イタリア旅行記ブログ イタリア旅行は楽し

イタリア旅行大好きの管理人が、実際にイタリアに足を運んだ経験・情報に基づいて、イタリア旅行情報を発信してます。
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3/14ミラノ7 楽隊は見た!昼下がりの落椅子

<本日のイタリア旅行記メニュー>
●アンブロジアーナ絵画館

 昨夜、チャンピオンズリーグの観戦から帰ってきたのが、深夜0時頃だったため、この日の朝はゆっくりと寝て、9時過ぎころに起きた。今日は、21泊の旅行の20泊目。明日は、帰国の日なので、実質、観光できる日としては、今日が最後なのである。

 この、最後の観光日を迎えると、毎年私は、旅行が終わるという悲しみと、悔いのない最終日を送ろうという気合が相まって、いつも軽くハインテンションで、浮ついた一日を過ごしてしまう。「今日で旅行が終わってしまう、悲しいよ」→「また来年来ればいいさ」→「でも来年って遠いよ…」→「考えても仕方がないので、とりあえず今を楽しめ!」→「…でも今日で旅行は終わりだよ」→以下繰り返し…という思考サイクルが、ほぼ一日中私の脳内を永劫回帰するのが、旅行最終日という日である。

 この日の観光は午後からスタートすることにして、午前中は、宿泊しているレジデンスから歩いてすぐのミラノ中央駅に行って、おみやげを買ったり、明日の飛行機に持ち込むおやつなどを買ったりした。ミラノ中央駅には、有名な「Venchi(ベンキ。いたずらに漢字を当てたりしてはいけないよ)」というチョコレート屋さんが入っている。板チョコから箱詰めまで売っているので、日本へのおみやげを購入するにはおすすめのお店である。ここのチョコレートはあんまり甘くなくて、大人向けの上品な味である。味覚がコドモの私には少し物足りないが、母と姉は絶賛していた。

 その後、お昼のパニーノを買おうと、バールやカフェをのぞいていると、1階に超有名なパニーノ屋さんの「Panino Giusto(パニーノ・ジュスト)」を発見した。日本にも支店がある店である。ドゥオーモの近くに本店があると聞いていたが、中央駅にも店舗があったのね。もちろん、このパニーノ・ジュストでパニーノを購入することにした。

 メニューから作ってほしいパニーノを選び、オーダーを受けてからパニーノを作ってくれるという、何とも本格的なパニーノ屋さん。メニューは、生ハム、調理ハム、ローストビーフ、鶏肉、野菜のみなどと、大まかに分けてあって選びやすかった。「Montagu」というローストビーフにレモンなどが入ったもの、「Summer Turkey」という名の通りターキーが入ったもの、「Kumi」という何故か日本人女性の名前の付いたベジタリアン用、の3種類を注文した。

 値段は5~7ユーロで、普通のバールなどのパニーノは、だいたい3~4ユーロであることに比べると高い。ただ、日本の物価で考えると、普通の値段だと感じる。また、持ち帰り用に入れてくれた紙袋も、ついぞイタリアでは見たことが無いような、しっかりした立派な紙袋であった。つまり、高級パニーノなのである。味は、お上品で美味しくて、まさに高級パニーノって感じだった。特に、「Summer Turkey」は美味しかったので、おすすめである。日本の支店も、同じような味が再現できているのかなあ。ちょっと行ってみたいよ。

 さて、今日はまず、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵があることで有名な、アンブロジアーナ絵画館に行くことにした。レオナルド・ダ・ヴィンチは寡作で、何せ完成した作品が少ないので、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵を所蔵しているということは、それだけでその美術館の大きな大きなアピール材料となる。

 だが、このアンブロジアーナ絵画館は、レオナルド作品だけでなく、カラヴァッジョの静物画や、ボッティチェリ、ティエポロの作品なども所蔵し、有名なラファエロの、バチカン美術館にある「アテネの学堂」のデッサンも展示している。これだけ姉と私の好きな芸術家の作品を所蔵していて、しかも建物そのものの内装の美しさも有名、と、実に実に魅力的な絵画館なのだが、なぜ3年前にミラノに行ったときは、この絵画館に行こうと思わなかったんだろう?

 …と、「地球の歩き方」を見ながら、3年前の旅行計画を立てた時のことを思い出してみると、アンブロジアーナ絵画館に行かなかった理由を容易に思い出した。それはね、アンブロジアーナ絵画館の入場料が、イタリアの美術館の相場と比べて高いんですよ!15ユーロっ!

 フィレンツェのウッフィツィ美術館が6.5ユーロ、アカデミア美術館が6ユーロ。同じミラノのブレラ美術館が6ユーロ。建物そのものに価値がある、と言うのが大きいのだろうけれど、同じように邸宅美術館であるフィレンツェのパラティーナ美術館は8.5ユーロ。ローマのバチカン美術館は15ユーロだが、バチカン美術館は、ものすごく大きくて、所蔵品の多さも半端ないので、15ユーロでも安いくらいである。

 …よく考えれば、イタリアの美術館の入館料は非常に安い。よく考えれば、このアンブロジアーナ絵画館の15ユーロというのも、日本円で考えれば1500円強なので、日本の美術館の入館料などを考えれば、それほど高くない。だが、3年前の私は、「レオナルド作品持ってるだけで、ウッフィツィ美術館の2倍以上の値段とか、ぼったくってるよ、この美術館っ!」と、訪問しなかったのである。貧乏人のカガミといえばカガミだが、レオナルド、カラヴァッジョ、ボッティチェリだけで十分に15ユーロの価値はあると思われる。アンブロジアーナ絵画館が高いのではなく、他のイタリアの美術館が安すぎるのだね。3年前の私はオロカであった。オロカからの脱出は、オノレのオロカさを自覚することから始まると、ソクラテスが似たようなことを言ってたね!

 アンブロジアーナ絵画館は、ドゥオーモから歩いて行ける距離なので、地下鉄でドゥオーモまで行き、ドゥオーモに一目会って挨拶してから、絵画館に向かうことにした。

 天気がよくて、ドゥオーモさんは、青空に光り輝いていた。今年の旅行は、本当に天候に恵まれている。母は自分が晴れ女であるおかげだと胸を張っていたが、本当にそのおかげかもしれない。ドゥオーモの前で、まだ3人で写真撮影をしていなかったので、通りかかったイタリア人に撮ってもらった。長身でイケメンなイタリア人だったが、撮れた画像を見た瞬間、姉は彼に撮り直しを命じた。

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 これが、姉に即不合格と言われた写真。姉は、このイタリア人に、「ドゥオーモが途中で切れているので、全部入れてほしいんですよね」と注文していた。イケメンにもキビシイ姉。…というか、写真が下手なことで有名な私でも、この写真はマズイと思う。本当にイタリア人は、写真が下手な人が多い。何でだろう。ルネサンス画家たちの末裔のはずなのに。絵描きさんとカメラマンさんの芸術の才能は違うのかもしれない。

 では、いざアンブロジアーナ絵画館へ参ろう。ドゥオーモ広場からは、歩いて5分くらいであった。

アンブロジアーナ絵画館
 こちらがアンブロジアーナ絵画館の外観。

 中に入ると、たくさんのパンフレットをもらった。絵画館のパンフレット、レオナルド・ダ・ヴィンチのパンフレット、館内の地図。おー、さすが15ユーロの美術館。受付の係員さんは、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵は、順路の最期になります、と口頭で説明してくれた。やはり、レオナルド作品は、この絵画館の大目玉も大目玉なのだな。ちなみに、トイレは、この1階の受付のすぐ近くにあるエレベーターで地下に降り、降りた所にすぐある。館内に他にトイレは見当たらなかったので、入館する前に済ませておこうっ!

