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3/1マテーラ5 洞窟の奥の遠い記憶

<本日のイタリア旅行記メニュー>
●サッシ・カヴェオーソ地区をお散歩

 午前中にティモーネの展望台から、壮絶なるマテーラの全景を拝んで、サッシ街へ帰ってきた我々3人。

 お昼は、カヴェオーソ地区を見渡せる、パスコリ広場の展望台近くのカフェで、またもやパノラマを拝みながら食べることにした。絶景から、絶景へ、なんともまあ目にゼイタクな、マテーラの旅。

 「Caffe Lanfranchi」という、バールとカフェを兼ねたようなお店で、お店の奥の方に、とても小さなバルコニー席があり、そこで、カヴェオーソ地区を見ながらお食事。

Caffe Lanfranchiでのランチ
 我々3人が飲んでいるのは、ラッテ・マッキアート。ホットミルクに、少量のエスプレッソを垂らしたもの。ぶっちゃけ、コーヒー牛乳っ!ラッテ・マッキアートは美味しくないことが多いのだけど、このカフェのものは美味しかったー!

 母は、この後、念願のスプレムータを飲んだ。この冬から、母が実家で飼っている猫は、色合いとか頭の形が少しオレンジに似ているので、イタリアでよくあるオレンジの生搾りジュース「スプレムータ」にちなんで、「むうた」という名前を私が提案し、それがめでたく採用されたのである。それで、母は「イタリアでは、むうちゃんの名前の元であるスプレムータを飲まないと!」と、口ぐせのように言っていた。母、念願達成~!それにしても、スプレムータは、いつ、どこで飲んでも本当に美味。

 午後からは、明日のマテーラ出発に備えて、母は準備も兼ねて休憩、私と姉は、サッシ・カヴェオーソ地区の散歩に出かけることにした。

 マテーラのそこそこ大きな道は歩き終わったが、車の入れない、サッシが入り組んだ小道が無数にあり、まだ通っていない道がたくさんある。本当は、マテーラの小道も含めて、道という道を歩き尽くしたかったのだが、予想以上にマテーラのサッシ街は大きく、3日ですみずみまで歩き尽くすのは、ちょっと無理そうだった。(ティモーネの展望台に行かなければ、もしかしたら歩き尽くせたかもしれないが、展望台にいったことをミジンコ程度にも後悔してないよ!)

 サッシ・バリサーノ地区に行くか、サッシ・カヴェオーソ地区に行くか迷ったが、やはり洞窟っぽさが色濃いカヴェオーソ地区の方がおもしろそうだ、とのことで、カヴェオーソ地区に足を運んだ。カヴェオーソ地区の端っこの、上の方をまだあまり歩いていなかったので、車の入れない小道を上って、上の方まで行ってみた。

 サッシ・カヴェオーソ地区の端っこは、本当に寂しい雰囲気だった。廃墟も多く、しーんとしていて、あまり裕福でない農民が住んでいた、という感じが、いまだに強く残っている。ほとんど人の気配はなく、その代り、たくさんの猫たちが、ヒマそうに道端や家の前にたたずんていた。

サッシ・カヴェオーソ地区の上の方

サッシ・カヴェオーソ地区の子猫

サッシ・カヴェオーソ地区の子猫2

サッシ・カヴェオーソ地区の猫たち2
 この猫ちゃんたちが、我々を導くように、画像に映っている道を、下に降りて行ったので、何となくついていってみた。

看板
 すると、このような看板が。ルペストレ教会?地球の歩き方にも、姉が調べておいた資料にも載っていない。とりあえず、矢印の通りに進んでみる。

 矢印に沿って行ってみると、何ともマテーラ冥利に尽きるような、すさまじい場所に出た!

サッシ・カヴェオーソ地区の端っこ

 実に原始的なサッシ住宅が並び、左の方は、グラヴィーナ渓谷へと続くガケである。おわー。この道そのものが崩れ落ちてしまいそうで、ちょっと怖かった。
 
廃墟のサッシ
 原始的な洞窟住居が並び、もう廃墟になってしまっていて、このようにドアが閉ざされている。サッシ地区の端っこに当たる場所なので、観光のための整備も全くされていなく、昔のサッシ地区の状態が、そのまま保たれているのだろう。誰も人が住んでいない地区の上に、この道をまっすぐ行くと行き止まりである。今ではほとんど人も通らないのではないか。

