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3/5フィレンツェ1~聖母子と絶景と沈黙と

<本日のイタリア旅行記メニュー>
●メディチ・リッカルディ宮
●中央市場
●ミケランジェロ広場
●サン・ミニアート・アル・モンテ教会
●サン・サルヴァトーレ・アル・モンテ教会
●バディア・フィオレンティーナ教会

 おはよう、フィレンツェっ!

 今日から本格的な観光である。とりあえず、フィレンツェに来たからには、ドゥオーモ君やジョットの鐘楼君などに挨拶に行かねばならない。早朝のフィレンツェはまだ観光客も少なく、すいすいとドゥオーモ広場へ進む。

 おはよう、ドゥオーモ君たちっ!

2011年のドゥオーモ君
 今年のドゥオーモ君たちです。一応、ドゥオーモ君たちの内訳を説明しておくと、一番奥に見えている丸い屋根がドゥオーモ君、その手前がファサード君、隣がジョット(の鐘楼)君、一番前に少し映っているのが洗礼堂君です。

 いや~、何度見ても心がほわ~となるフィレンツェのドゥオーモ広場である。3年連続のフィレンツェなのだが、ドゥオーモ広場は、何度行っても心に花の咲く広場である(私って詩人)。さすが花の都である。

 ドゥオーモ君たちに挨拶もすんだので、今年こそは行ってみようと思っていた、メディチ・リッカルディ宮を最初に目指すことにした。有名なゴッツォリの「東方三賢王」のフレスコ画で有名な礼拝堂がある。

 サン・ロレンツォ教会の近く、と思って行ったのだが、入り口はサン・ロレンツォ教会側ではなく、サン・マルコ美術館に向かうカヴール通り側だった。既に、入り口に「東方三賢王」の絵の一部のポスターが飾ってある。ギルランダイオ展も併せて展示しているとのことで、特別料金の7ユーロであった。

 チケット売り場を出ると、雰囲気のある中庭に出た。
リッカルディ宮中庭
 なかなかいい感じの中庭なのだが、順路も何もなく、中庭に放り出された我々。ギルランダイオ展のポスターの部屋があるのでのぞいてみたが、でかいスクリーンで、ギルランダイオの作品の映像を意味不明に流しているだけ。ええと、これからどこに行けばよいのだね?

 「地球の歩き方」をめくると、目玉の「東方三賢王」のフレスコ画は、「Cappella dei Magi」という名の礼拝堂にあるらしい。うろうろ探すと「Cappella dei Magi」と矢印で示された階段があったので、上ると、さっそく登場しました、ゴッツォリのフレスコ画!

 宮殿の壁画とのことで、どどんと大きな壁一面の絵を想像していたのだが、四方をフレスコ画で囲まれた小部屋であった。「ほー!これがあれか!(←頭の悪そうな発言である)」。メディチ家のロレンツォを300%くらい美化して描いたと言われる、美少年が馬にまたがっている、有名な部分がやはりよく目立つ。背景の自然が細密で、ウサギやら、犬やら、カモやら、猿やら、たくさんの動物が描かれている。特に猿の面構えは上等であった。

 …しかし、よくよく見ると、ゴッツォリさん、あんまり絵がうまくない。人物の身体の動きが硬くてぎこちないし、遠近法が失敗して見える部分もある。姉が「ジュリアーノはどれだね?」と聞く。ジュリアーノはロレンツォの実弟(美男子だったことで有名)だが、「この絵に描かれてるって聞いたことないな~」と答えると、姉は一気に興味を失い、「じゃ、次行こうか」と言う。でも、やはり、あの有名な300%美化ロレンツォは、微妙な表情が優美で、何とも言いがたい独特な雰囲気を醸し出していて、私はなかなか心ひかれた。まっ、これ以外の絵を見たら、あまりピンとこない画家・ゴッツォリさんのマックスの作品と言えるだろう(かなりエラソーな私である)。