 最初は2階へと上り、絵画が展示しているスペースの鑑賞である。遠目ですぐボッティチェリの絵が発見できたが、このボッティチェリの作品の前に座って、模写している人がいたため(美術系の学生さん?)、ボッティチェリは後回しにして、ティツィアーノの絵や、ティエポロの絵などを鑑賞した。それほど入場客は多くなくて、ゆっくり鑑賞できたのだが、ハイヒールを履いた女性客が、時間がないのか、かなり早歩きで歩き回っていて、ハイヒールの音が響き渡って騒々しかった。静かな美術館では、足音にも気を付けなきゃな、と感じた。

 このアンブロジアーナ絵画館は、係員さんたちもヒマそうではあるが、他のイタリアの美術館のように大声で私語してないので、静かでいい雰囲気だった。イタリアでは、係員の私語がうるさすぎて、鑑賞に集中できないなんてトンデモナイコトがよくあるのである(ヒドイ時には、係員さんがひまつぶしにやっている、PCゲームの音が響いていることもある)。やっぱり15ユーロもする絵画館だから、係員教育もしっかりしているのだろうか。

 ボッティチェリ模写の人が移動したので、ボッティチェリを見に行くと、………変な絵!!!

アンブロジアーナ絵画館 ボッティチェリ
 (館内撮影禁止だったので、こちらは購入した冊子を撮影した写真。)

 「天蓋の聖母子」というタイトルの絵なのだが、遠近法はオカシイし、聖母マリアは頭でっかちでバランスがオカシイ。それ以上に、聖母子を取り巻いている天使との、人物の大きさのバランスもオカシイ。一番変なのは、この写真ではわかりづらいが、聖母マリアの乳房から、ミルクが飛び出していて、幼子イエスに到達しようとしている、その図がオカシイ。

 ボッティチェリは、一時期フィレンツェで人気を博した、風紀委員のような僧・サヴォナローラに心酔してから、画風が変わっていく。おそらく、これは、ボッティチェリの絵が、変化してからの作品なんだろうな、と思って成立年代を見ると、1493年であった。サヴォナローラがフィレンツェで人気が高まりはじめるのが、だいたい1490年頃からで、ボッティチェリの作品も、1490年頃を境に変わっていく。

 この変化をものすごく簡単に言っちゃうと、「春」や「ヴィーナスの誕生」を描いていたころのボッティチェリ作品は、キリスト教的な道徳観に比較的縛られず、自由に人間像を描く、ルネサンス美術の魅力を存分に発揮している。「春」や「ヴィーナス」はそもそもキリスト教モチーフの作品ではないし、キリスト教モチーフの作品でも、絵の中に登場する聖母マリアや天使たちは、まるで触れると体温があってやわらかい、人間であるかのように描かれるのである。

 だが、キリスト教道徳を厳しく説くサヴォナローラに心酔してからは、画風が、中世画に逆戻りしたかのようになる。キリスト教道徳が芸術をも厳しく縛っていた中世は、聖母や幼子イエスが、普通の人間ではないことを示すため、わざと平面的で、現実感のない描かれ方をされるのだ(中世画がヘタクソに見えるのはそのため)。サヴォナローラ以後のボッティチェリ作品も、遠近感が崩れ、人物のデッサンがおかしくなり、これは絵であり現実ではない、という雰囲気になる。何も知らずに見ると、「ボッティチェリ、絵が下手になったなー」と思うが、おそらく下手になったんじゃなくて、わざとそういう風に描くようになったのだろう。

 しかし、オカシクなってからのボッティチェリの絵は、最盛期の絵とはまた違う形で、私の胸を締め付けるよ。他人の思想に心酔して画風を変える、なんて、言ってしまえば、主体性のない楽な作業に思えるけど、滑稽なほどにバランスを崩した後期作からは、何だかボッティチェリの苦悩が伝わってくる気がするのだ。自由に美しい絵を描きたい芸術家としての自分と、サヴォナローラが正しいと思うキリスト教徒としての自分。その2つの相反する自分が、せめぎ合う苦しみが、この滑稽で重苦しい画面に滲み出ているような。もちろん、私の妄想にすぎませんけどね!

 で、私がボッティチェリを語り出したらキリがないので、ラファエロに行きましょー!ラファエロの、あの名高いバチカン美術館の「アテネの学堂」のデッサンっ!デッサン段階の下絵から、完成作品を描くときに、変更した部分などを見るのがなかなか興味深い。このデッサン絵の前には、タッチパネルがあって、完成作品と見比べられるようになっている。デッサンなので、着色していなくて白黒なのだが、白黒のデッサン絵を見ていると、ラファエロが、現代に生まれて、マンガを描いても相当上手だっただろうな、というのがわかる。井上雄彦(スラムダンクの作者)の絵みたいだったよ!(逆にラファエロのデッサンに似た絵を描く井上雄彦ってスゴイ)。

 それから、この美術館の目玉作品の一つ、カラヴァッジョの「果物籠」。これは、予想通りに魅力的な作品だった。最初見た時は、やっぱりカラヴァッジョは人物の絵の方が迫力あるかなーと思ったが、この静物画は、見れば見るほど目が離せなくなっていく。籠の中の果物や植物は、よくよく見ると、傷んでいたり、しおれていたり、枯れていたりする。いわゆる、「あらゆるものは変化して行き、やがて死を迎えるんだぜ」という、平家物語でいうところの「諸行無常の響きあり」を表現する「ヴァニタス画」の一種である。そのままずーっと眺めていると、このまま果物や葉っぱのしおれが、どんどん進行していきそうな、妙な怖さがある。カラヴァッジョに、こういう一癖ある絵を描かせると、やっぱり天下一品である。さすが問題児画家。

 絵画の展示部門を鑑賞し終わり、次の部屋からが「キレイなお屋敷ゾーン」に入るようだ。そうそう、このアンブロジアーナ絵画館は、展示している絵だけでなく、建物そのものも美しいんだった。この「キレイなお屋敷ゾーン」に足を踏み入れると、どこからともなく女性の係員さんがサササッと登場し、いったん中庭っぽいところの外廊下に出て、そこの階段から3階に上って鑑賞してくるように、と説明した。

 ここのキレイなお屋敷ゾーンはほとんど人がいなかったので、入り口付近にある休憩用の椅子にコートを置いて鑑賞したので、3階に行くためにそのコートを取りに、入口方向にいったん戻ろうとすると、この女性係員が立ちふさがった。「ダメよ、ダメよ!3階もぜひぜひ見なきゃ!!!」。何て仕事熱心なんだ!やはりさすが15ユーロの絵画館だよ。この女性に、「椅子のところにコートを置いてきちゃったので、取りに戻るんです。3階も必ず見ますから!」と説明すると、通してくれた。

 コートを無事に回収してから、女性係員に言われた通り3階へ行くと、何と美しい部屋!彫刻が並び、らせん状に曲がった階段のラインが、何とも美しい!あの女性係員が、絶対に見せたい、と思うのもよく分かる。もしかしたら、レオナルド作品を見るために、このゾーンをすっ飛ばしてしまう観光客がいるのかもしれないなあ。それにしても、美しい階段だ。モザイク装飾が施されていて、そこに描かれたイエス・キリストが、今まで見たイエスの中で、最もオシャレな髪型をしていた。髪の毛の一部を編み込んでいるのである。オシャレすぎるイエス。

 この先の部屋も、非常に美しかった。学問のアレゴリーの彫像が並べられていて、音楽とか、地理学とか、歴史学などを擬人化した像でかわいらしかった。日本のコミックでは、ヘタリアが擬人化ブームを巻き起こしたけど、イタリアでは、もっと前から擬人化が行われていたわけだね。それにしても、学問の擬人化っていいねえ。私も、中高時代に、数学の擬人化、とかでイケメンキャラが描かれていたら、もっとまじめに数学の勉強してたかもしれない。人間って、そういうものよ!