サッシ・カヴェオーソ地区の端っこ2
 上の方の岩は、今にも落ちてきそうな感じがして怖い。ほんの50年ほど前までは、普通に人が住んでいたのだと思うと、にわかには信じられない気持ちがした。

 この道の上の方には、さらに道があって、そこにも家が建ち、今でも人が住んでいる家もある。その、上の通りの家は、実に危なっかしい建ち方をしている。

サッシ・カヴェオーソ地区の危なっかしい家
 こんな風に、バルコニー部分が、危なっかしく岩の上に乗っかっている。これには背筋が冷えた。

サッシ・カヴェオーソ地区の危なっかしい家2
 この部分も、何とも危なっかしい。下の方の岩が、今にも落ちてしまいそうだ。

 さっき、猫について行って見つけた看板に書いてあった、ルペストリ教会とやらは、どこにも見当たらない。でも、こんなすさまじい光景を見れたので、満足して帰ろうとすると、この通りの突き当たりで、行き止まりのようになって閉ざされていた大きな扉が、内側から開いた。ビックリしてそちらを見ると、おじいちゃんがいて、手招きをしている。

 どうやら、この扉の向こうが、ルペストリ教会らしい。おじいちゃんいわく、「少し喜捨してくれたら、中を見学させてあげるよ」とのこと。もっちろん入りますよ!これだけ、人が来ない場所だから、普段はドアを閉めているのだろう。人の気配がしたら、ドアを開けるのだろう。おじいちゃんは円の達人だろうか?(ハンターハンターのネタです。すみません。)

 扉の向こうには、さらに道が続いていて、最後は行き止まりになっていた。右手の方に、サッシ住居と洞窟教会の跡が残っていた。おじいちゃんは、ガケのあちこちを指さして、「貝殻の化石だよ。このあたりは、昔は海だったんだ」と説明してくれた。へえー!初耳!マテーラは昔は海の中だったのね!

 消えかけたフレスコ画も残っていて、十字架像や、太陽の絵がかろうじて残っていた。これは、昔、ここが教会だったことの名残りのようだ。その教会の横が洞窟住居になっていて、昨日入館したカーサ・グロッタのように、家具などが置かれて、当時の暮らしが再現されていた。昨日カーサ・グロッタで、日本語アナウンスで説明を受けたので、おじいちゃんの説明も、よく飲み込めた。小さいテーブルと、そこに乗っている大きな丸皿を指さし、ここで家族全員で食事をしたんだ、と説明してくれた。

 そのテーブルの脇に、古い家族写真が飾ってあって、その写真の中の一番小さな男の子を指さして、「これは幼いころの僕だよ」とおじいちゃんは言った。何とっ!この洞窟は、このおじいちゃんが、昔住んでいたサッシ住居跡なのだ!テーブルもタンスも、おじいちゃんが昔実際に使っていたものなのだ!おおー!サッシの元住民に、サッシを説明してもらえるなんて!小さな小さな木の揺りかごを指さし、「ここで僕は眠っていたんだ」とおじいちゃんは言った。洞窟の奥の、遠い遠い記憶である。

 洞窟の中にはおじいちゃんの奥さんもいて、一生懸命、部屋の中で作業をしていた。どうやら、ここの洞窟住居は、今準備途中で、まだ未完成の展示場であるようだ。できあがったら、カーサ・グロッタのように、観光客に広く公開するんじゃないかなあ。マテーラで撮影された映画を一覧にしたポスターがあって、おばあちゃんは「これは私が作ったの。これを誰かに見せるのはあなた達が初めてよ!」と興奮気味に話した。なぜかおじいちゃんもこの話に興奮し、「君たちが初めてだ!初めてだ!」と、何度も連発していた。

 横にもう一つ洞窟があり、かなり奥深いところまで続いていた。昨日、廃墟となって放置されている洞窟住居の奥をのぞいた時は、言い様もないくらい怖かったが、こうして地元の人に連れられて(しかも住んでいた人)、奥の方まで入るのは、全く怖くなかった。おじいちゃんは、「ビノ!ビノ!ビノ!(=イタリア語でワイン)」と、かなり興奮しまくっていた。…つまり洞窟の奥は、ワイン貯蔵庫だったわけですよ。

 マテーラの洞窟住居は、日光をうまく取り入れるために、奥に行けばいくほど低くなる作りになっていると本で読んだが、その通りだった。奥の方には、ゆるやかに階段を降りていく。もちろんだが、洞窟の奥の方の部屋には窓などあるわけがない。真っ暗な、行き止まりの空間である。

