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3/14ローマ⑥~狙われた私

<本日のメニュー:日本に帰国

 17泊にわたる今回のイタリア旅行も、とうとう帰国の日を迎えてしまった。うっうっ…(涙)。でも、日本の恋しい所もたくさんある。日本食や、バスタブへの入浴やいろいろあるが、私が一番恋しいのは美しくて多機能な日本の高級トイレである。

 荷物をまとめて、9時半にアッシジのレジデンスを出た。フィウミチーノ空港のあるローマには電車で2時間半ほどかかるので、お昼ご飯を買っておこうということになった。今日は日曜日。ただでさえお店の少ないアッシジ、駅のある下の街で開いているバールが見つからなかったら困る、とのことで、私と荷物をレジデンス前のサン・ルフィーノ大聖堂前の広場に置いて、姉はコムーネ広場のバールにパニーノを買いに行った。地元民でいつも繁盛しているバールで、観光客向けのお店が多くて、安くて美味しいものにありつけないアッシジの中で、ここのパニーノやスイーツは安くて美味しかったです!(Bar Pasticceriaというバール。コムーネ広場のサンルフィーノ通り近くにあります。)

 姉を待っている間、サン・ルフィーノ大聖堂前で私はぼおーっと待っていた。いいお天気。アッシジは平和。今日は日曜日なので、たくさんの人が礼拝のためにサン・ルフィーノ大聖堂にやって来る。私は礼拝に来る人たちの邪魔にならないように、広場の端っこでちょこんと待っていた。たくさんの荷物番をしている私だが、アッシジは聖人の町。誰も悪い人なんかいないさっ(←たるみまくり)。

 姉が無事にお昼ご飯をゲットして帰ってきて、我々は下の駅に行くために、バスの出るマッテオティ広場に行った。荷物を全部持っているので、マッテオティ広場まで上るのは少ししんどかった。アッシジは坂の多い町で、スーツケースを引っ張って坂を上るのは大変なので、個人旅行の人は、下の駅へのバスが出ているマッテオティ広場やウニタ・ディタリア広場などの近くに宿泊することをおすすめします。

 マッテオティ広場でバスの時刻表を確認すると、次のバスまで時間があったため、姉はバールでトイレをしてくると言い出した。…バールってどこ…?日曜のため、マッテオティ広場付近のお店は軒並み閉まっていたが、姉は「まっ、散歩がてら行ってくるよ」と、またもや私に荷物を預けて歩いて行ってしまった。私が一人でバスを待っている所に、アメリカ人のバックパッカーのカップルがやって来た。彼らとぼんやりとバスを待った。いいお天気。アッシジは平和。
 
 バス出発前に姉は帰ってきた。「バールはちょっと歩いた所にあったから、ウンカフェペルファボーレして来たよ」。バスに乗り込むと、アメリカ人カップルはバス切符を買っていなかったらしく、運転手さんにバールに買いに行くようにと言われて、重い荷物を持ったまま、バールを探して走って行った。バス切符がバス内で買えないのはイタリアの特徴なのだろうか。結構いろんな国の人が、バス切符を事前に購入していなくて、バスに乗る時にわたわたしてしまうのを見かけた。

 バスは旧市街をゆっくりと下り、我々はサン・フランチェスコ聖堂に手を振った。アッシジ、静かできれいな町だたなあ~。駅に着くと、ホームで、昨日サン・フランチェスコ聖堂前で会った日本人男性がいた。彼は今からペルージャに行くらしい。「よいご旅行を」と手を振って別れた。まだまだ旅行が続く人はいいなあ~。

 ローマへと向かう各駅停車は、最初混雑しているかと思ったが、前の方の車両に行くとガラガラに空いていた。ホームの端に止まる車両は、空いていることが多いことがわかった。途中、一等席に座っている日本人の熟年カップルがいた。いいなあ。一等席が遠い我々。途中、車窓から、姉のお気に入りの町・トレヴィが見えたのでパチリ。
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 トレヴィ。ウンブリアはこういう風に、丘の上に広がる町が多いです。

 スポレートも通過した。「また、来るからね~」とスポレートに手を振る我々。今回の旅行はトスカーナ、ウンブリアが主役だったが、まだまだ行きたい街がたくさんあるぞ、トスカーナ&ウンブリア!サン・ジミニャーノ、ピエンツァ、ルッカ、プラート、サン・ガルガーノ、アレッツォ、コルトーナ、グッビオ、ペルージャ、トーディ!トスカーナ、ウンブリア制覇はまだまだ時間がかかりそうだ。

