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3/7プラート~フィリッポ・リッピに浸る幸せ

<本日のイタリア旅行記メニュー>
~フィレンツェからプラートへ半日遠足~

●ドゥオーモ
●サンタ・マリア・デッレ・カルチェリ教会
●アルベルティ美術館
●フレスコ画美術館(旧サン・ドメニコ修道院)
●皇帝の城

 昨夜、お湯が出なくてお風呂に入れなかったので、今朝早起きしてシャワーを浴びようとすると、まだお湯は出なかった。「(同じレジデンスに宿泊している)アメリカ人大家族が使い果たしたお湯がまだ戻っていないんだね」と言い合い、とりあえず今日はフィレンツェの隣町・プラートに行く予定なので、帰ってきてからシャワー浴びればいいね、ということでプラートに行く準備をした。

 レジデンスの共用キッチンに朝ごはんを作りに行くと、そのアメリカ人大家族がテーブルをぐるっと囲み、ものすごく大量の朝ごはんを食べていた。我々が「グッドモーニング」と声をかけると、大家族のお母さんが、「あら!一緒に食べる?」と声をかけてきた。既に家族全員分に椅子が行きわたっていないのに、これ以上人を増やしてどうするのか…。「ありがとうございます、でも大丈夫です」と答えたが、もし「じゃあ、喜んで!」とか言って加わったら、お母さんだって困っただろう。

 プラートに行く前に天気予報を見ていたら、昨日フィオレンティーナが勝った試合のニュースをしていた。イタリアのニュースはかなり手抜きで、新聞記事を延々と読み続けるニュースが多い(どうしてこんな番組がニュースとして成り立つのだろう…)。その新聞の中に、ジラとモントリーヴォが抱き合っているいい写真があったので、その新聞を購入しようと思い、私も姉も新聞名を適当に覚えた。

 フィレンツェからプラートまでは電車で25分くらいである。フィレンツェ駅で「プラートまでの切符をください」と言って購入したが、電車に乗った後にプラート中央駅(Prato Centrale)までの切符になっていることに気付いた。プラートの観光名所は中央駅ではなく、その次のSerraglio駅の方が近い。ただ、フィレンツェからの値段は同じなので、「まっ、たぶん大丈夫だろう」とそのまま乗った。結局検札もなかったため大丈夫だったが、フィレンツェからプラートに行く場合は、「プラート・セッラリオ駅までの切符を下さい」と言った方がよいだろう。

 プラートへ向かう途中で、姉に「そういえば、新聞の名前覚えてる?」と聞くと、「えー。RASIONEとかいう名前じゃなかった?」。私「確かRで始まってたよね。水色で新聞名が書いてあったよね」と、どちらも新聞の名前を覚えていない…。イタリアでは、朝刊は午前中にしか売ってないことがあるため、なるべく早く買っておきたいというのに!ふと電車の窓の外を見ると、新聞スタンドがあって、看板の所に水色で「NATIONE」と書いてあった。私「ねえ、あれじゃない…?」何というグッドタイミング!というわけで、プラートに着いてから「NATIONE」を無事ゲットしたわけだが、全くもってRで始まっていなかった…。

 プラートはイタリアで一番中国人が多く住む街で、どこかにチャイナタウンがあるらしい。その通り、駅を出ると、すぐ何人かの中国人とすれ違った。Serraglio駅周辺はこぎれいで、のどかなトスカーナの街という感じだ。トスカーナではフィレンツェに次ぐ2番目に大きい街らしいのだけど、日本の都会と比べると、あまりにのどかでちっぽい。

 駅からのこぎれいな一本道を行くと、すぐにドゥオーモ広場に出た。「おおっ!かわいいっ!」

プラートのドゥオーモちゃん

 小さいけどオシャレでかわいい~!入り口上部には、私の大好きなロッビア作品もあるし!