 礼拝堂を出ると、貴族のお部屋をいくつか見学。さくさく進んで行くと、先の部屋に、なんだかほんわりした絵があるのを見つけ、「おっ!次は何だかよさそうな絵があるよ!」と姉を呼び寄せた。

リッピの微オカマ聖母子像
 何だか心温まる絵だね~と思いつつ、他の絵よりもずっと厳重に管理してあるので、何事だね?と隣の説明書きを見ると、何と、これは我々姉妹が大好きな、フィリッポ・リッピの作品らしい!「ちょっと、リッピだよ!私すごくない?遠くからこの絵がスバラシイってわかったんだよ!」と威張り散らす私。…まあ、どう考えても、この場合、すごいのは私ではなくリッピの技量である。
 
 「うわあ♪」「うわあ♪」と、すっかり浮かれてこの絵の回りをうろうろする我々。その我々にひきずられて、オフシーズンで入場者の少ないリッカルディ宮だったのだが、この絵に他の人々もたかり始めた。「聖母子像」というテーマの絵にしては珍しく、マリアだけでなくイエスもかわいいので(「聖母子像」はイエスはコワい顔をしていることが多い)、私はずっと浮かれていたが、姉は途中から冷静な目で絵を見始め、「ひとつだけ残念なのは、ちっとマリアがオカマに見えるね。よく見てごらん、うっすらと口ひげがある」などとのたまい始めた。見てみると、…確かに口ひげ…っていうか、単に汚れがあるだけだと思うんだけど!しかし、姉は、「リッピの絵にしては、少しマリアのアゴが長いのも、オカマに見えてしまう要因。ただし、聖母子がほっぺたをくっつけている構図は最高だね」と、これまたエラソーに批評した。

 リッピの聖母子像を堪能した後、チケット代に上乗せされている「ギルランダイオ展」とやらを見に行こうと思ったのだが、ギルランダイオ展は、リッカルディ宮から歩いて5分くらいのところで開催されているしい。とのことで、とりあえずリッカルディ宮を出た。「いやー、リッピに会えるとは思っていなかった!入ってよかったね~!」
 
 我々の貧乏旅行を支えるのは、自炊である。この後、食材を調達するために、中央市場へと行った。市場では、スーパーよりずっと安い値段で、野菜や肉類などをゲットできる。野菜売り場のところに日本女性スタッフの方がいて、お買い物を手伝って下さった(ありがとうございました!)。中央市場名物の、パニーノを買ってお昼にした。このパニーノ、大変美味しいのだが、だいぶ大きくて、昨年は食べきれなかった。今年は完食するぞ!と意気込んでいたのが、今年も9回裏1アウトくらいまではこぎつけたのだが、食べきれなかった。また来年の課題である。

 お昼を食べながら、姉が「この後どうする?」と聞いたので、私は「ミケ広行きたいっ!」と答えた(ミケ広とはミケランジェロ広場の非公式略称である)。昨年体調を崩してしまって、私が訪問できなかった場所である。姉は去年一人で行ったのだが、「ミケ広なら何度行ってもよいね」と同意してくれて、ミケランジェロ広場まで歩いていくことにした。

 毎度おなじみの、ジェラート屋ペルケノのジェラートを食べながら行くことにした。ペルケノは新人さんが研修中で、「コンパンナ、ペルファボーレ(クリームをのっけてください)」と言っても、新人さんはわからなかった。後ろからベテランの方が出てきて教えていた。食べながら歩くと、新人さんが盛ってくれたジェラートはイマイチ味が落ちる。何でだろうなあ?と思ったが、おそらくジェラートを盛る時の「練り」が足りないと見た。この後のヴェネト州旅行でわかるのだが、ジェラートには「練り」が大事なのである。

 バスで行く人も多いミケランジェロ広場だが、歩いてみると、上りの坂道・階段をいとわなければ、意外と近い距離であった。ミケランジェロ広場まで上る坂道の途中の溜め池のような所に、金魚の群れがいた。なぜに金魚?「金魚だ~」と我々がおもしろがって見ていると、後ろから来たアメリカ人観光客が、何かイイモノを見ているのと勘違いしたらしく、寄ってきて、しかも写真まで撮っていた。ただの金魚~。

 ミケランジェロ広場にたどりつくと、「おおうっ!」
ミケランジェロ広場からのフィレンツェ
 ドゥオーモ君たちをこのアングルで拝めるっ!街中ではクーポラとジョットの鐘楼を同時に見るのは難しいので、ミケランジェロ広場だけの特権っ!