 てこてこ、とことこ、と、各駅停車はお昼過ぎにようやくローマ・テルミニ駅へと到着した。「ただいま、ローマっ!」。今回の旅行は、トスカーナ、ウンブリアが主役の割には、ローマに始まりローマに終わるのだ。全ての道はローマに通ず。まっ、ローマの全ての道はウンコに注意なのだが。何だか旅行が終わった気分の我々は、だらだらとスーツケースをひいて、だらだらと歩く。帰国の飛行機は19時発なので、今から空港に行くんじゃ早すぎる。何も計画していなかったのだが、「地球の歩き方」を見ると、テルミニ駅に荷物預かり所があるようなので、荷物を預けて、1~2時間テルミニ駅周辺を散歩してみることにした。

 「Baggage」の表示に従って、地下の方に下り、荷物預かり所に行くと、パスポートを一枚提示するように言われた。パスポートは服の下にしまっていたので、姉が、近くのトイレにパスポートを出しに行った。姉の帰りが遅いなあ~と思っていると、「ぴゅうぴゅうぴゅうぴゅう!」とトイレの方から防犯ベルの音が響き渡った。誰かが防犯ベルを鳴らしてしまったんだろうなあと思っていると、しばらくして姉が帰ってきた。「全く、イタリアと来たら!コイントイレで、50セント必要だったんだけど、両替機がないのよ!それで、小銭がない人は入れなくて、何人も入り口のところで困ってたんだよ。一人、小銭を持っていた人がいたから、もうその人についていって入ったよ。そしたら警報機みたいなのが鳴ったけど、警備員は誰も気にしてなかったよ」。…どうしてうちの姉さんは、大人しくて恥じらいのある日本人として生まれながら、世界中の誰よりもこんなに行動力があるのだろうか…。あの防犯ベルはうちの姉さんが鳴らしたのか…。

 荷物を預けた後、先に空港までのエクスプレスの切符を買っておこうということになり、切符売り場に行くと、並んでいる…。イタリア中部の小さな町を旅した今回の旅行では(ナポリのことを意図的に忘れようとしている私)、切符売り場の混雑に出会ったのは、このローマ・テルミニ駅でだけだった。ようやく順番が来ると、メガネをかけた不機嫌そうな女性スタッフの窓口だった。電車の時刻を聞いたのだが、早口で言われたため、紙に書いてもらうと、すごくめんどくさそうで感じが悪かった。おまけに、50ユーロ札を出すと、「お釣りがないから小銭を出せ」と言う。しかし、姉も私も小銭を持っていなかったため、「持っていない」と答えると、両手を挙げて「こっちにもないのよ」と言う。とうとう姉がキレて、日本語で「ここは切符売り場でしょ?お釣りはあなたが用意するんだよ!」と詰め寄ると、隣の窓口と両替して、お釣りを投げて返して来た。あんまりにもひどい態度だったため、こちらもお釣りを正しく返しているか確認するまで窓口を離れず、確認が終わると「グラーツィエ」も言わずに窓口を去った。ヨーロッパでは、客の方も「ありがとう」を言うのがマナーですが、あまりにも相手の態度がひどい場合は、こちらが必要以上に低姿勢になる必要はないと思いましたですっ!

 手荷物預けと切符の購入で、予想以上に時間がかかり、ローマ散歩の時間は1時間くらいしかなくなった。まあ、イタリアは何もかも時間がかかることを想定して動くしかない。しかも、我々は、ローマの旅行情報は途中で捨ててしまったため、テルミニ駅周辺に行ってみたい教会があったのだが、もう名前も場所も思い出せない。マッシモ宮に入るにももう時間がないし…。仕方がないので、まだ歩いていなかったナツィオナーレ通りという大通りを歩いてみることにした。ローマ三越があった。ローマでトイレ危機になったらこれからここに駆け込めばいいね!古ーい名もない教会があったので中に入ってみた。イタリアのどこでも見かけるDESPARというスーパーもあったので、飛行機の中で食べるためのお菓子を買った。
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 これがナツィオナーレ通り。ちょっと威張った感じの通り。

 私も姉も最後にジェラートを食べたかったので、ジェラッテリアを探したのだが、見つからなかった。仕方がないので、ジェラートも売っている明らかに観光客向けの大きなバールで買ったのだが、ここの店員さんも感じ悪かった。イタリア国鉄といい、イタリアは個人経営でないところの、雇われているスタッフが感じが悪いことが多い。イタリア人は、自分の利益に直結する仕事でなければどうもやる気が出ないらしく(まあ、私もそうなのでございますが…)、イタリアに大企業が少ない理由は、このへんの国民性が関係しているとか、前読んだ本に書いてあった。しかも、ジェラートはあんまり美味しくなかった。やっぱりジェラートはジェラッテリアで買うに限るっ!

