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3/11ラグーザ4 おじいさまとアーモンドの花

<今回のイタリア旅行記メニュー>
●イブレオ庭園
●コゼンティーニ邸

 あー、美味しかった!リストランテ「Duomo」のランチ!あまりにも美味しい食べ物は、人を幸福にするねえ。

 というわけで、幸福に包まれて、ラグーザの町をもう少しだけ歩くよっ!

 今、我々は、ラグーザ・イブラ(下の町)の、ちょうど真ん中くらいにいる。暗くなる前には、モディカに帰りたいので、ちょっと効率的に回ることにした。

 モディカへと戻るバス停は、ラグーザ・スペリオーレ(上の町)の方が近い。なので、とりあえず、今から、イブラの一番西の端(バス停から一番遠い)のイブレオ庭園を歩き、そこから、どんどんバス停に近づいていく感じで歩いていくことにした。

ラグーザ
 ドゥオーモから真っ直ぐに坂を下って行くと、イブレオ庭園の入り口に突き当たる。

 庭園内は、南国の象徴であるヤシの木が生え、満腹のお腹で「ちょっと歩こうぜ…」という、まさに今の状態には、もってこいの散歩スポットであった。教会も点在している。

ラグーザ
 ラグーザの町を取り囲んでいる、谷の風景も一望できる。ラグーザは本当に、緑の森の海に囲まれた、大きな島みたいな町だなあ。

 地図には、この庭園内に観光インフォメーションのマークが描かれている。ほとんど観光客もいない、こんな庭園内に観光インフォメーションがあるとは思えなかったのだが、もしインフォメーションがあるなら、入っておきたかった。というのも、モディカからバスで到着した場所が、最初は「Via Zama」のバスターミナルだと思っていたのだが、歩いてみると、どう見ても「Via Zama」よりもラグーザの中心街に近い場所で降りたことが判明したのだ。

 そのため、モディカに帰るバスに、「Via Zama」のバスターミナルから乗ればよいのか、それともバスを降りたとおぼしき場所に戻ればよいのかが分からない。まあ、日本だったら、普通は降りた場所に戻ればいいんだけど、そう簡単にはいかないことが多いのが、イタリアのバスライフなのだ。
 
 こんな庭園内にインフォメーションあるはずないよなあ…と歩いてたら…んっ?

ラグーザ

ラグーザ
 庭園内の奥まったところにある教会の前に、インフォメーションの「i」マークがあるよっ!

 …まさか、イブラの町の端っこの庭園の、さらに奥の方に観光インフォメーションを設置するとは思えないのだが、一応そおーっとのぞいてみると、数人の男女がトランプ遊びにいそしんでいた…。「すみません…。ココ、観光インフォメーションではないですよね…?」と声をかけてみると、トランプ遊びの人たちの空気が一瞬止まり、やや間があって、一人の女性が、「…えっ?…観光インフォメーションですよ!」と立ち上がった。

 彼らは、一瞬、思考したようだ。(あれ…何で自分たち、ここに集まってトランプ遊びしてるんだろ…。トランプはともかく、何で自分はここにいるんだっけ…?…ここはどこだ?あっ!観光インフォメーションだ!あんまりヒマだから、みんなでトランプしてたんだった!)…という思考の後、「…えっ?…(確かここは)観光インフォメーションですよ!」という反応につながったっぽい…。

 ここに観光客が情報を求めて流れ着いたのは、いったいいつ以来なんだろう…。とりあえず、立ち上がった女性に、「すみません、モディカに帰るバスに乗りたいんですけど、どこから乗ればいいんですか?」と聞いてみた。すると、それは常套の質問らしく、女性は流れるように答えた。「この庭園の出口近くから11番バスに乗ります。そして、Via Zamaのバスターミナルまで行きます。モディカ行きのバスには、Via Zamaのバスターミナルから乗って下さい」。

 そして、慣れた手つきで、11番バスの時刻表と、モディカ行きのバスの時刻表をプリントアウトしてくれた。一応、「来た時は、Via Zamaではないバス停で降りた気がするんですが…」と言ってみたが、「大丈夫、大丈夫!モディカ行きならVia Zamaから乗れます!」と、明るい声で答える女性。ふーむ。我々がモディカから来た時に降りた、中心街に近いバス停の正体は不明だが、とりあえず、Via Zamaのバスターミナルまで行けば、モディカまで帰れることは間違いなさそうだ。