 …人類が誕生したころくらいの昔々、おそらく人間は、自然の洞窟を住み家にしたことだろう。外敵から身を守るために洞窟に入ったのだろうが、その時代には洞窟に対する恐怖というものはなかったと思う。現代人が洞窟が怖いのは、たぶん明るい世界に慣れ過ぎているせいだ。ギリシア神話のエピソードでは、人類は火を手にしてから文明化していくが、明るい世界から暗い世界へ戻るのは、本当に難しい。文明化というのは、ある意味後戻りできない道なのだ…なんて、思索にふけりたくなる、洞窟の奥の奥。

 非常におもしろかった、おじいちゃんの昔の家案内。残念ながら、内部の写真は撮らないで、と言われたため、おのれの目に焼き付けた。

サッシ・カヴェオーソ地区の端っこ3
 ここは、おじいちゃんの家の、前方のガケなのだが、なんと、このガケ、昔は畑として使っていたそうだ。ちょっ…、ちょっと危なくないか!?ガケの先の方には、人工的な洞窟も見えるので、さらにあちら側にも、もしかしたらサッシ住居として使われた洞窟があるのかもしれない。本当に、マテーラのサッシでの生活は、想像を絶するものがあったようだ。

 おじいちゃんとおばあちゃんと握手をして、おじいちゃんの昔の家を出た。上の方の道に戻ると、今度は、「S. Barbara」と書かれた看板を見つけた。姉いわく、「サンタ・バルバラ教会のことかな?予約しないと入れない教会なんだけど、フレスコ画が残っている洞窟教会だから、近くまで行ってみる?」。うん、時間もまだあることだし、行ってみよー!

 サンタ・バルバラ教会に行くには、いったんサッシ地区の外の、自動車道に出て、サッシ地区の外周を歩いて行かなければならないようだ。外周の自動車道には、サッシ住宅と普通の住宅の中間のような家が立ち並んでいた。こんなところまで観光客が来ることはあまりないようで、途中で地元の人に呼び止められ、「どこに行くの!?」と聞かれた。サンタ・バルバラ教会だと答えると、なるほどー、と納得していた。

 自動車道に出て、5~10分歩くと、サンタ・バルバラ教会の入口があった。。

サンタ・バルバラ教会入口

 左上の看板をズームアップしてみましょうか。
サンタ・バルバラ教会看板
 …突っ込みどころはいろいろですよね。右横の方に設置すればよかったんじゃ…とか、こういうつけ方をしたいんだったら、縦方向の矢印を作ろうぜ…とか。

 で、この入口をくぐって、左の方へ続いていく階段をひたすら、ひたすら降りていくと、サンタ・バルバラ教会が登場した。

サンタ・バルバラ教会
 …が、やっぱり閉まっておった。期待してなかったから、ツラくならなかった。洞窟教会は、柵の間から中が見えることがあるので、どこかの隙間から中が見えないかトライしてみたが、無駄な努力だった。

 さっきのおじいちゃんみたいに、ずっとサンタ・バルバラ教会前でうだうだしていたら、奇跡のように管理人さんがやってきて、カギを開けてくれないかなーと泡のような期待を抱いて、教会前でうだうだしていたら、上の方で、「チネージ(=中国人)!」という声がした。おおっ!まさか、本当に管理人さんキタ!?と思ったら、地元の男の子二人組で、軽快に階段を駆け下りてきた。

 すれ違う時に、「ちゃお」とお互いにあいさつし、そのまま地元っ子たちは、どんどん、ほとんど道にもなっていないガケを駆け下りて行った。地元っ子ー!こんな危ないガケっぷちも、地元っ子にとっては、普段の遊び場なのねー!こんな人の少ない、自然あふるる場所であれば、秘密基地とかすぐ作っちゃいそうだ。

マテーラのガケで遊ぶ地元っ子
 ガケを駆け下りていく地元っ子たち。ガケに映っている影は、マテーラのサッシ街の影。

 サンタ・バルバラ教会の中には結局入れなかったが、大変おもしろかったサッシ・カヴェオーソ地区のお散歩だった。やっぱり、マテーラは町歩きにじゅうぶんに時間を取りたい町である。車も入れないような、小さな道も歩いてみることをおすすめする。それほど道が入り組んでいるわけではないので、明るいうちであれば、それほど迷子の心配もない。