 駅に戻り、荷物を受け取ろうとすると、混んでいて、受け取るのに時間がかかった。そのせいで、空港に向かうエクスプレスの時間が迫ってきた。別に次のエクスプレスを待っても、飛行機の時間には全然余裕があったのだが、せっかくこのエクスプレスに乗るためにローマ散歩を切り上げてきたので、我々は走ってホームに向かった。我々の前を、浅田真央の前コーチのようなおばさんが、エクスプレスに乗るために走っていたので、そのおばさんについていった。

 ホームに着くと発車2分前くらいだった。急いで刻印して、おばさんは手前の車両に乗ったが、混んでいそうだったので、ホームの端のほうの車両の方が空いているという法則に従って、我々は端の方の車両に走っていった。そこで急いで荷物を持ち上げて、車両に乗り込むと、後ろの方で大きな音がして、すぐ背後にいるはずの姉が乗っていなくて、若いイタリア人女の子二人がすごい勢いでイタリア語で私に話しかけてくる。…えっ?何なの???どうやら、「ここは予約席の車両だから、あなたはあっちの車両に行かなきゃダメよ」と言って、わざわざ連結部分のドアを開けて、私を車両の連結部分の方に押す。予約席?エクスプレスにそんなものあるのか?その後、すぐに姉が乗り込んできて、「言うこと聞く必要ないよ!」的なことを言っている。姉の後ろから、さらにこの女の子達の仲間と思われる女の子が二人乗って来て、何か大声で言っている。彼女達が大声を出しているせいで、姉の声がほとんど聞こえない。

 予約席…?私は、やけにベタベタ触ってくる、一番近くの女の子の顔をまじまじと見た。鼻ピアスをしていて、中学生くらいの年頃だろうか。そんな女の子が、どうして鉄道員でもないのに、親切にいろいろ教えてくれるのか。しかも、ほとんど手ぶらで、空港に用事があるようには見えない。その手ぶらの手を見たとき、彼女が、その手で、私の身体の下の方に触ろう、触ろうとしているのが見えた。…これは…肩から提げているショルダーバッグを触ろうとしているのだ…。つまりっ、集団のスリではないか!私の視線に気づき、彼女がさっと手をひいたので、姉に大声で、「おかしい!とにかくホームに降りよう!」と言ったのだが、姉はあまり私の声が聞こえていなくて、「何で降りるのよ!」とか言っていた。ともかく、逃げ場のない狭い所では、荷物が多くて手がふさがっている状態では何をされるかわからないと思った私は、とりあえずホームに降り、姉がまだエクスプレスに乗っているのを確認しながら、他のドアから乗り直して、姉のいる場所まで走って行った。

 姉と合流してすぐ、エクスプレスは出発した。「…何で言いなりになって電車を降りたのよっ?」と怒り気味の姉に、私はぜえぜえ言いながら、「…あの子達は降りろって言ってたわけじゃないよ。たぶん、スリだったと思う…」と言うと、姉は初めて状況がわかったようであった。大切なものは何もショルダーには入れてなかったのだが、念の為確認すると、ショルダーのファスナーは半分くらい開けられ、その中の内ポケットのファスナーも開けられていた。…神業…。しかし、ひとつひとつ確認したが、スーパーで買ったお菓子に至るまで何一つ盗られていなかった。内ポケットの中には、20ユーロだけ入れてあった財布が入っていたのだが、取り出しにくかったのか、盗られていなかった。普段であれば、ファスナーを簡単に開けられないようにストールピンで留めていた私だったのだが、平和なアッシジでたるみきってしまったのか、この時に限って留めていなかったようだ…。荷物が無事で良かった…。

 姉と話して状況を確認すると、こういうことだったようであった。
①4人のスリ軍団は、発車間際に乗り込もうとした、荷物が多くて弱そうな日本人の子供(に見えたのだろう。本当は、スリ軍団より一回りは上である)私にターゲットを絞った。
②後ろにいた姉と私を分断するために、私が乗った後、次に乗ろうとした姉を突き飛ばした。
③2人で車内で私を狭い連結部分に追い詰めて、どさくさに紛れてスリをする計画であった。その間、残りの2人は、姉をホームに足止めする予定であった。
④しかし、大学の空手サークルで「20年に一度の逸材」と言われ、腕力と闘争心あふれる姉は、なんと2人のスリ少女を突き飛ばして、電車に乗り込んできた。これがスリ軍団の誤算であった。
⑤また、わけのわからない異国の言葉をしゃべり散らして、気を引きながら私からスリをする予定だったのだが、私が少しだけイタリア語がわかるため、言っていることがおかしいと思って警戒した。これもスリ軍団の誤算であった。
⑥そのため、スリであることに気づかれて、ミッション失敗~