プラートのロッビア
 姉はこのロッビア作品を見て、「昨日見たハギャー何とか教会のヤツに似てるね」と言ったが、まさか「パディア・フィオレンティーナ教会」のことを「はぎゃー」とか言ってるんじゃあるまいな…。

 中央礼拝堂のフィリッポ・リッピのフレスコ画を目的に来たのだが、礼拝堂は10時から開くとのことだったので、まだ9時過ぎだったため、先にルネサンス建築のサンタ・マリア・デッレ・カルチェリ教会を見に行くことにした。ドゥオーモから市立美術館まで南下し、左に曲がってすぐである。
サンタ・マリア・デッレ・カルチェリ教会と皇帝の城
 左の丸い屋根がサンタ・マリア・デッレ・カルチェリ教会。右が皇帝の城である。

 教会の左わきのドアを開けると、中は何か式の準備をしていた。入っちゃいけないのかと思い、出てきた人に聞いてみたら、「もちろん入って大丈夫だよ!」と言われたため入った。天井の四隅にロッビアの青くて丸いテラコッタがあった。おそらく、ルカ、マルコ、マタイ、ヨハネの四福音書の作者をかたどっている。ルカが牛、マルコがライオン、マタイが天使、ヨハネには鷲が一緒についてくるのがセオリーである。いつもヨハネが一番いい男なのもセオリーである。

 しばらくロッビア鑑賞で上を眺めていると、教会の鐘が、けたたましく鳴り響き始めた。特に時刻を知らせているわけでもないのに何だろうと思っていると、棺が運び込まれ、お葬式が始まるようだった。出て行くようには言われなかったけど、やはり観光するのは失礼だと思い、教会を出た。

 そろそろ10時だったため、ドゥオーモへと戻り、リッピの礼拝堂近くまで行ってみた。しかし、10時になっても、うんともすんとも言わない。ドゥオーモの奥の方にはロープが敷かれ、その前の方にテーブルがあるため、おそらくこのテーブルで入場券を売るのだと思うのだが、まさか今日は休みじゃないだろうな…。

 教会内の無料ゾーンを見学しながら待つこと15分、10時15分に係のおばちゃんが小さな箱を持って奥からやってきた。どかっとテーブルの椅子に座ったので、「リッピが見たいのですが…」と言うと、「はいはい~♪」とかわいらしいしおりのような入場券を売ってくれた(3ユーロ)。小さな箱は、お金を入れる箱のようだ。そして、「ここから入って、ぐるっと祭壇の後ろを回って、左端まで行ったら、同じ道を戻ってきてね」と順路を教えてくれて、電気をつけてくれた。へー、祭壇のあんな後ろまで行けるんだ!

 案内図もくれたので、最初に木彫りの聖母子像などを見ながら進んだが、やはりお目当ては中央の礼拝堂のリッピ作品である。中央までたどりつくと、何だこりゃー!リッピの大作を、こんな間近で拝めるのか!しかも、貸し切りっ!

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 こちらが「サロメ」の全体像
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 何とも軽やかに踊る、可憐な主役サロメ。この踊りのご褒美を与えるとヘロデ王に言われ、聖者ヨハネ(洗礼者ヨハネ)の首を所望。
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 このいじわるそうな女性は、おそらくサロメに「ヨハネの首を望むように」と入れ知恵した、サロメのお母さん。確か、ヘロデ王の妻だけど、結婚をヨハネに反対されてたはず(うろ覚え)。お盆に乗せてあるのがヨハネの首で、右端ではそれを見ておびえる侍女たち(?)が描かれている。
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 同じ絵の中の、このメランコリックで不機嫌そうな女性は誰なんでしょうねえ。それにしてもリッピの描く女性ってのは本当に可憐で魅力的。
 
 リッピの大きなフレスコ画をあんまり近くで堪能できるため、もう、おなかいっぱい!とりあえず隣の礼拝堂の遠近法オタク・ウッチェッロのフレスコ画も見たが、何も覚えていない…。ゆっくりゆっくりリッピにどっぷりつかった。

 ドゥオーモを出ると、もうすぐ11時だったため、予約してあるアルベルティ美術館に向かった。小さくて無料で入れるのだが、リッピとカラヴァッジョとジョヴァンニ・ベッリーニの作品を持っている美術館で、鑑賞には必ず予約が必要なのだ。ただ、この予約が取れているかがちょっと不安。おととい、フィレンツェの宿泊先のオーナーに電話してもらったのだが、電話がつながらず、メールで予約してもらった。だが、そのメールの返事はしっかり受け取っていないのである。