 どちらにせよ、バス停に行くには、スペリオーレ(上の町)の方向なので、庭園を出て、スペリオーレ方面へ向けて歩いた。我々は、まだコゼンティーニ邸を見ていない。バロック都市と言われるラグーザの中で、最もバロックっぽい建物として有名なお屋敷である。イブラの町の中の、スペリオーレに近い場所にあるので、まずはそこを目指した。

 まだ通っていない道を歩きたかったので、町の周縁になっている通りを歩いた。周縁部は、車がびゅんびゅん走っている。イブラとスペリオーレを結んだり、中心街とバスターミナルを結んだりしているラグーザの市バスが、結構走っている。

 こういう周縁の道路からは、ラグーザを取り囲んでいる谷が見える。

ラグーザ
 アーモンドの花が咲き、気持ちの良い風景だ。シチリアの今年の春は、例年になく寒く、おかげでアーモンドの花の開花が遅れているらしい。本来ならば、2月がシーズンだそうだが、3月でも綺麗に咲いている町が多かった。

 …と、周縁道路を歩いてもなかなか楽しいのだけど、どこかで町の中に入らないと、コゼンティーニ邸に行けないよ!ラグーザ・イブラのような、中世あたりから栄えた町は、道が迷宮状に入り組んでいるので、地図を見てもちんぷんかんぷんなことが多いのだが、テキトーに町の中に入り、テキトーに歩いたら、コゼンティーニ邸にたどり着いた。

ラグーザ
 これがコゼンティーニ邸だよ!淡いオレンジ色で、私が結構好きな色!…なんだけど、どこがバロック?と一見すると思ってしまう。コゼンティーニ邸がバロックたる所以は、この建物の全体像ではなく、バルコニーの下の装飾なのである。

ラグーザ

ラグーザ
 まー。右に左に、気ままにねじれて、ねじれて。

ラグーザ
 このねじれている、意味不明な物体を、ひとつずつ見てみると、こういう風に、あんまり強そうにも見えないモンスターの生首の上に、うつろな顔をした、天使なんだか、性別不明の若者が乗っかって、微妙にねじれているわけである。うーむ。バロック美術って、イマイチよくわからない。プロテスタントが台頭してきた時代の、カトリックの対抗策としての美術って言われるけど、どう考えても、こんな微妙な装飾物が、カトリックの威厳を高められるとは思えないのだよ。それとも、その時代は、こういうブツが、威厳があると見なされていたのであろうか…。

ラグーザ
 あー。これなんか、下のモンスターの顔、威厳とは最もかけ離れた方向にイッちゃってるよね。上に乗っかっているスキンヘッドのおっさんなんか、東洋系の昔話に出てくる、悪い金持ちって感じだよね。バロック美術って、本当に何なのだろう…。ま、我々の時代の「現代アート」も、誰が見ても「美」と感じるようなものではなく、難解なものも多いので、後世に「この時代って何だろう…」と言われている可能性はあるのだが。

ラグーザ
 まーこれなんか、どう見ても「来ーたぞー来たぞ、アーラレっちゃんー♪」である。ちなみに、アラレちゃんってロボット?私は「Dr.スランプ」を読んでないから詳細を知らないのだが。それにしても、メガネって、こんな時代からあったんだねー。このうねっとしている人物のモデルが、メガネをかけていたのであろうか。

 このコゼンティーニ邸の、左側にある階段を上って行くと、目の前には、青ちゃんのクーポラに近づくことができる。

ラグーザ

ラグーザ
 青ちゃんというのは、ラグーザ・スペリオーレと、ラグーザ・イブラをつなぐ階段から見える、イブラのパノラマの中で、一際かわいらしいサンタ・マリア・デッリトリア教会の、青い屋根のことだよ!

ラグーザ
 この教会は、コゼンティーニ邸脇の、幅の狭い階段に正面が向いているという、非常に不思議な建ち方をしている。そのため、こうやって、正面部分は真下から見上げるしかない。しかし、このコゼンティーニ邸と、サンタ・マリア・デットリア教会の界隈は、何だか不思議な雰囲気のある、印象深い場所だった。

 さて。そろそろ、バス停の方向に向かわなきゃね。でも、その前に、もう一度、ラグーザの最高の眺めが見える、スペリオーレとイブラの中間地点から、イブラを見下ろしたい!コゼンティーニ邸まで来てしまうと、そのパノラマ・スポットが近いので、急ぎ足で上まで上がった。