 それにしても…。最終日にこんなことがあるなんて…。昨年はあんなに警戒しながら旅をしていた我々だったのに、2度目のイタリアと言うことで、かなり油断してしまっていた。エクスプレス内ではスリが多発すると言うことも、頭の片隅に入れていたのに、入れていただけであった。警戒さえしていれば防げるトラブルだけにはあうまいと思っていた我々なので、被害はなかったとはいえ、かなりヘコんだ。我々の一番の反省点は、急いで電車に乗ろうとしたことである。きちんと余裕を持って、周りに気をつけて乗りさえすれば、目をつけられることもなかったのである。発車間際は余裕がないため、一番狙われるのである。イタリアの、特に大都市では、決して駆け込み乗車をしないように、必ず余裕を持って、周りを警戒しながら電車に乗り込みましょう

 しっかし、油断してファスナーにピンをさしていなかったので、何もなくてよかった…。とはいえ、私は、大きなお金とパスポートは、服の下のインナーセキュリティに入れていたので、盗られて本当に困るものはなかった。貴重品を取り出しやすいところに入れないというのもポイントですね。スリ軍団が、もし、スリに成功していた所で、盗れたものといえば、

○20ユーロと日本の保険証だけが入っている、4年前から使っている汚れた財布
○デジカメが世の中に出てきた頃に買った(ものをもらった)、今の薄型デジカメからすると信じられないくらい大きくて、性能が低く、電池もすぐ切れてしまうデジカメ。
○イタリア語単語帳
○500円の折り畳み傘
○開封済みのチョコレートと、未開封のグミ

 …のいずれかであった。やっぱり20ユーロ入ってる財布が、一番の目玉ですかね~?まあ未開封のグミも嬉しいかもしれませんが。狙われたのが私でよかった…。姉は、手荷物預かり所でパスポートを出していたので、パスポートをショルダーバッグに入れていたのだ。しかし、姉は言い切った。「私が狙われるはずないでしょうが」。…確かに、中学時代、誰よりもまじめな女子中学生だったのに、もともと明るい髪の色のせいもあって、「スケバン」とか「裏番」とか誤解されることが多かった姉である。そんな姉にわざわざターゲットを絞ることもないとは思うが、「自分が狙われるはずがない」と思っている人が一番危ないようにも思うので、気をつけましょうね!

 2時間前には空港に着き、ゆっくりとターミナルに移動した。ちなみにフィウミチーノ空港は、昨年まではターミナルはA、B、Cとアルファベット表記だったのだが、今年から1、2、3と数字表記になっていた。ターミナルに移動する途中で、おいしそうなチョコレート系のジェラートがあったので買って食べた。食べながら考えた。私の周りには、ローマ旅行に行った後、ローマはあんまりよくなかったなどという感想をを持つ人が多いのだが、私も、ローマ滞在が今日一日だけだったら、ローマにいい印象を持っていないだろうなあ。鉄道スタッフやバールスタッフなど感じの悪い人が多かったし、スリにはあいかけるし…。放っておいても観光客はやってくるとローマは思っているのかもしれないけど、リピーターを増やすためには、観光客を歓迎する町であった方が、自分たちにも良いんじゃないかなあと思ったり。でも、このムチャクチャ感がローマだったりもするんだよな~と思ったり。

 最後に、搭乗ゲートの近くで水を買った。イタリア語で買い物をし、ジャストの金額を出すと、店のおっちゃんに「トゥット、ベーネ!グラーツィエ(=全て良し!ありがとう)」と言われた。そう、トゥット、ベーネ!スリにもあいかけたけどあわなかったし、ローマの無料教会は素晴らしかったし、トスカーナ・ウンブリアの小都市はすばらしかったし、N(=ナポリ)もまあ揚げピザはおいしかったし!サッカーだけが残念な結果だったけど、また、来年、良い試合を見られるさ!「とりあえず、来年こそはヴェネツィアに行こうね」と飛行機の中で、すぐに次のイタリア旅行の計画を立て始めた我々が、日本に帰国して最初にしたことは、A11 地球の歩き方 ミラノ、ヴェネツィア 2015の購入だったのである…。(イタリア旅行記2010・完)

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貧乏なくせに、イタリア旅行というお金のかかる趣味を持ってしまった、「イタリア旅行貧乏」です。旅行は楽し♪びんぼーも楽し♪がモットーです!
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