 ちなみに、学問のアレゴリーの反対側には、徳のアレゴリーで、正直とか慈愛とかを擬人化した像が並べられていたのだが、その像の前に眠りこけているオヤジの像がずらっと並んでいた。何のこっちゃ?オヤジたちは悪徳の擬人化で、それが眠っている、と言いたいのかな?よくわからんよ。

 この部屋もほとんど貸し切り状態だったのだが、やはりどこからともなく係員がチャッと現れ、入館客を正しい順路へと導こうとする。やはり15ユーロ絵画館。今まで入ったイタリアの美術館で、こんなに係員が仕事熱心な美術館はなかったよ。この係員はおじいさんで、「次の部屋ではぜひロンギの作品を見てください」と言われた。ロンギ見たよ。普通だった。

 さて、この後は階段を下って、いよいよレオナルド・ダ・ヴィンチの作品とご対面である。この絵画館、レオナルド特別扱いしすぎである。もったいぶりすぎ。しかも、「レオナルドの間(キラーン)」という部屋まで作って、展示しているのだが、この「レオナルドの間」に、レオナルド作品はひとつしかない。あとは、レオナルド作品の真似っこ作品を並べているだけ。こんなんで「レオナルドの間」とは笑止だよ(笑止ってのは一輝用語)。

 で、満を持して登場したレオナルド・ダ・ヴィンチ作「楽隊の肖像」。

アンブロジアーナ絵画館
 こちらは、購入したポストカードを撮影したもの。館内は撮影禁止です。

 何と言うか、やっぱりいいね、レオナルド!レオナルド作品は独特で神秘的と言われるけど、この絵も、この楽隊さんが見つめる先に、一体何があるのか、妙に気になってしまう。それだけ、人物の表情が絶妙なのだ。人間って、ふとした時に、こういう表情するよね!みたいな感じ。楽隊さんだから、手に持っている紙は、楽譜かなあ。そういうことが、いちいち気になってしまうのだ。ずーっと見ていて飽きない作品。レオナルド・ダ・ヴィンチの完成した作品ってのは本当に少ないけど、その中でもこの絵は、絵画館そのものがそんなに混雑していないので、好きなだけゆっくり静かに向き合える、数少ないレオナルド作品かもしれない。ウッフィツィのレオナルド作品前はいつも混雑しているし、「最後の晩餐」も鑑賞はわずか15分だけしかできないしね。

 このレオナルドの間の隣りは図書館になっていて、ここに、レオナルドが遺した手記の原本が展示されている。図書館そのものも美しくて、レオナルド手稿も非常に興味深かった。空を飛ぶための道具を考案するメモが多数展示されていて、おそらく空を飛ぶ研究のために、鳥の飛び方や翼の仕組みを図解したメモもあった。月の満ち欠けのメモ書きもあった。コレ、書いてある文字が読めたら、もっと面白いんだけろうけど!ちょうど、この旅行には、レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 上 (岩波文庫 青 550-1)を持ってきていたのだが、おそらく、ここに展示されている手稿の内容は、下巻に収録されている「鳥の飛翔について」などの箇所だと思われる



レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 下 (岩波文庫 青 550-2)

 こちらが下巻。ちなみに、上巻は文系娘の私でも楽しく読めたが、下巻は理系話が満載で、難しすぎてわからなかった。

 この手稿をじっくり見た後、最後に楽隊の絵を見て帰ろうと、まだ手稿を見ている姉を残して、母と二人でレオナルドの間に戻った。二人で楽隊と向き合っていると、

ガタッ!!!

 …び、びっくりしたあ!こんな貴重な美術品が飾ってある所で、大きな音がしたらビクっとするよ!何事かと思ったら、椅子に座っていた係員のおじさんが椅子から転げ落ちたのである。おじさんは、「スクージ…」と、我々に謝った。

 母は言った。「おじさんはね、居眠りしてたんだよ。この部屋に入ったときに、お母さんはすぐ眠そうだな、と気付いたよ。頭を垂れて、もう完全にコクリ、コクリとしてたね」。…寝ぼけてて椅子から転げ落ちたのかー!この絵画館のスタッフは、ゲームをしたり本を読んだりおしゃべりをしたりすることなく、実にマジメにやってるなあと思っていたが、イタリア人をヒマにしてしまうと、眠りの世界へといざなわれてしまうのか…。だから、他の美術館では、係員は、眠くならないように暇つぶしをしているのかなあ。

 というわけで、最後におじさんが一発芸をかましてくれたアンブロジアーナ絵画館であった。母はレオナルド作品を気に入って、ポストカードを買おうとしたが、出口のところにはおみやげ屋はなくて、いったん外に出てから入口まで戻らなければならなかった。普通は、おみやげ屋は出口のところに待ち構えているのにね。入場料が高いから、おみやげ売らなくても余裕なんだね!

 とにもかくにも、展示されている絵だけでなく、内装も本当に素敵であった。また、レオナルド・ダ・ヴィンチはミラノとゆかりの深い芸術家なので、ミラノではやっぱりレオナルド・ダ・ヴィンチ作品は見るべきかも!ドゥオーモからもすぐ近いし、ミラノに行く方には、ぜひおすすめしたい絵画館である。

 この続きのミラノ散歩は、また次回。

3/14ミラノ8 ディナーは視線を釘づけにしてへ続く

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3/13ミラノ6 気になるあのコの名前はルシオ!

<本日のイタリア旅行記メニュー>
●サン・シーロでCL決勝トーナメント観戦
インテルVsマルセイユ

 さて、この日の夜は、ミラノでの最大のイベント、チャンピオンズリーグ観戦である。

 ミラノでチャンピオンズリーグ観戦。このブログを読んでいただいてる方で、サッカーに詳しい方は、あれ?と思われるかもしれない。このブログの作者は、ローマとフィオレンティーナが好きなはずなのに、なぜミラノでチャンピオンズリーグ観戦?と。なぜかと言いますとですね、母が、NA‐GA‐TO‐MOを見たいと言ったわけですよ。そのためにミラノに来たようなものですよ!イエイっ!

 ちなみに、私は、ローマやフィオレンティーナのような中堅どころのファンにはありがちなことだが、ユヴェントス、ミラン、インテルの、イタリア北部の3つのビッグクラブのことを、「悪の三強」と呼んで、悪者扱いしている。何で「悪」かと言うと、ユヴェントスは、イタリアサッカーの凋落を招いた2006年発覚の八百長事件の親玉だし、ミランは、あのベルルスコーニが会長である時点で悪役決定である(日本プロ野球でいうところの巨人みたいなもの)。

 ではインテルは?と言うと、別にインテルは何も悪いことしていない。単にお金持ちのおぼっちゃまオーナーが、お金の使い方を間違えつつ運営しているだけのチーム。じゃあ、なんで「悪の三強」なのかと言うと、インテルはついでだから、ひとくくりにしちゃっただけなわけですよ。イエイっ!

 念のために書いておくが、この3チームのファンの方、気を悪くなさらないでくださいね。ローマやフィオレンティーナのようなチームを応援する時は、この3チームを悪者にしてしまった方が、面白くシーズンを過ごすことができるわけですよ。何ていうか、平幕力士が横綱に勝った時に、座布団を投げたくなる気持ちと一緒なわけですよ。ご理解くださいませ!