アルノ川は緑色
 ヴェッキオ橋は、遠景の方ががかわいいっ!アルノ川は、遠くからだと緑色に見えますっ!

 同じ絶景ポイントの、フィレンツェ全景が広がるフィエーゾレと比べると、フィレンツェの中心街のパノラマを見る感じです。いやあ~、フィエーゾレも良いけど、ミケ広も良い~♪フィレンツェって本当にかわいい街だなあ~♪昨年既にミケ広体験している姉は、「ね、ミケ広なら何度行ってもよい、てのがわかるでしょ?」。うん、わかる、わかる~♪

 我々はさらに坂を上って、ミケランジェロ広場の上にある、サン・ミニアート・アル・モンテ教会を目指す。姉はこの教会も昨年体験済み。「ほら、来たよ♪」とガイドさんのように案内してくれる。

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 この子である。外観からしてかわいいっ!

 ドアをそっと開けると、中は真っ暗だが、天井装飾や、中央のモザイクなど、内部も凝った装飾で非常にかわいらしい。フィレンツェの教会でモザイクが拝めるのは珍しい。モザイクは1ユーロで点灯できるのだが、我々以外の正しい観光客の皆様が、次から次へとコインを入れて点灯して下さるので、じっくり鑑賞することが出来た。モザイクの右側の部屋にはフレスコ画があり、悪魔くんと聖人が相撲を取っていた。
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 寄り切りで聖人の勝ち~。

 そして、教会の左側には、昨年、姉が「ロッビアの傑作品」と言っていた作品が!
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 この慈愛に満ちた聖母と、何ともかわいらしい幼子イエス。ルカ・デッラ・ロッビアならではの、優しい表情です。

 いやー、数年前のNHKイタリア語ラジオ講座でも、「フィレンツェでは、サン・ミニアート・アル・モンテ教会に行くことをおすすめします」とかいう会話例があったけど、実に見どころが多く、素敵な教会である。ミケランジェロ広場に行く際には、必ず訪問することをおすすめしますっ♪

 重い扉を開けて、暗い教会を出ると、目の前には「次はこちらをどうぞ」とばかりに、明るくフィレンツェの景色が広がる。この、光と闇のコントラストは、あまりにもよくできた演出であった。ほえ~~~。無の境地で、今度はフィレンツェのパノラマに浸る我々。いや~、ゼイタクである。サン・ミニアート・アル・モンテ教会も、パノラマも、(バスに乗らなければ)無料っ!

 光と闇のコントラスト攻撃にすっかりぽわ~としてしまって我々を、ある一つの事実が、現実に引き戻した。「何だか、犬多すぎ」。
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 えっ?何なんですか?どうして、こんなに白くて同じような犬ころが、こんなにたくさんいるんですかっ!?この白い犬ころ&人間のペア集団は、みんなでサン・ミニアート・アル・モンテ教会の階段を下り、ミケランジェロ広場方面へと消えていった…。ミステリー…。

 犬ころに現実に引き戻された我々は、そろそろ戻ろうか、てなわけで教会の階段を降りた。ミケランジェロ広場まで帰る途中で、ミケランジェロが「美しい田舎娘」と評したとかいうサン・サルヴァトーレ・アル・モンテ教会へ立ち寄った。教会前の階段にハチの巣があって怖かったくらいで、あとは何か普通の教会だった。姉に「どうしてミケランジェロは美しい田舎娘と言ったんだろうねえ?」と聞くと、「他に言うことがなかったんじゃない?」とそっけない答えが返ってきた…。

