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「レオナルド・ダ・ヴィンチと受胎告知」

 以前、ウッフィツィ美術館を訪れた際、レオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」よりも、ボッティチェリの「受胎告知」の方が好みだった、と旅行記に書きました。

 レオナルド・ダ・ヴィンチの作品は、完成品そのものが少ないのですが、その中でも代表作と呼ばれる作品は、フランスにある場合が多く、イタリアにあるものでレオナルドの代表作と言われるのは、ミラノにある「最後の晩餐」くらいです。

 このウッフィツィ美術館にある「受胎告知」も、レオナルド作品としては初期作品であり、そのためか、私はイマイチ心に響きませんでした。何となく人物の表情が硬く、レオナルド独特の深みが感じられないのです(個人的感想ですよ!)。

 実は、この「受胎告知」って2007年に、来日しているんですよね。その時に日本で見られた方も多いのではないかと思います。おそらく、その2007年の来日に合わせて、書かれたと思われる本を見つけたので、読んでみました。



レオナルド・ダ・ヴィンチと受胎告知 (平凡社ライブラリー)


 イタリア美術と言えば、この二人、岡田温司さんと池上英洋さんの共著という、何とも豪華な本です。平凡社ライブラリーという、ちょっとお上品なシリーズの文庫本です。

 内容は、「受胎告知」というテーマそのものが大好きな私にとって、非常におもしろかったです!

 まず、前半は、池上さんによる、「受胎告知」というテーマが、ルネサンス期にどのように描かれたか、という内容です。

 受胎の瞬間を表現する方法として、ルネサンス期の画家は、神の言葉がマリアの耳に入ることでの受胎(実際に絵に言葉が刻まれていて、その文字がマリアの耳に飛び込んている絵もある)を表現したり、精霊を表す鳩がマリアの下腹部や、心臓に飛び込む図像によって表現したりしたそうです。その他、マリアの影を描くことによって受胎を暗示する手法もありました。実際に例となる絵を掲載して説明してあるので、わかりやすく、またおもしろかったです。

 また、受胎を告げられたマリアの反応は、戸惑い、驚き、受け入れ、神に対する恭順など、絵によっていろいろな姿で描かれています。これは、実際に、イタリアでいくつかの受胎告知の絵を見ると、なるほど、と思います。本当に、画家さん、作品によって、マリアの表情はさまざまです。

 まあ、「神の子を宿しましたよ、おめでとう!」と急に言われたマリアの心情の複雑さは、相当なものだったでしょう。ちなみに、こういったマリアの心情を、いくつか組み合わせて、マリアの表情や仕草を描いている作品もあるのではないか、という解釈はおもしろかったです。確かに、「驚き」とも「受け入れ」とも取れるマリアの絵ってあるんですよね。

 で、肝心のレオナルド作品は、あえて時代のこのような動きに反発しているのではないか、と書かれています。受胎告知を表すシンボルとなる言葉、鳩、影なとは描かれていないし、マリアもいたって無表情で、「驚き」「受け入れ」などの感情が表立っては描かれてない、と。

 実は、私がレオナルドの「受胎告知」に対して、いつも感じるのは、この感情の不在なんですよ!池上先生は、なぜこのように無感情なマリアが描かれたか明言は避けていますが、もしかしたら、同時代の画家たちが、あまりに感情的なマリアを描いていたことへの反発なのではないか、と仮説を立てています。なるほどー。「あえて」感情表現を避けて描いているのだという観点で見れば、また違った目でこの作品を見られるかもしれません。

 前半が「受胎告知一般」についての内容であるのに対し、本の後半は、岡田さんによる、「レオナルドの受胎告知」に関する解説です。

 実は、この「受胎告知」、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品ではないのではないか、という、ウッフィツィ美術館がドキッとするような説が根強くあります。

 というのも、この作品がレオナルド作品であるという明確な証拠はどこにもなく、むしろ長い間ギルランダイオの作品ではないかと言われていたのだそうです。…確かに、ギルランダイオって言われたら、ギルランダイオって感じもしてきます(笑)。ギルランダイオっぽくない部分もたくさんあるんですけど、そう言っちゃうと、レオナルドっぽくない部分もたくさん出てきちゃうんすよね。

 おまけに、この作品には、レオナルドが描いたにしては、ちょっと落ち度がある…と言える点がいくつもあります。有名なところでは、マリアの手が不自然だとか、マリアの後ろの建物の形が理論上ありえない、とかですが、その他にも数え上げると細かい不自然な部分がたくさんあるのだそうです。自然に存在しないものは描かない、という、レオナルドの自然主義的な部分とは反するんですよね。

 じゃあ、この作品はホントのところ、レオナルド作品なのか否か、について、絵の中の不自然な部分や、レオナルドの他の作品と見比べながら考察が進みます。まるでミステリーを解くようでおもしろいです。

 で、この本での結論は、簡単に言っちゃえば、この作品はレオナルドも参加した「共作」なのではないか、とのことでした。なるほどー!目からうろこっ!そう考えれば、この作品の中で随所に見られるスバラシイ部分も、先ほど挙げた落ち度と言える部分もどちらも説明出来ちゃいますね。

 というわけで、長くなっちゃいましたが、かなりおもしろくて深い本でした。さすが平凡社ライブラリー!さすが岡田さん、池上さん!今まで読んだ美術系の読み物の中でも特におすすめです。イタリアでは「受胎告知」の絵はかなりたくさん見られますので、読んでおけば、かなり楽しく鑑賞できると思いますよ!

(以下は自分用メモ。掲載されていた絵で、まだ未見の作品で気に入ったものです。)
○ベネデット・ボンフィーリ「受胎告知」ウンブリア国立美術館 ペルージャ
○コスメ・トゥーラ「受胎告知」国立美術館 フェッラーラ

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(limba→辺獄へ和訳改名しました!)

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