 というわけで、インテルも、私にとっては敵役なのだが、今夜見に行く試合は、セリエAの試合ではなく、チャンピオンズリーグの試合であることがポイントである。セリエAの試合では、いつも三強の相手側を応援している私だが、チャンピオンズリーグでは、つねにイタリアのチームを応援している(サッカー知らない方のために簡単に補足しておくと、セリエAはイタリアの国内リーグ戦、チャンピオンズリーグは、ヨーロッパのサッカークラブが集まるトーナメント方式の大会)。つまり、今日の試合は、心置きなくインテルの応援ができる試合なのである。NA‐GA‐TO‐MOだって応援しちゃうよ!

 私と姉は、インテルのホームスタジアムであるサン・シーロに行くのは二度目である。3年前、インテル対ローマの試合を見に行ったのだ。その時、ドゥオーモ広場からトラムを使ってサン・シーロまで行ったので、同じ行き方がわかりやすいだろう、と、ドゥオーモからトラムに乗ることにした。夜が遅くなるので、スタジアムに行く前に、ドゥオーモ近くの「アウトグリル」という、有名なセルフサービス方式のカジュアルレストランで夕食を済ませた。味は可もなく不可もなく、アメリカーンって感じのレストランであった。

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 夕焼け小焼けのドゥオーモさん。では、サン・シーロに行ってまいりまする!

 ドゥオーモからサン・シーロへと行くトラムは16番。どうせ、トラム乗り場へ行けば、インテルファンがたくさんいるだろうから、すぐわかるだろうと思っていたのだが………インテルファンがぜんぜん見当たらないっ!一応、16番トラムが停まる、と書いてある停留所で待つことにしたのだが、待てども待てどもトラムは来ない…。

 不安になって、近くの人に、サン・シーロへの行き方を聞いてみると、地下鉄で行けばいい、と言われた。確かに、地下鉄でもサン・シーロに行けるらしいのだけど、地下鉄の駅からスタジアムは結構歩くんじゃなかったかなあ…。迷ったのだが、やはり、一度使ったことのあるトラムで行った方がわかりやすいだろう、と考え、16番トラムを待つことにした。

 15分以上待って、ようやく16番トラムはやってきた。この時点で、試合開始の20時45分まで、あと1時間ちょっとくらいだったが、まあ、30分くらいでスタジアムには着くはずだし、試合開始30分前にスタジアムに入れれば大丈夫だろう。

 それにしても、トラムに乗っているインテルファンはほとんどいない…。最後尾にインテルのマフラーを身に着けた男性二人がいたので、「私たちもサン・シーロに行きたいのですが、ついて行ってもよいですか?」とお願いすると、快く頷いてくれた。この男性二人組の近くに、パパと若い女の子の親子が座っていた。インテルのグッズは身に着けていなかったが、サッカーチケットを手に持っていたので、この親子もサン・シーロへ行くのだろう。

 しかし、3年前にこのトラムを使ってサン・シーロに行ったときは、そんなに遠く感じなかったのだが、結構時間がかかり、私と姉は時計を気にし始めた。サン・シーロってこんなに遠かったっけ…!?男性二人組が、「次の停留所で降りて、バスに乗り換えだよ」と教えてくれた。この後、バスにも乗り換えるのか…。ま、間に合うかなあ…!?

 この男性達に続いて、トラムを降り、その後から、近くのチケットを持っている親子も降りてきた。…が、男性達が、「ごめん!この次だっ!急いでトラムに戻ろうっ!」と言い、慌てて、男性達、私たち、親子は、トラムに舞い戻った。何とかセーフ~…。我々に続いてトラムを降りた親子は、どうやらフランス人で、マルセイユの応援に来ているみたいだぞ…。それで、このインテルファンの男性達に直接助けを求めることができなくて、近くで動向を見守っていたのだね。日本人は、日本人=長友=インテルファンだと思われるので、こういう時は助けてもらえて楽ちんだね!

 で、その次の停留所はこのトラムの終点で、ここでバスに乗り換えた。トラムの終点は地下鉄のDe Angeli駅で、地下鉄から降りてきた人もバスに乗ってきた。しかし、思っていた以上に、サン・シーロまでは時間がかかる。余裕のあるスケジュールにしたはずなのに、サン・シーロに到着した時は、もう試合開始20分前であった。

 だが、チケットは、フィレンツェのミラノ銀行で購入してあるし、20分もあれば余裕で席にたどり着けるだろう…と思っていたのだが、甘かったっ!!!何と、スタジアム入口が大混雑していて、なかなか入場できないのである!

 イヤね、確かに、今までのイタリアでのサッカー観戦で、入場に時間がかかったことはありますよ(ローマとかナポリとか。あとブレシアは本当に酷かった)。でもね、インテルと言えば、イタリアのみならず、ヨーロッパを代表するようなビッグクラブの一つ。しかもここは北イタリアで、ミラノだし、まさか、ローマとかナポリみたいなカオスってことはないだろう、ちゃんとスムーズにスタジアム運営できているだろうと、思っていたのだが、本当に甘かった。何でスタジアムの中に入るだけなのに、15分も時間がかかるのか、日本人には本当に理解できないよ!入口の数が少なすぎるのだろうか。とにかく、20分前にスタジアムには着いたのに、入場に15分かかってしまい、試合開始まであと5分!

 係員の人に教えてもらって、自分たちの席へ行こうとすると、若い女の子たちに占拠されていた。「そこは私たちの席なんですけど!」と身振りで伝えると、彼女たちのすぐ後ろの席が3つ空いていて、「ココに座ってくれる?」とのお返事。私は、席を替えてくれ、と言われてるのかの思い、すでに、チャンピオンズリーグのアンセム(試合開始前に流れる音楽)が、「ちゃーんぴおーーーーん」と流れ始めていたので、席替えでゴタゴタ動くのも難しいだろう、と思い、まあすぐ後ろの席だったので、言われた席へと座った。

インテルVSマルセイユ
 あんなに余裕のない状況で、どうやって撮影したのか、姉が撮った、試合前のスタジアムの雰囲気。

 ふーーー。何とか試合に間に合ったー(←ギリギリ)。余裕を持ってスタジアムに向かったはずだったのに、こんなにギリギリになるとは!今回のミラノ旅行で思ったことは、やっぱりミラノに不慣れな者には、ミラノでトラムを使いこなすのは難しい、ということだった。以前と比べると、地下鉄の治安が改善されているように感じたので、なるべく地下鉄を使うようにした方が、移動はスムーズかもしれない。地下鉄の方が乗り場がわかりやすいし、何より本数が多い。今回も地下鉄を使えば、余裕で間に合ってたんじゃないかなあ。まあ、それでもトラムの方が地下鉄より楽しいし、ミラノをトラムで制覇する夢はなかなか捨てきれない。次に、ミラノに行く時は、ミラノの交通機関の公式サイトで、ちゃんとトラムの路線を確認して予習しておこう、と思った次第であった。

 で、一息つこう…と思ったら、通路の方から、我々が座っている席が、自分たちの席だ、とアピールしている人たちがいる。えーっ!?女の子たちは、この席のチケットを持っているんじゃないのか!?…そこで、前に座っている女の子たちに、我々のチケットを見せて、「私たち、自分たちの席に戻らなきゃいけないみたいなんだけど」と言うと、女の子たちは諦めて、席を立って行った。…どうやら、もっともっと後ろの方の席のチケットを持っているので、前の方に来たくて、勝手に空いてる席に座っていただけらしい…。

 い、一件落着…。

 それにしても、我々が座ってる席、何だか良い席だね。バックスタンド側だが、ほぼど真ん中だし、何より、椅子がフカフカしていて大変に座りやすい。わざわざインテルのカバーがかけてあり、座る部分にはクッションが入れてあるのだ。

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 こんな椅子。ミランの試合の時は、赤いカバーに変えるのだろうか。「TRIBUNA ONORE ARANCIO」というクラスの座席で、バックスタンドの中では一番高い席なのだが、メインスタンドの席よりはずっと安いし、座り心地が最高で、インテルの試合を見に行く方には、ぜひおすすめしたい席である。だが、こんなにど真ん中の席が取れたのは、やはり前売りチケットを早めに購入したからかもしれない。イタリアでサッカーを観戦する場合は、当日券が購入できないなんてことはほとんどないけど、良い席で見たいなら、チケットは早めに購入しておいた方がよい。

 てなわけで、このフカフカのお椅子で、余裕で観戦だよっ!フカフカ最高っ!この椅子のおかげで、インテルの高感度がだいぶアップしたよ(単純な私)!