 来た時とは違う、一直線の階段をてこてこ下って中心街へと戻った。途中のアルノ川のたもとで、どこからどう見ても観光客に見えない怪しいイタリア人に、日本語で、「ミケランジェロ広場はトホイデスカ?チカイデスカ?」と、唐突に声をかけられた。姉が日本語で「近いですよ」と答え、私がつたないイタリア語で「チェルカ(近いですよ)」と答えると、あっそ、てな感じで去ってった。何だったんだろう?去年もフィレンツェの中央市場で、変なイタリア人に日本語で話しかけられたことがあったし、よくわからないが用心に越したことはない。

 中心部に戻ると、まだまだ明るかったので、スーパーマーケットのBILLAに行くついでに、無料教会のバディア・フィオレンティーナ教会に行こう、ということになった。ダンテん家の近くなのだが、最初入り口がわからなくてうろうろした。ダンテん家のある通りの入り口から中庭に入り、その中に教会の入り口があった。

 本当にここが入り口かなあ?と、公民館のドアみたいな扉をあけると、静寂ー。教会内は、しーんとしていて、祭壇前に、白装束のシスターや神父さんが座り、瞑想している。まるで、仏教の座禅のようである。観光客は入っちゃいけないのかな?と思ったが、そうではなく、瞑想している人々は、観光客などまるで存在していないかのように、静かに、ただただ座っている。迫力ある静寂であった。

 入り口近くの左手に、フィリッピーノ・リッピの絵があった。フィリッピーノの絵は、お父さんのフィリッポ・リッピに比べて、何となく風雅を欠くように感じることが多いが、この絵は今まで見たフィリッピーノの絵の中で一番好きだった。長髪の女の子がかわいらしい。フィリッピーノの絵を見た後は、椅子に座って、少しだけこの教会の沈黙に参加してみた。

 教会を出ようとすると、我々と入れ替わりに、イタリア人の小学生くらいの修学旅行生が、集団でこの教会に入ろうとしていた。みんなわいわいとはしゃいでいる。…この集団が、あの静寂の中に入っていくのはヤバくないっすか?

 その後、BILLAで買い物をした。BILLAは大手スーパーなのだが、我々の前のお客さんに出すお釣りがなくて困っていた。いかにもイタリアに来たなあ~という感じ。

 夜はナスのパスタを姉が作ってくれて、セリエAのユヴェントス対ミランをテレビで見ながら食べた。ユヴェントス対ミランと言っても、試合の放送は衛星放送が牛耳っているので、地上波放送では、スタジオに何人かのゲストを呼び、みんなで試合放送を見ながらわいわい議論する、その議論を生放送するという、サッカー中継としては信じがたい番組が流されるのである。もちろん、礼儀正しい議論ではなく、各人が言いたいことを言うだけの、カオスの番組である。ナゼかゲストのおっさんたちは(ゲストは皆おっさん)、議論が白熱して興奮すると、メガネをわざわざ外して怒る。メガネは理性の象徴で、感情で叫ぶ時は外さなければならないものらしい。

 バカな番組を見ながら、姉と、「今日はイタリア初日だったのに、動き回ったね~」「意外なところでフィリッポ・リッピにも会えたし、ミケ広も最高だし、イタリア旅行の幸先よいスタートだね~♪」と話した。…しかし、幸先のよいスタートとは、その後のハッピーを保証しないということを、この後の旅行展開で、我々は学ぶことになるのだ…。

3/6フィレンツェ2~花の都に振られた朝へ続く

イタリア旅行記2011もくじ

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貧乏なくせに、イタリア旅行というお金のかかる趣味を持ってしまった、「イタリア旅行貧乏」です。旅行は楽し♪びんぼーも楽し♪がモットーです!
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(limba→辺獄へ和訳改名しました!)

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