 アルベルティ美術館は、ドゥオーモから見て市立美術館の一つ先の通りを、右折したところにある。銀行が持っている建物のようで、今まで見たイタリアの建物の中で、一番ハイテクで、近代的な、きれいな建物であった。受付のような所にいる警備員さんに、「アルベルティ美術館を11時に予約しているのですが」と言うと、内線電話で確認を取ってくれたのだが、「予約はないって言われるよ」とのお答え。

 イタリア旅行では、こんな所で引き下がってはならない。「でも、土曜日に、宿泊しているレジデンスのオーナーにお願いして、予約のメールを送ってもらったんです」という内容を、四苦八苦しながらイタリア語で伝えると、もう一度警備員さんが確認を取ってくれた。しばらくすると、女性のスタッフがやってきて、「10分だけでよければ美術館の鑑賞ができるけど、それでいい?」とのこと。やったー!「全然オッケーです!ありがとうっ!」

 この建物は、何かプラートがたくらんでいるんじゃないかと思うほど、イタリアとは思えない立派な建物で、イタリアで初めてなめらかに動くエレベーターに乗って上の階へと行った。頑丈で立派な扉のカギを開けてくれて、「小さい美術館だけど、どうぞ」と中に入れてくれた。

 10分しかないので、とりあえずお目当ての、リッピの絵の展示場所へと行くと、小さい手のひらサイズのような聖母子像があった。かわいいっ!リッピらしい淡い色彩で、聖母マリアはちょっと眠たそうだけど、幼子イエスはいきいきした表情をしている。そして、イエスがマリアのアゴを「のどわ」している(アゴを手でクイッと持ち上げる相撲の技)。何で「のどわ」なのかはわからないが、絵のサイズが小さいのが、絵の雰囲気に(美術館のサイズにも)マッチしていてとてもかわいらしいっ!
 
 その2つ左隣には、リッピとは対照的な、動的なカラヴァッジョ作品。カラヴァッジョ作品の特徴である、光と闇のコントラストがお見事。牧歌的なリッピ作品と、スケールを感じるカラヴァッジョ作品。静と動、小と大、朝と夜、女性的と男性的、フィオレンティーナとASローマ(だんだんネタがつきてきた…)。

 この2作品をじっくり堪能して、あとは駆け足で回り、我々は日本人なので、10分きっかりで「ありがとう、見終わりました。とても素敵でした」とスタッフさんにお礼を言って美術館を出た。警備員さんにもお礼を言って出ようとすると、警備員さんに「ちょっと待って」と呼び止められ、アルベルティ美術館の冊子を頂いた。とても立派な冊子で、展示作品の説明がイタリア語でしっかり書いてあった。無料美術館なのに~!どうもありがとうございました!

 この後、「リッピの作品があるかも」という不確実情報のある、「スピリト・サント教会」なる教会に行くことにした。この教会、ネット上でいっさい情報が出てこないのだが、とりあえずグーグルの地図をコピーして持ってきたのだ。しかし、方向音痴な私はともかく、姉も地図がよくわからずに「ううむ」と地図とにらめっこしていると、自転車に乗っていた若い男性がわざわざ止まってくれて、「あっちだよ!」と教えてくれた。

 しかし姉は、「どう考えても「あっち」ではないよ。たぶんドゥオーモの方向を教えたんだと思う」と言う。もう一度地図とにらめっこしていると、今度は犬の散歩をしていたおじさんがやってきて、地図を見て「あっちだよ!(さっきの男性とは違う方向)」と行った。

 姉は「このおじさんも絶対に間違っている…」と言う。えー、地元の人なのに~?結局、うろうろはしたが、何とか自力で(というか姉の力で)、病院の近くにスピリト・サント教会を見つけた。姉の言う通り、若い男性も、おじさんも間違っていた。プラートはそれほどは観光客も多くないためか、プラート人は大変親切なのだが、みんな道まちごーてるよ…。

 それにしてもスピリト・サント教会…。「これはスピリト・サント教会だよ」と書いてある看板がなければ、絶対にわからないただの民家のような建物…。ただ、その看板に「フィリッポ・リッピがどーたら」とか書いてあったので、「やっぱり絵があるのかも」と思い、中に入ろうとしたのだがドアが閉まってる。あらゆるドアを開けようと試みたのだが閉まっている。仕方なく、ドアの横にあるあらゆる呼び鈴も押してみたのだが、反応がない。最後の手段とばかりに、姉が力ずくでドアを開けようとしたのだが(良い子はぜったいにマネしちゃいけませんよ)、開かない。「おう、オレは三井寿、諦めの悪い男…」と言いたくなったが、さすがに諦めた。