 ええと、椅子の話ばっかりしてないで、試合、試合。我々が観戦している試合は、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントの1回戦で、ホーム&アウェイ方式の2戦目である。1戦目は、マルセイユのホームスタジアムで行われ、インテルは、ロスタイムに失点して、0-1で負けてしまった。要するに、この2戦目で、インテルは2点差以上で勝たなければ、次のステージに進めないのである。

 (サッカーを知らない方のために細かく説明すると、アウェイゴールが適用されるため、両チームのスコアが2戦合計で同点となった場合、相手側のホームスタジアムで、より多く点を取った方の勝ちとなる。たとえば、この2戦目を、インテルが2-1で勝ち、トータルのスコアが2-2になったとすると、ここで相手の側のホームスタジアムで取ったゴール数を比較することになる。インテルはマルセイユホームで0得点、マルセイユはインテルホームで1得点なので、マルセイユが勝ち上がることになるのだ。なぜこんなルールがあるかと言うと、簡単に言えば、攻撃型サッカーの方が麗しいと言われる風潮があるため。相手側のホームスタジアムで、アウェイチームが守備的なサッカーをするのを防ぐためである。)

 母は長友目当てだが、私がインテルで好きな選手は、スナイデル、ミリート、スタンコビッチである。モウリーニョ時代のスナイデルは本当にスゴカッタ。同じオランダの選手で言えば、ロッベンが流川(突進ドリブル型)なら、スナイデルが仙道(他を活かせるパサー)って感じだ。…二人とも全然顔が違うじゃん、なんていじわるを言ってはいけませんよ。二人とも全盛期はすごかったけど、何せケガが多いんだよなあ…。ちなみに、姉はキャプテンのサネッティのファンである。

 で、1戦目を落とし、ビハインドを背負っている状態のインテルは、前半のうちからどんどん攻めるのだが、なかなか点を決めきれない。この試合が引き分けでもOKのマルセイユが、リスクを冒して攻めてくることはなく、自陣でガッチリ守りに入っていることも影響しているかもしれない。だが、いくら相手が守りに入っているとはいえ、インテルは、つい2年前にはチャンピオンズリーグで優勝しているチーム。相手のマルセイユは、フランスの強豪チームではあるけれど、チャンピオンズリーグの上位に入ってくる常連チームという程ではなく、単純にチーム力を比べればインテルが上である。ぶっちゃけ、インテルにとっては、「勝たなければならない相手」なのだ。

 …だけど、たった2年で、モウリーニョ監督が去っただけであまり中心選手は変わっていないのに、インテルの力強さ、勝負強さは、モウリーニョ監督と共に消えてしまった。どうして、2年前の優勝チームが、決勝トーナメントの1回戦で、こんなに手こずってるんだろう…。サッカーにおける、監督の重要性ってのが、つくづく思い知らされる。

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 試合中の電光掲示板。

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 サネッティファンの姉が撮影していた、試合中のサネッティの写真。

 結局前半は0-0のまま終了した。

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 ハーフタイム中は、インテルファンがさまざまな旗を振り続けていて、キレイな光景だった。それにしても、インテリスタ(インテルファン)は、全体としておとなしいなあ、という印象だった。ハーフタイム中に、近くのお客さんと試合について熱く談義を始めるフィオレンティーナのファンや、試合中に体をめいっぱい使って怒号を飛ばすローマのファン、ましてやカオスの一言のナポリのファンなどと比べて、インテルファンはお行儀がよくておとなしい。この試合も、このまま引き分ければOKのマルセイユの選手たちは、ちょっとしたことですぐ倒れて時間稼ぎをしているのがミエミエだったが、そんなシーンで、インテリスタが飛ばすヤジやブーイングも、それほどの激しさはない。ミラノ人は都会っ子でクールなのかなあ。ミランのファンはどうなんだろ。

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 そんなおとなしいインテルファンだったが、ゴール裏では、ほんの少しだが、発煙筒を焚いている人もいた。発煙筒は、近くで見れば危ないのかもしれないが、夜の試合で遠くから見る分は、なかなか雰囲気があって綺麗である。

 さて、後半が始まると、マルセイユの守備意識はさらに高くなり、インテルのチャンスは前半よりも少なくなってきた。うーん。決定力が無いなあ。私の好きなスナイデルは、コンディション不良のためか、後半13分で交代してしまったし、前線のミリートとフォルランがイマイチ噛み合ってないようにも思える。

 それにしても、冬場のサン・シーロでのサッカー観戦は寒いことで有名で、私と姉が3年前に観戦した時は、本当に歯がガチガチ言うほど寒かったが、この日は夜になっても気温が下がらず、非常に観戦しやすい気候だった。フカフカの椅子のせいか、温かい、とまで感じる。我々の前に座っていたおっちゃんも、暑くなってしまったらしく、何度か迷っていたが、ついに上着を脱いだ。何で迷っていたかというと、上着の下にインテルのユニフォームを着ていて、背中には、もう既にインテルにいない、エトーの背番号と名前をプリントしていたのだ。エトーね。懐かしいね。あの頃のインテル(モウリーニョ時代)は本当に強かったよ…。

 スタジアムのインテルファンは、この日ベンチスタートのカンビアッソを出してほしい、という雰囲気が高まってきた。もうそろそろ後半30分になるし、何とかしなければならない。そのファンの気持ちが伝わったかのように、ようやく後半29分にカンビアッソが投入された。

 カンビアッソが投入された直後、コーナーキックからのこぼれ球がミリートの前に転がり、ミリートが冷静にゴールに流し込み、ようやく、ようやくインテルが先制っ!あー、この1点を取るまでが長かったっ!カンビアッソが何かしたわけではないのだけれど、選手交代というのは、それだけで流れを変えてしまうこともサッカーでは時々あることだ。

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 インテルが先制したことを示す電光掲示板。点が入ったとき、インテルファンは、「ミランのク○ッタレ」みたいな歌を歌って、大いに盛り上がっていた。いや、ミランは関係ないだろ…。

 この先制点で、ガゼン元気になったのは、インテルのセンターバックのルシオ。このままだと2試合合計のスコアが同点のままなので、インテルは勝ち抜くためには、失点せずにもう1点取らなければならない。それで、もう1点を取るために、ルシオがドカドカ前線に上がってくるようになったのである。ルシオとは。センターバック(守りの要のポジション)にも関わらず、バッファローのような迫力のあるドリブルで、ゴリゴリ前の方まで上がってくるセンターバックとしてあまりにも有名な選手である。ちなみに、太い眉毛もド迫力である。

 長友ファンの母も、サネッティファンの姉も、スタンコビッチファンの私も、気付くと、自分がルシオばっかり見ていることに気付いた。どうしてルシオのドリブルは、こんなにも人の心を打つのだろうか。ルシオの精一杯の前線への上がりは、功を奏し、ゴール前のいい位置にいたルシオに、パスが入った…!と思ったら、ルシオは豪快に足を滑らせて、コケタ。