ラグーザ
 ふう~。やっぱり、この眺めは最高っ!少しだけ日が傾いてきて、お昼に見た風景とは、またちょっと違う表情である。ラグーザに宿泊すれば、夕景、夜景と見れるのだが、今回はモディカ泊だからね(貴族の友人目当て)。お楽しみはここまでである。

 で、このパノラマスポットまで来てしまうと、スペリオーレの町がすぐそこである。イブラから、Via Zamaのバスターミナルまで歩くのはちょっと遠いので市バスに乗った方がよいだろうが、スペリオーレからなら歩けなくもないらしい。バスターミナルまで行く市バスが、スペリオーレの町のどこに停まるかは聞いていないし、とりあえず、スペリオーレのドゥオーモ前のインフォメーションまで歩いた。

 こちらのインフォメーションは、イブレオ庭園のインフォメーションと違って、ちゃんと観光客が使っていそうなインフォメーションで、インフォメーションスタッフという面構えをした女性スタッフがスタンバッっていた。

 このスタッフは、しっかりしている感じだったので、「実は、モディカから来る時に、Via Zamaのバスターミナルよりも、もう少し中心に近い場所でバスを降りたんですが…」と聞いてみると、「ああ!モディカから来たのね!モディカに帰るなら、バスはVia Zamaよりも近い場所から乗れるわよ」と言い、地図を取り出した。

 そして、このインフォメーションから真っ直ぐ進み、3本の橋の真ん中の橋・P.Scopetta橋を渡ってラグーザの中心街を降り、そのままG.Migliorisi通りを真っ直ぐ行き、右手に病院、警察を見ながら、Risorgimento通りに突き当たった所で右折、このRisorgimento通りにある郵便局あたりに印をつけた。「おそらくあなたたちがバスを降りたのはココ。帰りも、モディカ行きのASTバスなら、ココから乗れるわよ」。

 うん、うん、そうだ!確かに、バスを降りた時に、近くに郵便局があったよ!間違いなく、Via Zamaまで行かなくても、この教えてくれた場所を目指せばよさそうだ!

ラグーザ
 というわけで、たどりついたASTのバス乗り場。インフォメーションからは歩いて5~10分くらい。地図を見ながら歩くと、行く時は、自分たちが、わざわざ鉄道駅の方に出て、遠回りしたことがわかった。

 全然中心街まで徒歩圏内なので、モディカ―ラグーザ間をASTのバスで移動する場合は、Via Zamaのバスターミナルより、こちらのバス停の方が断然便利である。だが、あくまで「ラグーザとモディカをつないでいるAST」のバス乗り場なので、他のバス会社の便や、カターニアやシラクーサとラグーザを結んで、その後モディカにいかないバスは、ASTでもここには停まらないのではないかと思うので注意が必要だ。

ラグーザ
 これが、バス停の近くにある、目印にできそうな郵便局だよ!

 バスを待つ間、目の前を、またオシャレなオヤジが通った。素敵な帽子をかぶり、くろいウールのロングコートを着ている。オヤジというより、もう少しお年を召していて、上品なおじいさまって感じだ。姉も私も、どちらかが何を言うでもなく、素敵なおじいさまだなあ…と、何となく目の端で見ていた。

 しかし、おじいさまの真骨頂は、我々の目の前を通過した後であった。彼は、後ろ手を組み、何と、その手には、一輪のアーモンドの花がそっと握られていたのである。あああっ…!何、このカッコよさ!何、この風流っ!ミヤビすぎるよ、ミヤビ!やられた。いかにオシャレおじいさまとは言え、後ろ手にアーモンドの花を、一輪持っているとは思わなかった。やられた。

 バスは、ほぼ時間通りにやってきた。ほー。ラグーザ遠足、楽しかったなあ!では、貴族の友人ホテルに帰ろうっ!

ラグーザ
 バスから見えた、ラグーザの遠景。夕陽のせいで、どことなくアーモンドの花の色にうっすらと輝いているね!

 あのアーモンド一輪のおじいさまは、実は、姉と私が今までイタリア旅行中に遭遇した「かっこいいイタリア男」のナンバーワンである。おじいさまバンザイっ!私も、歳を取っても、背筋をしゃんと伸ばし、春が来たら、後ろ手に桜の花を一輪持って歩くようなおばあさんになろうと思ったのであった。後ろ手に持つことがポイントなのである。

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貧乏なくせに、イタリア旅行というお金のかかる趣味を持ってしまった、「イタリア旅行貧乏」です。旅行は楽し♪びんぼーも楽し♪がモットーです!
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(limba→辺獄へ和訳改名しました!)

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