!)

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