 めげずに、もう一度前線まで上がってきたルシオ。ペナルティエリアラインのギリギリのところで、ルシオの足元にパスが入った…!…が、こんな所でボールをもらっても、ルシオに何ができようよ。ルシオは躊躇った。躊躇っているうちに、相手にボールを取られてしまった。ルシオ…。大好きだよ…。何かもう理屈じゃないよ。

 ルシオは本来の守備だけではなく攻撃でも頑張っているが、前線のミリートは、全く守備をしない。もう少し前線からプレスをかけに行って、ボールを奪いに行けばいいのになあ。だが、モウリーニョ時代のミリートは、必要な試合ではしっかり守備もする選手だったので(バルセロナ戦で、そこいらのディフェンダーより上手な守備を披露したのを覚えている)、これはミリートのせいではなく、戦術の違い、なんだろうなあ。何ていうか、モウリーニョが率いていたインテルってのは、指の先までモウリーニョの神経が通っているみたいなチームだった。プランデッリが率いていた頃のフィオレンティーナもそうだったけど。そういうチームってのは、強いのだ。

 後半はそろそろ終わりにさしかかり、ロスタイムに突入した。第1戦はロスタイムで失点したインテルだったので、気をつけなきゃね、と思ったその時、何が起こったのか、インテルゴール前で、マルセイユのフォワードが完全なフリー状態でボールを持っている!と思った瞬間には、そのボールはインテルゴールに吸い込まれていた。

 終わった…。

 インテルは、たとえ1点返して、トータルスコアを2-2にしたところで、アウェイゴールの差で敗退になるのだ。残り時間はもう2分ほどしかないし、その中で2点取るなんて、まず不可能。スラムダンクの安西先生は「諦めたらそこで試合終了ですよ」って言うけど、時間制スポーツには、時間の限界と言うものがあるのだ…。

 マルセイユに得点が入った時、インテルファン一色のバックスタンドで、立ち上がって喜んでいる、命知らずのマルセイユファンが一人いた。こりゃまずい、ボコられるぞ…と思ったが、周りのインテルファンは、特別反応もしていなかった。やっぱりインテルファンはおとなしいなあ。これと全く同じ場面を、2年前のフィオレンティーナ対バイエルン・ミュンヘンの試合で体験したのだが(バイエルン・ミュンヘンのファンが、バイエルンに得点が入った時に、フィオレンティーナのファンのど真ん中でこれ見よがしに喜んだ)、その時、フィオレンティーナファンは一斉に彼を指さして非難し、係員がこの挑発行為をしたバイエルン・ファンの所に、すぐ駆け付けたのであった。

 この得点で、実質的に試合終了となったため、マルセイユは気が抜けてしまったのか、ロスタイムの残りの時間で、インテルに不用意なPKを与えた。ミリートが蹴るかなと思ったが、ミリートは敗戦処理をしたくないらしく、途中から入ったパッツィーニに蹴らせた。ミリートって王子様気質だな…。

 パッツィーニのPKが決まったところで、試合終了。イタリアでチャンピオンズリーグの決勝トーナメントを見るのはこれで3回目だけど、3回連続「試合には勝ったのに、アウェイゴールの差でイタリアのチームの敗退が決まった」試合となった。…私、イタリアのサッカー界にとって、厄病女神になっていやしないか………?来年からチャンピオンズリーグの試合を見に行くのは自重すべきだろうか。いや、しないよ(こんなことを気にする私だと思ったら大間違い)。

 ふとピッチに目をやると、キャプテンのサネッティが、ファンに対して「応援ありがとう」の拍手を送りながら、それは丁寧に丁寧に、グラウンドを一周して、全てのインテルファンに挨拶をしていた。この光景はちょっと感動した。サネッティって昔から人格者キャプテンとして有名だが、何だかそのキャラが定着した上に、さらに磨きがかかっている。聖サネッティって感じだ。もうインテルの守護聖人はサネッティでいいよ。

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 帰りに撮影したサン・シーロ。

 さて。3年前は、トラムでドゥオーモまで行き、そこからタクシーでホテルまで帰った。今年も同じルートで帰る予定だったのだが、スタジアム近くにはバスしか待機していない。バスの運転手さんに聞くと、ドゥオーモに行くためにも、バスを使い、途中で地下鉄に乗り換えるように、とのことだった。バスは、地下鉄のDe Angeli駅が終点だった。

 ドゥオーモまで行かずに、このDe Angeli駅からタクシーで帰ろうと考えたのだが、タクシー乗り場に人は並んでいるが、全くタクシーが来る気配はない。10分ほど待ったのだが、人の流れがあるうちに、地下鉄で帰った方が早いかもしれない、と考え、結局地下鉄で帰ることにした。宿泊しているレジデンスは中央駅の近くなので、Cadrna駅でM2線に乗り換える形となる。ちょうど同じルートで帰る日本人男性のグループがいたので、近くにいさせてもらった(母は席まで譲って頂いた。ありがとうございました!)。

 それにしても、人も多く、車内も駅も明るくて、地下鉄は全然危険を感じなかった。これからは、サン・シーロに行く時も地下鉄を使うべきだなあ。

 というわけで、ギリギリ日付が変わらないうちに、何とかレジデンスにたどりついた。インテルは負けてしまったけど、フカフカの椅子に座れてよかったよ(私が本物のインテルファンでないことがよくわかる一文)。とにかく今日は、ゆっくり寝よう。お疲れさんした~!

3/14ミラノ7 楽隊は見た!昼下がりの落椅子へ続く

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3/13ミラノ5 修復中でもファンサービス!

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●ブレラ美術館


 コモから帰ってきて、母は、夜のインテルのチャンピオンズリーグの試合に向けて、レジデンスで一休み。私と姉は、ちゃっとブレラ美術館に行くことにした。

 ブレラ美術館と言えば、ミラノで一番有名な美術館である。ただ、世界中誰でも知っているというような絵を持っているわけではないので、あまりツアーなどには組み込まれることはない。3年前のミラノ訪問時には、私も訪問しなかったのだが、今回、ルネサンス美術自称中級者になったので、楽しめるんじゃないかな、と足を運んでみることにしたのである。

 この日の午後は、私と姉はブレラ美術館に行った後、一度宿泊しているレジデンスに戻り、サッカー観戦に行く準備をしたら、母と3人でサッカースタジアムに行く、という予定なので、結構地下鉄やトラムに何度も乗ることになる。ミラノの地下鉄とトラムは共通の切符であり、1回券は1.5ユーロ、1日券は4.5ユーロである。ということは、1日に4回以上地下鉄・トラムに乗ることが確定している日は、1日券の購入がお得なのである。

 母はサッカースタジアムだけの往復だが、私と姉は、ブレラ美術館の往復、サッカースタジアムの往復と、4回地下鉄を使うことが確定的なので、この日は1日券を購入することにした。地下鉄切符は刻印しなければいつでも使えるため、明日の分なども含めて、1日券2枚以外に、1回券6枚を買っておくことにした。中央駅のタバッキで、「全部で15ユーロです」と言われて、15ユーロ払って購入した。

 電車に乗ってから、よくよく考えてみると、……ん?15ユーロ?