サッシ・カヴェオーソ地区
 本日の午後に歩いた、サッシ・カヴェオーソ地区の遠景。

 実は、サンタ・バルバラ教会の話は続きがあって、この後、パン屋さんに行ったら、そこのお客さんの男性に声をかけられた。「トーキョー?オーサカ?ジャパニーズ?僕はインフォメーションのスタッフだけど、サンタ・バルバラ教会は見た?」。あまりにもタイムリーな話だったので、つい話に乗ってしまい、「行ったけど閉まってました」と答えると、「僕がカギを持っているよ。サンタ・バルバラ教会はキレイだよ。今から無料で連れて行ってあげようか?」などと言い出した。確かに、インフォメーションスタッフの名札ポーチも首から下げているけど…。

 時間も夕方だったし、「母も待ってるし、時間がないので結構です」と一度断った。すると、我々の宿泊しているB&Bのスタッフと自分は知り合いだと言いだし、スタッフの名前もきちんと知っていた。20分くらいで終わるし、最後にB&Bまで車で送ってくれる、とまで言われたので、サンタ・バルバラ教会はどうしても見たかったこともあり、では、お願いします、と同意してしまった。

 …が、スクーターに乗せされ、サンタ・バルバラ教会ではなく、マテーラの旧市街を離れた所まで連れて行かれてしまった!姉と、途中でスクーターを止めて、何事かと聞くと、見せたいパノラマがある、などと言い出し、なかなか旧市街に戻らない。姉と二人で、「私たちは時間がないって言いましたよね?旧市街に戻って下さい」と強い調子で詰め寄ると、ようやく戻ってくれた。旧市街に戻ると、もうサンタ・バルバラ教会への入場も断って、さっさとこの人とは別れた。イタリアで、この手のオイシイ話にはホイホイ乗ってはならない、ということは、知ってはいたが、4度目のイタリアで少し脇が甘かったようだ。安い授業料(一銭も払ってないが…)で、自分たちへのよい戒めになった。大反省。皆様も、イタリアでは、この手の美味しすぎる話には注意してくださいませ。

 さて、今日でマテーラは最終日なので、もう一度、夜景を見るために、夜、母も連れて、3人で外出した。

 夜景は、明るいバリサーノ地区の方がキレイかも、と思い、いったん新市街にのぼってから、ドゥオーモのあちら側の方へ行ってみた。すると、せっぱつまったような猫の鳴き声が!

降りられなくなった?猫ちゃん

 見上げると、だいぶ高いところに猫ちゃんがいた。

降りられなくなった?猫ちゃん2

 結構ヒステリックに鳴いていたので、も、もしや、降りられなくなったのだろうか?こんな夜更けに、観光客の我々にはなすすべがない…。明るくなってから、誰かに助けてもらうんだよ。無力ですまない、猫ちゃん…。

 新市街を経由しなくても、バリサーノ地区からカヴェオーソ地区に戻る道はあるのだろうけど、暗くてよくわからなかったため、断念。もう一度、新市街の方に戻って、カヴェオーソ地区のB&Bまで戻ることにした。

 新市街の、パスコリ広場の展望台から夜景を見ると、2日前の夜にはライトアップされていなかった、イドリス教会もライトアップされていた!

マテーラの夜景
 左の一番高いところがドゥオーモ。右の方の、やや高いところにあるカタマリがイドリス教会。ドゥオーモとイドリス教会は、どちらがマテーラの顔なのか、何だか張り合ってるみたいに見える(いや、実際はマブダチかもしれんぞ)。

 というわけで、本日でマテーラ歩きは終了である。明日は、いよいよ、この洞窟の町を旅立つ。マテーラは、もうお腹いっぱい。あまりにも自分たちの日常とかけ離れた町すぎて、見る景色見る景色圧倒されてしまい、もういっぱいいっぱいであった。3泊したが、ちょうど良かったように思う。1、2泊だと、堪能できなかっただろうし、もう少し長い滞在だと、母の言う通り、洞窟に引き込まれるような気分になってしまったかも。マテーラの前に訪問した、アルベロベッロとの町の雰囲気の落差も良かった。やはり、アルベロベッロとマテーラは、続けて訪問するのが吉、と思った次第であった。

3/2マテーラからフィレンツェへ アドリア海の青の青さにへ続く

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貧乏なくせに、イタリア旅行というお金のかかる趣味を持ってしまった、「イタリア旅行貧乏」です。旅行は楽し♪びんぼーも楽し♪がモットーです!
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(limba→辺獄へ和訳改名しました!)

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