 それから、サン・ドメニコ修道院跡にある、フレスコ画美術館へと向かった。ここにもリッピの作品があるのだ~♪どうしてプラートにこんなにリッピ作品が多いかというと、修道士なのに女性とカケオチして子供まで作っちゃったリッピなのだが、そのスキャンダルの舞台が、まさにここプラートなのだ。

 チケット売り場に行くと、あまりにも雑然とした雰囲気の中、雑然としたおばさんとおじさんがいて、本当に美術館が開いているか不安だったが、開いていた。なぜだかおばさんが我々について階段を上がってきたので、何だろう?と思ったら、美術館の電気をつけた…。…えっ…普段電気を消しとくほど観光客が来ないのか…。フィリッポ・リッピの作品は中央に集められていて、「キリストの生誕」というテーマの絵が、伏し目がちのマリアが優美で癒される~。他にも、初期作品や、共作の絵など、かなり多くのリッピの作品があった。いや~、リッピの絵はほんわかする~。マリア美しい~、天使かわいい~♪やっぱり女好きだから、女性を描くのがうまいんだろうな…。我々がじっくりリッピの作品を見ていたら、途中から係員のおばさんも、「どれ、久しぶりに見てみようかね」と言わんばかりに、一緒に鑑賞していた。

 美術館内には遠近法オタク・ウッチェッロの絵もあったが、姉に「この人、ヘタ」と言われた…。ヴァザーリがルネサンス画人伝に書いていたように、芸術家としてのエネルギーのほとんどを遠近法研究に費やしてしまったウッチェッロさんの作品は、「同情は呼んでも感動は生まない」というのは本当かも知れない。でも、私はウッチェッロさん、何だか好きなんだよ!(作品じゃなくて、人物が、ですけど…)

 この後、プラートはビスコッティ発祥の地と言われるので、プラートの有名なビスコッティ店・Antonio Matteiに行ってみたが、閉まっていた。月曜日は休みなのかな?ビスコッティは堅くて私はあんまり好きではないが、ビスコッティ大好きな姉は悲しんでいた。クローズしていても、内装などがかわいいのがよくわかるお店だった。

 天気も良かったし、「もう少しプラートに滞在しよう」とのことで、お昼ごはんをどこかバールで食べることにした。おいしいバールは地元の人がよく知っているので、人がたくさん入っているバールを探すことが大切である。ドゥオーモと市立美術館を結ぶ通りに、人がたくさん出入りしているバールがあったので、入ってパニーノとカフェラッテを注文すると、……美味っ!びみっ!パニーノもコーヒーもびみっ!お店に英語の新聞が貼ってあったので読むと、老舗の美味しいバールとして、アメリカの新聞の旅行情報コーナーにも掲載されたことのあるバールらしい。地元の人気バールを引き当てた我々に幸あれ!(ま、引き当てた時点で幸はあるのだが)

 この後はプラートをぶらぶら歩いて写真ターイムとなった。天気はよい♪リッピもよい♪プラートに幸あれっ♪(←かなり浮かれている我々)

 何だか古そうなお家の入り口を、ロッビア作品が飾っているのを見つけた。
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 私はムダにこのロッビアと一緒に写真を撮りたがり、姉はムダに「皇帝の城」と一緒に写真を撮りたがった。浮かれる者どもよ、いい気でいられるのも、カメラが動いているうちだけだぜ…。

 というわけで、フィリッポ・リッピのファンは、決して外せない街プラートでございました♪ドゥオーモの外観も非常にかわいらしいし、フィレンツェからもとても近いので、フィレンツェに長く滞在する方にはおすすめのおすすめの(2度言いますよ)街でございますよー!

3/7フィレンツェ4~日本人は夕陽がお好きへ続く

イタリア旅行記2011もくじ

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貧乏なくせに、イタリア旅行というお金のかかる趣味を持ってしまった、「イタリア旅行貧乏」です。旅行は楽し♪びんぼーも楽し♪がモットーです!
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(limba→辺獄へ和訳改名しました!)

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