 1日券4.5ユーロ×2=9ユーロ
 1回券1.5ユーロ×6=9ユーロ
 9ユーロ+9ユーロ=18ユーロ

 18ユーロだねえ。イタリアで初めて、購入金額を少なく間違えられた。ちなみに、イタリアではレジでの計算間違いは日常茶飯事だが、ナゼだか圧倒的に、金額を多く間違えられることの方が多い。特に都市部の観光地では、確信犯的なワルイヒトもいる場合があるので、注意が必要である。

 ミラノ中央駅からブレラ美術館へは、M3線で3駅で、Montenapoleone駅で降りる。地図を見ると、駅から割と近そう。地図の通り、駅からVia monte di Pietaという通りへと進み、そこを右折したらブレラ美術館のはず…なのに、右へ曲がれる道が無い。ひとつあるのだが、行き止まりになっている。あれまー。

 ブレラ美術館はいずこ、と、姉とウロウロしていると、東洋系のオシャレな女性に声をかけられ、英語で「クリスチャン・ディオールはどこですか?」と聞かれた。…どうして、ガイドブックを片手にウロウロしている日本人観光客に聞こうと思うんだろう…。もちろんあいどんのーですよ。だが、イタリアで、ブランド店の場所を聞かれたのは、これが初めてではない。よっぽど日本人女性は、ブランド好きだと思われているのだろう。

 ええと。場所がわからなくて助けてほしいのは、我々の方なのだよ。だが、この女性がブレラ美術館の場所を知っている可能性は限りなくゼロに近そうだったので、通行人のいかにもミラノ人て感じのサラリーマンに聞いてみた。すると、ブレラ通りの方から入らなければならないらしいことがわかった。イタリアでは、地図通りに目的地を目指して言っても、入口が見つからなくて入れないことは、ままある話だ。

ブレラ美術館への行き方
 つまり、Montenapoleone駅からブレラ美術館に行くには、こういう風に、ぐるっと回って行かなければならないということだ。

 というわけで、ブレラ通りの方から、無事にブレラ美術館到着。中庭から2階に上るのだが、この中庭がなかなかキレイ。どうせ美術館だから写真は撮れないよ、と、カメラを置いて来たので、携帯で撮影した、しかも写真ドヘタクソの私が撮影した写真ですがドウゾ。

ブレラ美術館中庭
 まっ、こんな感じの、柱廊に囲まれた中庭でございまする。

ブレラ美術館中庭
 真ん中には、ナポレオンの銅像。何だかうまく撮影できていませんが、天気が良いことがよくわかる写真ですね。天気の良さを伝えるのが目的ではないのですけどね。

 とりあえず美術館に突入しようぜ!2階の切符売り場へ行くと、フィレンツェのウッフィツィ美術館や、ローマのバチカン美術館のような行列はなく、スイスイと中に入れた。おっ、これはゆっくり鑑賞できそうだね!

 まず最初に登場してきた有名どころの絵は、マンテーニャの「死せるキリスト」と、「聖母子像」。

 マンテーニャの絵には、マントヴァのドゥカーレ宮殿でご対面したことがある。その時の旅行記(→マントヴァ 湖に浮かぶ笑いの殿堂)にも書いてあるが、私はあまりマンテーニャの画風は好みではない。特に、天使の描き方が、ちょっと(私の持つ天使に対する印象と)チガウ。ここブレラ美術館の聖母子像の周りを飛んでいる、生首に羽根が生えている天使たちも、何だかチガウ。目がうつろで、ほっぺたが膨らみ過ぎていて、とにかく何かチガウのである。たぶん、歌を歌ってるんだろうけどなあ…。

 「死せるキリスト」の絵は、斬新な構図で有名な絵である。マンテーニャが遠近法を駆使して、キリストの聖痕が全て見える角度から、横たわるキリストを描いたものである。どちらかというと、マンテーニャの絵は、マザッチョとか、ミケランジェロのような、知的で無骨な、男性っぽい絵が好みの人に向いている。私のような、リッピやボッティチェリのような、ちょっとなよっとした絵が好きな人には不向きなのだ。

 このマンテーニャと同じ部屋に、ベッリーニの「ピエタ」があるはずで、姉がとても楽しみにしていたのだが、残念ながら修復中のため取り外されていた。「えー…超見たかったのに…」と、姉。私は、ベッリーニは、若いお姉さんを描いてなんぼだよと思っているミーハーなので、特に思い入れはなかったため、ダメージはなし。

 館内は比較的すいていると思っていたブレラ美術館だが、ヴェネツィア派の絵画コーナーへ行くと、何と、修学旅行生が数組いて、有名絵画の前にずらっと並んで先生の説明を聞いていた。完全な占拠状態。あーれー。そこで、この修学旅行生の集団が来る前に、ラファエロの絵のある部屋へ先回りして、そちらを先に鑑賞してくることにした。

 ラファエロの絵がある部屋は、中部イタリアルネサンスにゆかりのある人々の絵を集めてある部屋であった。ラファエロの「聖母の婚姻」、ピエロ・デッラ・フランチェスカの「ウルビーノ公モンテフェルトロの聖母子と聖人の祭壇画」、ブラマンテの「柱につながれたキリスト」。ブラマンテって建築家としてしか知らなかったけど、絵も描くんだー。ピエロの絵は、ピエロらしく、凛とした、静かな雰囲気のある絵。幼子イエスの顔はちょっと怖かったけど、聖母子の立っている赤い台座の描き方が、美しくて素敵であった。

 そして、ラファエロの「マリアの結婚」は、ラファエロらしい温かみのある、想像以上に素敵な作品だった!若かりし頃のラファエロの作品で、先生のペルジーノの影響がまだ残っている作品だそうだ。言われてみると、人物の顔が、ペルジーノの描く絵に似ている。

 それにしても、ラファエロの描く聖母は、本当に愛らしさと美しさを併せ持っている。この作品では、指に指輪をはめてもらう聖母が描かれているが、控えめに指をさし出し、指輪を見つめているマリアが、なんと清楚でかわいらしいこと!ヴェローナのジュリエット像のおっぱいに触ると、幸せな結婚ができるとか言われているけど、このラファエロの「聖母の婚姻」の絵のほうが、ずっと女性に幸せを招きそうに見える。女性の方や、新婚旅行でミラノを訪れる方には、ぜひ鑑賞することをおすすめしたい作品である。

ブレラ美術館 ラファエロ

 この作品の、マリアとヨセフの部分がアップになっているポストカードを買って帰ったので、そのポストカードを撮影してみた。少しだけ絵の雰囲気が伝わるかな?

 このラファエロの部屋で、日本人の観光客の女性に声をかけられた。ツアーの自由時間を使ってブレラ美術館に入ったのだが、ガイド本を置いてきてしまい、どこにどの作品があるのかさっぱりわからないのだそうだ。目の前にあるのがラファエロの作品ですよ、と言うと、「やっぱり、そうなんですねー!」との反応だった。ラファエロと言われなくても、やはりこの絵の良さってのは伝わるようだ。日本と違って、イタリアの美術館で、館内案内図をもらえることは少ない。ブレラ美術館のような大きな美術館では、地球の歩き方みたいに、詳しい館内図が載っているガイド本を持って鑑賞することをおすすめする。

 それにしても、ミラノでの自由時間に、ブレラ美術館に入館するとは、なかなか美術好きな方であった。ミラノので自由行動といえば、だいたいの観光客は、ショッピングにいそしむのではなかろうか。この方は、まだツアー日程の前半も前半であった。我々はあと2日で帰国…。旅程の終わりのころに、旅が始まったばかりの方と出会うと、何ともうらやましい。

 この女性とお別れして、先ほど修学旅行生に占拠されていた、ヴェネツィア派の絵画コーナーに戻った。びんごぉ!修学旅行生は移動して、今度はカラヴァッジョに群がってるぞ!というわけで、ゆっくりヴェネツィア派鑑賞。ベッリーニ兄弟、ヴェロネーゼ、ティントレットと、名だたるヴェネツィアの画家さんたちの絵が並ぶ。

 一番好きだったのは、ヴェロネーゼの「最後の審判」。

ブレラ美術館 ヴェロネーゼ
 この絵もポストカードを撮影してみた。もっと右の方にも続いている細長い絵なのだが、左半分だけを撮影した。

 何がいいって、ヨハネっち(私が好きな十二弟子のヨハネの非公式愛称。この絵では、光輪のあるイエスの右隣の若い男性)が、かわいらしい!珍しくこの場面で、しっかり起きてるし!フィレンツェの旅行記(→3/7フィレンツェ6 眠るヨハネは思わず主役)でも書いたが、ヨハネは、最後の晩餐の場面を描いた絵の中では、「この中に裏切り者が…!」という緊迫した状況にも拘わらず、イエスの横でのん気に眠りこけていることが多いのだ。このヴェロネーゼ作品では、伏し目がちではあるが、ちゃんと起きてるよ!ちなみに、私は、小さい時から食事中に眠くなるという体質の持ち主なので、この晩餐の場面で居眠りこいてしまうヨハネっちの気持ちは、よく分かる。

 それから、決定的なことに、この絵の中には、私たち家族が愛してやまない、猫が!描かれている!この写真ではひっじょーにわかりづらいが、右の柱の下にある丸い物体、これ、縞模様の猫ちゃんなのである。

 ただ、最後の晩餐に描かれる猫ちゃんは、ユダの裏切りを暗示しているらしい。ということは、ちょっと自信薄だけど、イエスが面と向かって話しかけている、頭頂部の薄い後ろ姿の黒髪がユダかなあ。もしそうだとしたら、ヨハネっち、イエスの横で、イエスと一緒に「お前が裏切り者なのはわかってるのだぞ」と言ってるみたいなポジションだなあ。この場面では、ユダ以外の弟子は、「裏切り者は私ではありません!」「私でもありません!」と動揺するんだけど、ヨハネだけ「ま、ボクでないのは明白だしね」と、余裕しゃくしゃく。

 ヴェネツィア派を見た後、修学旅行生はいなくなった後のカラヴァッジョ作品へ。カラヴァッジョの超傑作というわけではないが、カラヴァッジョらしい、光と闇のコントラストが素敵な作品。タイトルは「エマオの晩餐」。復活したイエスが、復活したぜ!とアピールに来る場面だそうだ(何て適当な説明…)。イエスの後ろにいる、おばあさんとおじいさんが、何だかリアルで存在感抜群の絵であった。

 この後、姉が「地球の歩き方」のページを見ながら、「まだこの絵見てないよねー」と、「ろうそくの聖母」という作品を指さす。そういえば、まだ出てきてないなあ。この絵も修復中で見れないのかなーと思っていたら、カラヴァッジョの部屋を通り過ぎた、ちょっと先の部屋に発見。

 クリヴェッリという画家さんの作品だそうで、クリヴェッリさんて、ここで初めて知ったよ。「ろうそくの聖母」以外のクリヴェッリ作品も、同じ部屋に展示してあるのだが、かなり特徴的な絵を描く画家さんであった。まず、衣装の豪華絢爛ぶりが目を引く。聖母も幼子イエスも弟子も皆、きらびやかで、重たそうな衣装を身に着けている。

 それから、個々の人物の目力がスゴイ。この有無を言わさぬような強い視線は、ジョットの絵を思い起こさせる。この部屋で特に印象に残ったのは、きらびやかな衣装と重たそうなカギを持ち、こちらをジロっと見ている聖ペテロの絵。ペテロと言えば、イエスの一番弟子みたいな存在で、いつも気難しそうなおじいさんとして描かれるため、あまりオトメの心に響く絵でないことが多いのだが、このペテロさんの鋭い視線には、ドキッとさせられた(恋心が芽生えたわけではないですよ)。ちなみに聖ペテロが手にしているカギは、イエスから預けられた天国のカギである。キリスト教絵画の中にカギじいさんを見かけたら、ペテロである。

 それにしてもクリヴェッリの絵は気に入ったよ!ゴシック期っぽい絵だなあ…と思っていたら、ルネサンスとは言っても初期ルネサンスの画家さんらしい。イタリアで好きな画家さんが、旅をするたびに増えていく私。そろそろこのブログでも、イタリアの画家さんについてまとめてみようかなあ…(あっ、これは、タダのつぶやきですよ。言質として受け取ってはなりませんよ!)。

 部屋を移動している途中で、姉が「あっ!」と言った。修復中として、元の場所から撤去されていたベッリーニのピエタが、ガラスの中に入っていて、遠目ではあるが鑑賞できる!

 おー!ブレラ美術館!何て親切なんだ!修復中の作品でも、有名作品は、一目くらいは入館者に見せてあげようと、修復作業の部屋は、ガラス張りで中が見えるようにしてあるのだ。これはイキなはからいだね!惚れたよ、ブレラ美術館!修復作業もできれば見てみたかったけど、中に人はいなくて、修復作業をリアルタイムで見ることはできなかったが、ベッリーニの「ピエタ」を一目でも見れたのでヨカッタ!特に、姉は、この作品をかなり見たがっていたので、大喜びだった。

ブレラ美術館 ベッリーニ
 これもポストカードの撮影だが、こちらがベッリーニの「ピエタ」。私はやっぱりベッリーニは若いお姉ちゃんを描いてなんぼだと思うのだが、姉は「すっごい雰囲気のある作品だよ!イエスがサネッティ(インテルの主将)に似てるし!」と言っていた。…うーん、似てるかなあ?ていうか姉、サネッティ似だからこの絵が好きなのか?その可能性は大だな。

 ブレラ美術館の最後は、外国絵画と近代絵画。近代・現代アートの良さがイマイチわからない古い人間の私は、モディリアーニとかピカソの作品はよくわからなかった。私でも描けそうな気がするのは、おそらく気のせいであることくらいはわかっているのだが。エル・グレコの作品があるらしいので、探してみたが見つからず、係員さんに聞いてみると、修復中なのか貸出し中なのか、今日は見れない、と言われた。人生初のエル・グレコと楽しみにしていたのだが、エル・グレコさん、またの機会に。

 この部屋で一番良かったのは、ルーベンスの「最後の晩餐」。今までルーベンスの作品は、何度か鑑賞したことがあったのだが、一度も印象に残ったことがなかった。だが、この「最後の晩餐」はヨカッタ!画面の一番手前に座っているユダ(と思われる男)が、不自然に振り向き、絵の中からこちらを見ているのだ。「バレたぜ…」みたいな感じで。このユダの顔が、非常に不気味だった。推理モノのストーリーの中で、犯人がコイツだとわかる瞬間の緊迫感のようなものが画面からあふれていて、何より、ユダと目が合うことで、何だか自分が犯人を唯一知っている目撃者のような気分になってしまう。かなり気に入った絵だったが、ユダがコワすぎて、おそらくポストカードを買ってもどこにも飾らないだろう、てなわけで、ポストカード買わなかったので、画像はナシよ。

 というわけで、ブレラ美術館の鑑賞は終了ー!思っていたよりずっと見ごたえのある美術館で、期待以上の満足感であった。レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」などに押されてしまって、ちょっとミラノの中では地味目の観光地となってしまっているが、絵を見るのが好きな方には、ぜひおすすめしたい美術館である。

3/13ミラノ6 気になるあのコの名前はルシオ!へ続く

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Author:辺獄
貧乏なくせに、イタリア旅行というお金のかかる趣味を持ってしまった、「イタリア旅行貧乏」です。旅行は楽し♪びんぼーも楽し♪がモットーです!
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好きなイタリアの画家はボッティチェリ!

(limba→辺獄へ和訳改名しました!)

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